小話集

笹依 個々

世界の出来事

空は晴れ、気持ちいい朝だった。

男はコーヒーフィルターに熱湯を注ぐ。

部屋には香りが立ちこめ、淹れたばかりのコーヒーと

「世界で起こった事が書かれた紙」を持って

男はソファに座る。


一口飲み

「どれどれ」

と、その紙に目を通す。


『20XX年 X月X日』

『木の枝には、鳥がとまっていました』

『ある木の下では犬がうつ伏せになって、のんびり寝ていました』

『そばには自転車が一台置いてあり、近くに誰かがいるのかもしれません』

『水面の光がキラキラしていました』

『一日中、風が吹いたり止んだりしました』


男は一通り読み終わったところで、こう思った。

「今日も世界は回ってる」

コーヒーをまた一口飲む。

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