Twinkle Snow Tiny Stars
@mimoriotone
1.June
僕が彼女を見つけたのは雨の降る七夕前夜。色も無いくらい殺風景な梅雨の温度。
オフホワイトの梅雨空を恨めしそうに見上げながら、彼女は駅の入り口で立ち続けていた。
「ねえ。短冊に "雨の無い地球にして” って書いたらいけないの?」
彼女がはじめて自分と交わした言葉がこれだった。
言葉を失い唖然として立ち尽くす僕に、憮然とした表情の彼女は捲し立てるように言葉を続けた。
「だって、もういい加減にしてって思うじゃない? ずっと雨続き。こんなにいつもジメジメしてたらこの街がいつかカビだらけになっちゃうわ。」
「だったら。。天の川に “雨を無くして?” ってお願いしたら良いんじゃないのかな?」
やっと彼女の言葉を消化した僕は、恐る恐る彼女に意見した。
彼女はまるで放課後のあまり優しくない女教師のように。自分の方をくるりと振り向き、
「そうね。天の川は私たち地球の味方ですものね。願いを要請するわ。」
とだけ吐き捨て、そっぽを向く様にふいっと水色にクリーム色のコインドット柄をした傘を開き、そのまま街の中に消えて行った。
そして彼女の天体要請は空しく、翌日の七夕もその翌日も相変わらずの忌まわしい雨は降り続けていた。
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