バーチャルYouTuber殺人事件

吉永動機


ある夜。

『お知らせ』とだけ書かれたサムネイルが真っ黒の動画を開くと、文章が表示された。

そこにはこう書いてあった。誤字もあるが、原文ママである。

『バーチャルYouTuber トワノ ハルの動画のお楽しみいただいていた皆様に大事なお知らせがあります。この度、諸般の事情により当チャンネルの継続が難しくなり、閉鎖することとなりますした。これまで動画を楽しんでいただいた皆様には突然の報告になってしまい申し訳あいません。今まで一緒に歩んでこられて幸せでした。本当にありがとうございまsあ』


こうして登録者数40万人という大人気チャンネルだった『ハルチャンネル』は終わりを告げた。

当然、SNS上では、悲しむ声、疑問の声が渦巻いた。悲しみを通り越して、不義理とも思える終焉に怒りを露わにする者も少なくなかった。あまりの脈絡のなさに、ただのイタズラ・ドッキリじゃないかという声もあった。

ネットニュースにも記事が上がり、そのコメント欄も荒れに荒れた。

まさに阿鼻叫喚といった様相で夜は更けていった。


翌朝、ニュースでは一つの痛ましい殺人事件が伝えられた。

「速報です。今日未明、アニメ系専門学校の声優科に通っていた遠野小春さん19歳が、何者かによって殺されているのがマンションの隣人によって発見されました。警察は現在、小春さんの身に何が起こったの捜査をおこなっています。新たな情報が入り次第、またお伝えします」

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