ときめき

月頼かんな

ブランコ

彼から連絡が来たのは、土曜の夕方だった。

楽しみにしていたデートをドタキャンされ、私はひとりでテレビをつけて、布団に潜り込んでいた。

彼は、いつもずるい。


本当は気づいていた。

とっくの昔に、私への気持ちがなくなっていたこと。

でも、気づかないふりをした。

私を傷つけたくなかったから。

自分が悪者になりたくなかったから。


立ち去っていった彼に、最後まで笑ってみせたのは私が強がりだからなんだろう。

揺れている。

大きく、重みをもって。

加速していった気持ちに、急に衝撃を与えられた。私は、そこからふり飛ばされたのだ。

もうそこには誰もいないのに、大きく揺れるブランコ。

転げて見上げたそれは、空虚な乗り物だ。ひとりでに動くことは絶対にない。

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