水底からの月

NEO

届かぬもの

水底から見える月は美しいもの

手を伸ばしたって届かないって分かっているけど

時々水面に映った姿には手が届く

そのたびに波紋になって広がっていくけれど

それでもその姿は変わらず美しい

それ故に欲するのだろう。月を


月の姿に雲挿す時、言い様のない不安に陥る

雲の向こうには変わらず月があると、頭では分かってはいるけど

その姿が見えないのは、本能的な恐怖を覚えるもの

いくら払ったところで意味はないけれど

背伸びして水面の雲を払ってみたりしてみたりもする

疲れるだけど分かってはいるが、そうせずにはいられない


そして、再び月が見えたとき、手が届かなくと安心する

水面に映る姿にすら手が届かなくても

そこにあると見えればいい

なにも見えないよりは……

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