青春と恋の物語1章
西野たくみ
第1話
『北野先輩がなくなった』
そんな連絡を同級生の将太から
受けたのは
体を壊して部活を休んでいた
中学2年の夏休みだった
悪ふざけだろうと思って
そのメールを無視していた
だが…その数日後、
その友人から『今日…葬式なんだけど…お前来ないの?』と連絡が来て
本当に先輩がなくなってしまったのだと
俺は知った。
当然、体を壊して外出禁止になっていた俺は
葬式にも出ることはできなかった
…
いつものように部活の練習にいこうと
準備をしていると
昔からの幼なじみ美月からメールがあった
『今日から練習くるんだっけ?
また、ボロボロになるまでやってあげるから
早く来なよ。8:30からだからね?』
美月とはただの幼なじみではなく
小さい頃からやってた柔道のライバルだった
俺は『わかってるよ。』とそれだけ返信して
家をでた
久しぶりの練習で少し緊張して
同情に入っていくと
後輩の勇紀が着替えをしていた
勇紀は俺を見るなり『おはようございます』と挨拶をしてきたので
俺も『おう』と言って着替えを始めた
着替えて更衣室からでると
今時珍しい女子部員の二人
美月と瑠夏がちょうど着替えて
出てくるところだった
二人は俺を見て『おはよ』それだけいって
道場へ向かっていった
そう、この柔道部は男子4人女子3人の
合計7人でやっている
8:30になりいつも通り練習が始まった
3年生最後の団体戦は惜しくも
県大会ベスト16にもなれずに
終わってしまっていた
その先輩の気持ちを無駄にしないために
今日から新たに気持ちを入れて
練習が始まるのだった
部長は女子部員の美月が受け継ぐことになった
美月は小柄ながらに県大会ベスト8の3年生
北野先輩と互角に勝負できていたから
当然と言えば当然の結果
本来なら男子で先輩とほぼ互角に勝負できていた
俺がなるはずなのだが
この美月は何度やってもまともに勝てない
いつものメニューを終えて掃除をして
帰ろうとすると瑠夏に呼び止められた
瑠夏『一哉、待って…
今日これから皆で遊びにいくんだけど
一緒にいかない?』
俺『どこに行くの?』
美月『夏だしトレーニングの意味も込めて
海でもいこうかなって』
俺『いいよ、行こう』
そうして用事でこれなかった後輩二人以外の
5人で海へとやってきた
海へ来たからといってなにかをするわけでもなく
瑠夏と将太とマネージャーの七瀬は
波打ち際ではしゃいでいる。
そんな光景を見ながら
美月と俺は笑っていた
部活のライバルというのもありすぐに
部活の話になった
美月『夏の試合、惜しかったね』
俺『俺は…結局引き分けだし団体も延長戦がほしいよ』
俺『一哉は体力ないからね…
あれだけ前半攻めて有効と技あり稼いだのに
残り1分ってとこで取り返されてパーにするとかほんと、あり得ない』
俺『背負いはただでさえ
体力使うんだから仕方ないじゃん…
そういう美月だって同級生相手に
負けてんじゃん』
美月『あんただってあの子とやっても
勝てないんだから偉そうなこと言えないよ
私にまず勝てないんだから』
俺『うるさいな…でも… 』
美月『ん?』
俺『いや…なんでもない』
美月『…』
『北野先輩のことでしょ』
俺『…うん』
『あの北野先輩があんなやつに秒殺されたのが一番ショック…勝てない試合じゃなかったはずなのに』
美月『北野先輩が負けたのは実力だよ
運が悪いとか本調子じゃないとかじゃない』
俺『わかってるけど…でも納得いかねぇよ』
美月『…』
俺『…』
二人の間に気まずい空気が流れてしまった
そんなときに海辺から
瑠夏『おーい!美月!美月もこっちきて写真撮ろうよ!』
美月『うん!待って!今行くよー』
将太『西野!お前も来いよ!せっかくきたのに座ってるだけなんてもったいねーぞ!』
俺『わかったよ…』
美月とは少し気まずいまま
2人は3人と合流していった…
この物語の登場人物一覧[()は学年]
西野一哉(2)
中居将太(2)
水野美月(2)
吉田勇紀(1)
桐生蓮(1)
山下瑠夏(2)
櫻井七瀬(2)
北野章吾(3)
井上祐(3)
中村麻衣(3)
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます