第35話見つけた



 僕は城の中にいる。


「よし、ここには入れたけど、どこにアクアがいるんだろう?」


 僕は疑問を言う。


「まぁ、探索するか」


 僕はそう言い、自分に不可視に似たようなことを黒い炎ですると城の中に潜入した。


 城に入ってから2分が経過した。


「侵入者だ!手が空いているものはこちらに来い」


 ガタイのい男が、ガタイのいい男を連れてやってくる。


「一斉に掛かれ!」


 一番先頭の男が言い放った瞬間ガタイのいい男たちは殴りかかってくる。


「前みたいに行くと思うなよ」


 僕は言葉に殺意を乗せていう。


時間切断タイムカッター


 男たちの首は一斉に飛ぶ。周りからは血が吹き出ていて床は一瞬で赤色になった。


「これで、一度勝ったから、こいつらより強いと言うことになってこの技使えなくなるな」


 僕は一人呟く。けれど、目の前で起きたことに衝撃を受け、戦闘態勢に入る。

 僕の目の前では、死体が立ち上がっていた。死体には首はついていなかったが僕を敵と認識したのか、さっきよりも何倍も早いスピードで殴りかかってくる。


「なんで死体が動いてる?!」


 僕は驚きながらも攻撃を避ける為バックステップを踏む。だが、いきなり強風が起き体を前に押し出されてしまう。

 僕はそのまま殴りかかってきた死体に殴られる。


「グハッ!」


 死体の力も上がっていたようで、僕のお腹に直撃した瞬間、お腹に大きな風穴が空いた。


「ふふふ、私のペットちゃんたちを一瞬で殺された時は流石に驚きましたけど、あまり大したことなかったようですね」


 僕の前には女が立っていた。


「安心してください、あなたも私のペットにしてあげますから」


 女はそう言うと口に手を当て笑った。

 もう僕は痛みを感じなくなってきている。





 僕はたくさん本が置かれている場所で目覚めた。


「やっと起きた」


 誰かが僕に話しかけてくる。だが僕はまた目を閉じる。


「こらこら、また寝ようとするな」


 いきなり頭をノートか何かで叩かれた。


「いてっ」


 僕は声を出してしまう。


「さてと、突然だけど君は今死にかけています。このまま死ぬのもいいけど、僕なら君を元の世界に戻すことができる。どうする?」


 僕はそう言われて、ここにくる前の記憶を思い出す。


「そういえば、なんで僕まだ生きてるの?!さっき腹に穴開けられて・・・・」


 僕は疑問を口にすると、目の前にいる体が細くて、眼鏡をかけていて、優しそうな男の人に笑われた。


「だから僕がきたんだよ。僕だったら、普通は即死していてもおかしくない重傷を治せるからね」


 男の人は笑いながら言う。


「どうするの?このままだと君だけじゃなく、君の大切な子も死んじゃうよ」


 男の人はアクアのことも死ぬといった。・・・どう言う意味だ?


「あのこ、今頃死んだほうがマシな痛みを受けているだろうからね。ちょっと君に聞かせてあげようか」


 男の人はそう言うと僕の耳に手を当ててくる。


「フェ・・・ト・・・・タ・・・ケテ」


 男の手からはアクアの苦しむ声が聞こえた。僕の心から怒りが出てくる。


「この声を聞いても、すぐに結論は出ない?」


 男はそう言うと手を離す。


「それ本当の出来事なんだよな」


 僕は男を睨みつける。


「ああ、本当のことだよ」


 男はそう言う。


「じゃあ答えは出てる。君の力を借りたい」


 僕はそういって頭を下げる。


「ふふ」


 男は笑う。


「ああごめん、やっぱり君も僕なんだなと思って」


 男はそう言うと微笑する。・・・僕と同じ?


「じゃあ、今から君の意識を現実に戻す。現実に戻ったら治したいところに回復キュアといってくれれば体の再生が始まるから。あと、君の時間を戻す能力が使えないのは、君にもう時間を戻す必要がなくなったからだから」


 男がそういった瞬間、僕の視界はぼやけていく。


「さ、最後にあなたの名前を」


 僕は男の人に聞く。


「それは知る必要ないよ、僕は君の前世なんだから」


 男の人がそういった瞬間に視界が完全に暗くなる。


『まだ、聞きたいことが』


 僕はそう思い手を差し伸べるが、掴んだのはただの空気だった。





 僕が目を覚ましたら、地面の上だった。近くでは僕が眠ろうとした時にいた女が笑いながら何かをしている。


回復キュア


 僕はかすれる声でそう言うと、お腹に空いた風穴がふさがっていく。少ししたらもうお腹の傷はふさがっていた、足も動かせるようになっていた。


「な、なんでふさがっていってるの?!」


 女はこちらを見て驚く。


「さっきはよくもやってくれたな」


 僕は女を睨みつける。


「ふん、また殺してあげるわ」


 女はそう言うと腕を振り払う。

 後ろにあった死体たちが動き出し、僕に殴りかかってくる。


時間停止タイムストップ


 僕は殴りかかってきた死体たちの時間を止める。そして女に向かって走っていく。


「はぁ、あなたも二つ持ちですか。私の可愛いペットたち、私を守りなさい」


 女はそう言うと、また腕を振り払う。

 死体は自らを盾にして女をかばうように僕の前にくる。

 僕は横にずれて前進する。


「ペットたち、早く殺してしまいなさい」


 女は死体にそう命令する。だが僕は死体をかわしていく。


『やっぱり、死体は女の命令以外の行動はしない』


 僕はそう確信した。

 僕は盾になる死体を避けていく。


「何をやっているの、もうきちゃうじゃない」


 女はキレ気味でそんなことを言う。


 僕は残り二人を避ければ女に打撃を与えられるところまで接近する。

 死体は僕の前に立つ。僕は避ける。だが避けた瞬間にものすごい速度の攻撃が飛んでくる。


「・・・え」


 僕はギリギリその攻撃を避ける。

 その攻撃は、地面にあたった。

 僕はその攻撃を見る。攻撃に使われていたのは人の腕だった。


「バゴーン」


 拳が地面に当たって少ししてから、轟音とともに地面に亀裂が入る。そして、地面はわれ僕は地下に落ちてしまう。

 僕は地面に落ちる寸前に自分の足の時間を止め、落下ダメージをなくす。


「何が起こったんだ?」


 僕はそう呟く。落ちてきた穴は地面が割れた時の衝撃のせいかふさがってしまっている。


「こんなところに地下があったんだ」


 僕は周りを見る。そこには牢屋が設置されていた。

 僕は周りを見ている時に妙な寒気を感じた。


「なんだこの寒気は?」


 僕は寒気のする方へ走っていく。


 3分ぐらい走ったところで、大きな牢屋があった。牢屋の中には、生きているのか死んでいるのかよくわからない人がいた。


「・・・・アクアか?」


 僕は無意識のうちにアクアの名前を口にする。

 それを聞いたのか、牢屋の中にいる人物は顔を上げる。


「フェ・・・・ト?」


 この声は間違いなくアクアだった。

 アクアの目は潰されており、体は痩せ細り、腕と足は椅子に拘束され、顔や体には何個もの黒いあざができていた。


「フェル・・・・ケニ・・・レテ・・・・トウ」


 アクアはそう言うと閉ざされたまぶたから涙を流した。









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