渡された拳銃

「やれ」


そういって渡された1つの拳銃


オレのやる事はただ1つ。目の前で寝てる男をこの拳銃でやるだけ。


文に表すと簡単そうに思えるがそんな簡単ではない。


相手が起きる前に仕留めよう。それがオレの考える思いやりだった。


オレはこいつを拳銃で1発打つだけで、札束がオレに舞い降りて来る。


その札束を求め、オレはこの業界に入ってきた。


幾度の練習を重ね、いよいよ力を発揮するステージまで上り詰めたんだ。


ここで諦めたら、また1から。それだったらまだいい。


だが、1番の問題はここで諦めたらボス達に狙われるという事だ。


だからオレの中には「打つ」の選択肢しか無いんだ。


そんな事を考えていたのが今となっての過ちと気づく。


男が起きた。


「・・・ん?誰ぇ?」


オレは身を隠す事もできた。だが、焦っていた。そんな事はできなかった


相手もやばいと判断したのか、手を挙げる


「な、何のよう?てか誰?」


オレも鬼じゃない。ちょっと話してあわよくば相手の本望の死に方をさせてやるか。


「オレはお前を殺しに来た。3つ質問させてやるよ。」


すると相手は頭を悩ましてこういった


「3つか。じゃあ1つ目。質問に嘘を付くことはある?」


ん?質問それ?それ気になるー?こいつカイジとか好きそうだな。マジで

憧れてんのか?こんな命がけの状況で何抜かしてんだコイツは・・・

半ば呆れで答えた


「嘘はつかないよ」


「んー。1つお願いしたい事があるんですけど」


「なんだ?」


「<はい><いいえ>で答えてもらっても構いませんか?」


「は?お前今の状況理解してんの?」


「理解してるからこそ、こんなに楽しいんですよね。僕言動から分かる通り

カイジが物凄く好きでそういう心理戦とか日ごろからやってるんですよね。まあ僕負けた事ないんですけどね。やっぱりこういう命がけの心理戦とかやってみたいなって思ったんですよ。なんでそちらが嘘付いたら自分の事を撃ってもらっていいですか?」


わぁ・・・めんどくさいタイプだ。すっごい早口で喋るやん・・・


「いいよ」

あんま内容聞いてなかったけどほとんど自分語りだろうな。

最後の「嘘付いたら自分の事を撃つ」という事だけ聞いた


「じゃあ2つ目いきますね。その拳銃には弾が入ってますか?」


・・・なんだこいつ。ドッキリとかと勘違いしてんのかな?

残念現実だ!


「はい」


「ふーん・・・じゃあ3つ目の質問いきますね。」


「来いよ。その代わり分かってんだよな?最後の質問だぞ?」


「はい。じゃあ3つ目いきますね。ここは私の家ですが、ここが貴方の家かどうかは私と同じですか?」


その質問を考え、俺は自分に銃口を当て発砲した




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