第4話


 夏の終わりを告げる、季節外れな雨が僕の傘を伝ってアスファルトに滲んでいく。


 今日は天気が悪いな、なんて心の中で独りごちる。


 結局、あの線香花火を散らした日を境に、僕は君と逢えなくなってしまった。


 理由は解らなかった。


 駄目だと思いながらも、君のアルバイト先を訪ねてみても、そこには、もう君は居なくて。


 最後に一方通行に届いたメールの『ごめん』の意味も、君が線香花火が好きな理由も、何一つ聞けなかった。


 唇を重ねたのは、君の気紛れで。

 両想いなのかもしれないと思っていたのも、全ては自分の自惚れだった。


 全部、夢だったんだ。



 ――傘に穴が開いたのかもしれないな。

 なんて笑って誤魔化す。それでも頬には冷たい感触が止めどなく伝わり、視界を揺らし続けた。



 だから。

 もう一度だけ、君に逢えるなら。

 今度は迷わずに君に思いを伝えよう。


『君が好きです』と。


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