転校生は異世界ハンター
タローラモ
第1話 異世界から来た男
超スローペースで書いていきます。
楽しんでいただけたら幸いです。
……………………………………
気がつけば辺りは真っ暗闇だった。
「痛ってぇ…俺はどうしたんだっけ?」
頭部に鈍い痛みを感じて、さすりながら周りを見渡す。そういえば新しいダンジョンが発見されたから臨時のパーティを組んだっけ。…で、3日目にたどり着いたフロアに見たことない竜種がいて…!!
ガバッ!と立ち上がり剣の柄に手をかける。皆はどうなったんだ?気配を探りながら注意深く見回すと暗闇に目が馴れてきた。
「本棚?なんだここ。魔術師の研究室みたいだな」
見慣れた岩に囲まれた広場から明らかに木造建築の一室に変わっていた。壁には大きな本棚が並び机には錬金術師が使う器具が山積みにされている。そして何より俺の足元には部屋一面に描かれた魔方陣が書き込まれていた。
「おお!ようやく現れたか!」
とっさに構え相手を視認し、いつでも斬りかかれるように距離を目で図る。声の主は杖をついた爺さんだった。
「爺さん何者だ?ここはどこだ。ダンジョンの竜と仲間はどうなった」
「まてまて、順番に話すでな、ここじゃ何じゃな。上に客間がある。そこで話そう」
爺さんはそう言うと階段を上がっていった。俺は警戒したまま後を追う。
しばらく上がると光が見えてきた。廊下に出るとここが随分大きな屋敷だという事がわかった。
つまりあれか?俺は転移と言うより召喚されたのか?魔方陣には詳しくないが術の基礎はそれなりに教わっている。爺さんを追いかけながら俺は自分の置かれた状況を推察する。たが冒険者を呼んでどうするんだ?魔物ならわかるが…。
ここまで考えてたら目的地に着いていた。部屋のなかは立派な家具や調度品などで飾られている。まるで貴族の屋敷だな。
「立ち話も何だ、そこに座ってくれ」
ソファーに仕掛けがないか、じっくり触りながらゆっくりと座る。その間爺さんはポットから二人分の茶を用意していた。
「さて、どこから話したもんかのう」
爺さんは髭を擦りながら1つのファイルを取り出した。
「ワシはこの屋敷の主でアイザック・アンゲルと言う。錬金術師だ。
そして…これを見てくれんか?これはワシがこれまで『回収した物』だ。」
受け取ったファイルをめくると中身は魔物やマジックアイテムの詳細だった。魔物に関してはギルドの指名手配よりランクは下がるな。マジックアイテムもそこらで売っているものと変わらない。
「初級からDランクのクエストって所か…これがどうしたんだ?」
俺がそう言うと爺さんは嬉しそうな顔をしてウンウン頷き、俺のランクなんかを聞き出した。その程度の情報はその気になれば誰でも知ることができるしな。むしろ『名』を売ってこその冒険者だ。まあ、俺自身はCランクになって随分たつから、もうすぐでBの試験が受けられるかって所だから中堅もいいところなんだがな。
「素晴らしいな。因みにこのリスト、君は一人でこなせるか?」
「まあな。これくらいなら俺じゃなくても顔馴染み連中なら余裕じゃねぇか?…っと自己紹介がまだだったな。
俺はツヴィン・ローディ。C ランク冒険者だ」
俺の返答にますます気を良くした爺さん。ホントに何なんだ?
「実は君に依頼したい。ガタの来たワシに変わって『異世界の異物』の回収、破壊をしてくれ。報酬はこれからの生活の全てをワシが見る。どうだろうか」
真剣な顔をして頼みこんできた爺さん。これくらいなら…ちょっと待て。今聞き慣れないことを言わなかったか?
「爺さん…今『異世界の異物』って言ったか?どういう事だ?」
俺はこの日、自分がとんでもないことに巻き込まれた事を知った。なんと『異世界ハンター生活』を余儀なくされたのだから。
……………………………
ここまで読んでくださりありがとうございました。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます