異能力の復讐物語
空式_Ryo
第一章 復讐
第1話失った者
この世界は誰もが異能力を持って生まれてくる。異能力は人それぞれで似たような能力はあるが、同じ能力は存在しない。異能力が特殊であったり、その威力が高かったりする異能力を超異能力と呼んでいる。この物語はとある少年の一生をかけた物語。
《突然の襲撃》
僕の名前はフェルト。8歳。養子。僕の異能力は一定の空間の時間を操ることができる超異能力者だ。
僕たちは今とある街のとある会場にいる。この会場には僕の親友たちと親、親の親友たち、親の親友の子供たちがいる。
「フェルト、何やってんの?」
不意に真っ赤な髪を持ち、背丈が僕と同じぐらいで、誰もが人見れば美少女と思うような顔をした少女が僕に話しかけてくる。
「いや、少し考え事してて」
彼女はネイ。僕の幼馴染であり親の事情のもと、僕とネイは婚約者になっている。
彼女は炎を自在に操り、作れるという超異能力者だ。
能力としては珍しくないが、その威力は絶大で8歳にして大人が3人がかりでも勝ってしまうという。
「考え事もいいけど、あんまりぼーっとしてるとせっかくのパーティーを楽しめないよ」
ネイは笑顔でそう言ってグラスに入ったジュースを渡してくる。
「そうだね」
僕はそう言ってグラスを受け取る。
「お前ら相変わらず仲がいいよな」
イタズラが好きそうな緑色の髪の少年が僕とネイに向かって言ってくる。
「茶化さないでよ!」
ネイはその少年が放った言葉を聞いて顔を赤くしていう。
「まあまあいいじゃないか将来結婚するんだしよ」
少年はネイの本能を面白そうに笑いながら言った。
「そういう問題じゃない!」
ネイは漫画に表したように頬を膨らませ怒る。
そしてその本能を面白がるように少年は見ている。
この減らず口を叩く少年の名前はハルト。身長は僕より少し高いぐらいで僕とネイと同じく8歳。親同士の付き合いが長いため僕の幼馴染であり親友だ。
「フェルト、さっき、能力戦闘場所見つけたから戦おうぜ」
能力戦闘場所とは自分たちの能力を使って互いに攻撃し合う。まあ単純にいうと能力による喧嘩だ。その場所を使う時のルールは殺し無しというルールのみだ。でも、それだけだと面白くないと言う人たちは自分たちでルールを新しく追加し、その場所を使う人たちもいる
「いいけど、お手やらかにお願いします」
僕がそう言って少しぎこちなく返すとハルトは。
「なんでそんなにぎこちないんだ? いつもとあまり変わらないだろ」
ハルトは不思議そうに首をかしげるが、そんなことどうでもよくなったのかすぐに僕とネイの手を掴んで歩き出す。
「早く行こうぜ!」
ハルトはそう言って楽しそうに歩く。
能力戦闘場所に着いた僕たちは、周りから注目を浴びていた。
なぜなら、普通はこの歳で能力を使って戦うものなどまずいないからだ。普通は7歳で能力が使えるようになり、その能力をうまくコントロールできるようになる頃には9歳以上にはなっている。
「やっぱり変な目で見られるね」
ネイは僕と同じくこの状況を予測していたのかそう言う。
「どうやら、お客さんが来たみたいだよ」
ハルトが楽しそうな声でそう言って、僕は前を見る。そこには巨体の男が立っていた。
「ここはお前らガキが来るとこじゃねえんだ。さっさと会場に戻って親の元に帰りな」
男はそう言う。でも、ハルトはそれに挑発するように。
「おっさん、それは僕たちの力を見て判断してほしいな。僕たちをそこらの子供たちと一緒にしないでくれ」
男は完全にハルトの挑発にいら立ちを見せていた。
「言うじゃねえかガキが、いいぜお前ら全員でかかってこい」
男はそう言って能力戦闘場所の空いているところに歩いていく。
「ハルト、どうするの?」
ネイが呆れたようにため息をつく。それに対してハルトは『ニシシシ』と笑って男が入った広場の入り口から広場に入っていく。
「しょうがないなぁ」
ネイはそうは言うもの少し楽しそうだ。・・・・みんな洗いなぁ〜。まぁ、僕もそうだけど。
僕はそんなことを思いながら広場に入る。
「じゃあいくよ、3・2・1 始め!」
ネイの合図とともに僕たちは戦闘する。
「こちらから先に攻撃させてもらうぞ。
男がそう言った瞬間、男の手が大きくなる。
男の手が普通の大きさの時でも僕たちの頭より大きかったのに、さらに大きくなると言うことは僕たち全員を潰すことのできる大きさになる。
「さぁ、許して欲しければ泣いて謝れ、そして二度とここに来るな」
男はそう言って手を下に振り下ろす。
「やなこった。
ハルトがそう言った瞬間、4本の太い木が地面から生え男の手を支える。
「フェルト、お願い」
「わかったよ。
男がいきなりピクリとも動かなくなる。
「じゃあ、最後の仕上げにネイ」
僕はネイにそう言って笑う。
「任せて、
ネイはネイの手に炎でできた剣を生成すると、男に向かって斬りかかる。
「ていやぁぁ!」
ネイの声とともに男の首に剣が触れる。
「・・・・え、この状況は? 俺が負けた?」
男はネイの剣が自分の首に当たっていることを見てか、信じられないと言う目で僕たちを見る。
「どう? これでいい?」
ハルトがそう言って男に笑いかける。
「お前ら、本当にガキかよ」
男はそう言って笑い、広場から出ていく。
「やっぱり私たち三人は最強だね!」
ネイが笑顔でそんなことを言って来る。
「「そうだな」」
僕とハルトは同じタイミングでそう言った。
僕たちはこの時はまだ、自分たちが最強だと思っていた。だがそれは、子供の儚い想像に過ぎなかった。
悲劇まで、あと少し。
《侵入者》
『ドゴーン』
激しい爆発音が聞こえ、そのあとすぐに地面が揺れた。
「な、何が起こったの?」
ネイがハルトに聞く。だがもちろんハルトが知っているはずもなく。
「俺に聞くな。それより、フェルト大丈夫か?」
ハルトは当然の回答をしたのち、僕を心配してくれる。
「なんとか」
僕はそう言ってから、爆発音がした方を見る。ネイとハルトも同じ方向を見る。
爆発音のした方から大勢の武装した人間が入ってきた。
「我らは異能力狩りの組織キラーズである。ここにいるものを殺しにきた、抵抗しないのならば楽に殺してやる」
その団体のリーダーであろう人物がそう言った瞬間、武装した人たちが一気に突撃して次々とこの場にいる人間を殺して行った。
「フェルト、ネイ、逃げるぞ」
ハルトがそう言い僕とネイの手を掴んでパーティー会場に向かって走り出した。
その時!
「パァーン」
銃声の音がなったかと思いきや、ハルトの胸に穴が空いた。
「は、ハルトー!」
ハルトはそのまま地面に倒れこむ。
「はぁ、はぁ、俺にかまわず早く逃げろ」
ハルトは今にも死にそうな声でそう言う。
「喋るな! 今時間を止めるから」
僕はそう言って頭の中で時間を止める範囲を決める、だが。
「その能力クールタイムがあるからネイを守るために使え。どのみち俺は助からないしな。
ハルトが言った瞬間地面に茎でできた地下道ができた。
「な、何やってんの?!」
僕は声を上げてハルトの手を握りハルトに聞く。
「抜け道を用意したお前ら二人はここから逃げろ。早くしないと能力の効果時間がキレちまうから」
ハルトはそう言って僕の手を離す。
「ハルトを置いてなんかいけないよ」
僕は泣きながらハルトにそう言う。
「頼む、俺からの最後の願いだ、お前たちだけでも生きてくれ」
ハルトはずるい、こんな時に最後のお願いとか。そう言うのは何回も使って『それ前も言ってなかった?』とか言ったりして笑い合ったりする時に使うような言葉だ。こんなところで使ったら、本当に最後みたいじゃないか。
でも僕は、決心してハルトに言う。
「わかった」
僕は涙を服で拭い、ハルトに伝える。
「それでいい」
ハルトはそう言って笑った。
「ハルト、ありがとう。そしてさようなら・・・」
僕はに頭を下げて感謝の気持ちを伝える。
「ああ、お前たちといた時間は楽しかったぜ。じゃあなぁ・・」
ハルトはそう言って静かに息を引き取った。
それから僕はまた少しだけ泣いた。
「ネイ行こう」
僕は涙をまた服で拭ってから、ネイに言う。
「・・・うん」
僕たちはハルトが最後に作った抜け道を通って行った。
《脱出成功?》
ハルトが作った抜け道をでたらそこは会場の入り口付近だった。
「ハルト本当に死んじゃったの?」
ネイが不意に僕に訪ねて来る。多分、ネイはハルトが死んだことを認めたくないいのだろう。
「最後の最後も俺たちのことばかり考えてたな」
僕は現実を見せるようにネイに言う。
「あぁぁぁー」
ネイがないた。だが、今は泣いている場合ではなかった。
「ネイ、泣くのは後しろ。先に逃げることに集中しないとハルトの最後の願いをちゃんと聞けないよ」
僕はネイの涙を指で拭ってからネイにそう言う。
「そう、だよね」
ネイは一回顔を左右に振ってから『よし』と言って泣くのをやめる。
「よし、とにかくここを離れよう」
僕がそう言ってネイの手を掴み会場から出る。
1時間ほど歩いただろうか。
「フェルト、あれ」
ネイが指を指した方向にいたのは武装したキラーズの組織員たちだった。
ここまで来るのに何度か組織員を見つけて、遠回りしてきたがそれも意味なかったということを僕は悟った。
「なんであんなにいるんだ。会場にいたのがほとんどじゃなかったのかよ」
なぜ僕がこんなことを言うかというと、キラーズの組織員たちがまるで逃げ場を塞ぐように完全に包囲していたのである。
「見つけたぞ! 最後の生き残りだ」
いつのまにか後ろにいたキラーズの組織員に見つかってしまった。
「ネイ逃げるぞ」
僕はネイの手を掴んでから、男の時間とを止めてきた道を戻る。
「
僕たちが逃げた先に分厚い土の壁ができる。
「なにこれ」
僕は土の壁を蹴る。だがパラパラと砂が少し落ちるだけで全く削れない。
「やっと見つけましたよ、最後のネズミさん」
土の壁の上には男が立っていた。
「まさか、最後の生き残りがこんな子供とは」
男はそう言って残念そうにしている。
僕は悟った、この時すでに僕とネイ以外の会場にいた人たちは全員殺されたと言うことを。
「僕たちまだ8歳だから見逃してくれない?」
みっともないが駄目元で男に聞く。
「それはできませんねぇー」
男はそう言う。まぁ、予想通りの返答だ。
「じゃあ、強行突破するまでだ」
僕はそう言って男の周りの空間を意識する。
「できるものならやってみなさい」
男は楽しそうにそう言う。まるで僕がしようとしていることを楽しんでいるように。
「
僕は男の時間を止める。
この時僕は完全に時間を止められたと思っていた。
「
男がそう言う。そして男は僕たちの目の前に降りて来る。
「不思議そうな顔していますね。私は能力を二つ持って生まれましてその一つがさっきお見せした土を操る能力、もう一つは相手の能力を無効化する能力です」
男はそう言ってニコッと笑う。だが掃除にその笑顔はまだ8歳だった僕には恐怖を覚えさせた。
「あなたはここを通れません。この能力もクールタイムがありますがあなたの能力のクールタイムよりは短いので」
なんでこの男は僕の能力について知っているんだ?
僕は思考の渦に巻き込まれる。だが、ネイの技で現実へと意識が戻される。
「
炎のレーザーが土の壁を破壊した。
「・・・え」
男はこの状況を予想していなかったのか、驚いた声を出す。
「フェルト、私だって戦えるんだからね」
ネイがそう言ってビシッと僕に指を指して来る。僕はそれを見て少し笑ってしまう。
「フェルト、私が時間を作るからクールタイムが終わったら戦闘準備に入って」
ネイはそう言って男を睨む。
「わかった」
僕はネイに返事をする。
「今度は女の子が相手ですか。小さい子をいたぶる趣味はありませんので、楽に殺してあげます」
男はそう言って手を地面につける。
「やれるものならやってみなさい」
ネイはそう言って炎を手に集める。
「
男は土でできたゴーレムを三体作った。
対するネイは。
「
ネイは輝く炎を長剣に変え振り払った。
その瞬間、ゴレームたちはチリも残さず消えた。
「へー、なかなかやるね」
男は多分感心しているのだろう。男は面白そうに次々にゴーレムを作っていく。だが、作った瞬間、ネイに焼き切られて行った。
「次で終わらせるから」
ネイはそう言って男に剣を向ける。
「できるわけないよ。君たちみたいな子供は私にはかなわない」
男はそう言って笑う。
「やってみなきゃわからない」
ネイはそう言って、剣の火力を上げる。
「
男はまた地面に手をつく。今度はゴーレムではなく、土でできた龍が作られた。
「そんな龍作たって、さっきと同じ燃えカスになるだけよ!」
ネイは剣を力強く振った。だが、龍は燃えるどころか傷一つつかない。
「嘘でしょ!」
ネイは完全に今ので倒す気だったらしい。
「言ったでしょ、私は相手の能力を消せるって。この龍には異能力が効きません。まぁ、相当威力が強ければボロボロに崩れますけど」
男はそう言って僕たちを見て笑う。
「どうしたら」
僕は考える。考えて、考えて、考える。だが、一向に自分たちが勝てる勝算がない。
「
「
やはり、僕の時間停止も効かない。
「そうだ、いいこと思いついたよ」
男はそう言って、手のひらに拳を打つ。
「君たち、二人のうち。どちらか一人だけ見逃して上げるよ」
男がそう言った瞬間、僕はネイが助かることだけを考えた。
「ネイを見逃してやってくれ!」
「フェルトを見逃して!」
僕とネイ、どちらも真逆のことを言う。
「二人は見逃せないから、どちらか一人は殺させてもらうね」
男がそう言った瞬間『パァーン』とハルトの胸に穴が開く前に聞こえた銃声が聞
こえる。
「あぁぁあぁ」
ネイが声を上げた。
僕はすぐにネイを見ると、ネイ右足が消滅していた。
「じゃあ、女の子の方が死ぬってことで」
男はそう言った。でも、男は銃など持ってはいない。
僕がそう考えた時、男の後ろから大きな銃を持った少年が出てきた。
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