第9話

私は初めてのインターハイ予選をリタイヤして

優翔先輩、先生とともに病院へと来ていた。

上腕二頭筋の損傷…全治1ヶ月と診断されてしまった。


結局…先輩達も栞里先輩の入賞…だけで終わってしまった。

美波『悔しいな…もっと練習しとけばよかった…』

蘭『はぁ…先輩達これで引退ですもんね…』

栞里『あと一歩…』

未來『すいません…私の辞退のせいで団体戦もだめになって…』

優翔『そんなことないから。未來と蘭は来年頑張れよ』

蘭『はい…』

未來『はい…』

優翔『特に…未來はまず腕を治してな』

成瀬『では…明日からの部長は生駒蘭。頼んだぞ』

蘭『はい…!』

私達はそこで解散となった。



私は一人でゆっくりと帰り道を歩いて帰ることにした。

優翔『未來!』

不意に後ろから優翔先輩に声をかけられた。

未來『優翔先輩…?』

優翔『ちょっと…話さないか?』

優翔先輩は車イスを自分でタイヤを回しながらやってきた。

未來『はい…?』


私は…先日の件があり…気まづいながらも優翔先輩の車イスを押していった。近くの公園へと向かいながらもいろんな話をした。

優翔『でも、惜しかったな…団体戦』

未來『ごめんなさい…』

優翔『だから…未來は最後当てたじゃん。勝ったんだからいいんだよ』

未來『…玲香さんとの約束を私が果たすとか…偉そうなこと言ってたのにごめんなさい…』

優翔『…』

未來『私…先輩に色々生意気言っときながら…何一つできなくて

本当に申し訳なさで一杯です…』

私は…言い終わる前に唇を噛み締めていた。

優翔『その代わり、未來は俺たちに大切なこと教えてくれたじゃん』

未來『…え?』

優翔『粘り強く頑張ることの大切さ…自分に今できることを懸命にやることの大切さを。言い訳してはいけないっていう大切さを』

未來『でも…頑張っても懸命にやっても結果がでなきゃ…』

優翔『懸命にやって出ないのは仕方ないよ。だって相手だって必死なんだから…。必死だから問答無用でこっちの努力を潰してくる。潰されたなら次は潰してやる…そう思ってればいいんじゃないかな』

未來『先輩…』

私は…胸のなかでたまってたものが…溢れだしてしまった。

未來『うっ…うっ…でも…私やっぱり…勝ちたかった…

もっと…うっ…先輩達と…上の世界を見てみたかった…』

優翔『大丈夫…未來が頑張ってたのは俺たちは知ってる。

聞いたよ?栞里の言葉に反抗したんでしょ?すごいじゃん』

優翔先輩は…私の手を握っていってくれた。

未來『先輩…』

優翔『ごめんな。こんな形で…ドラマなら抱き締めるのが普通なんだろうけど…』

未來『…恥ずかしいからこれでいいです…あ!青ですよ!先輩!』

私は照れ隠しをするように先輩の車イスを押しながら信号に

向かって少しはや歩きで向かっていった。

優翔『未來…俺ね…玲香のこと…異性として好きじゃないんだよ』

未來『え?そんなこと言うと呪われますよ?』

優翔『ははは…』

優翔先輩の笑顔…やっぱり素敵だな…。

未來『やっぱり…私は先輩が好きです』

私は赤信号になった信号の前で歩みを止めた。

優翔『ありがとう…俺もさ…その…』

未來『…』

私はドキドキして次の言葉を待ったが…青に再びなってしまって…

歩行者のじゃまになるので私は車イスを押していった。

歩行者『危ない!!!』

後ろから…そう聞こえたとき…私は吹き飛ばされていた。

未來『(そんな…私は…死ぬの…?)』


私がそう思いながら…目を開けると……

私が倒れていた場所は、横断歩道のかなり前だった。

未來『(え…なんで私ここに…)』

私は横断歩道を振り返って…一気に血の気が引いた。

未來『きゃぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!』

そこには…車椅子もろとも倒れていた優翔先輩の姿があった…。






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