第2話

私は弓道部に入ってからというもの…慣れないことと

ひたすらの体力トレーニングで筋肉痛で疲れきっていた。

私は学校からの帰り道…優翔先輩と一緒に帰っていた。


優翔『だ、大丈夫?』

未來『うぅ…栞里先輩厳しい…』

あの優しそうだった栞里先輩は…優しいのは普段だけで

部活になるとなにかのスイッチが入り、スパルタになる…。

優翔『あいつも急に副部長になって、責任感じて必死にやってるんだよ』

未來『え、急にってことは…前に誰かがやってたんですか?』

優翔『まあ…ね』

私がそう聞くと優翔先輩は寂しそうな顔をしていた。

優翔『未來も今年のインターハイ予選には出てもらうからね?団体戦…男子は出れないけど女子はでれるし』

未來『え!?!?出るんですか!?』

優翔『もちろん?だってそのために栞里はあんなに厳しくしてるんだから…本当は1年くらい基礎とかやってほしいけど…

俺には…いや、三年には時間がないからね』

未來『で、でも…足引っ張るだけじゃ…』

優翔『そうならないためのトレーニングだよ』

未來『えー…(そっか…優翔先輩も六、七月には引退なんだ…)』

優翔『まあ、頑張ろうよ。せっかくの思い出になるんだから』

未來『はい…!』

優翔『あ、俺こっちだから…じゃあね』

未來『お疲れさまでした!!』

優翔『おう!じゃ、また明日な』


私は優翔先輩といるときがただただ楽しかった。


未來『(はぁ…優翔先輩と未来まで一緒にいられたら…

って私…やっぱり好きなのかなぁ)』

と、私は思ってはいたが…本当は気づいていた。

私は出会ったあの瞬間から、北野優翔に恋をしているのだと…。



翌朝、私は休日ながらも午前からの練習のために学校へ向かっていた。家を出ると丁度隣の家の優希が家から出てくるところだった。

優希『あ!未來!おっはー!!』

未來『おはよ…』

優希『ど、どうしたの?今日元気ないじゃん…というか最近か』

未來『弓道部に普段は優しいのに練習になるとめちゃくちゃ厳しい先輩がいて…』

優希『だから言ったじゃん…高校の部活なんて継続してやってる人が入るものだから、やったことあるスポーツの方がいいって…。

しかもよりによって弓道って…』

未來『だって…』

優希『そりゃ、助けてくれた先輩が好きになって入った!なんていうのはよくあるドラマや映画で聞くけどさ…本当にいるとは思わなかったよ…』

未來『優希…それ何気、傷つくから!』

優希『あぁ、ごめんごめん(笑)でも、その先輩がいるのはあと長くても二、三ヶ月なんだよ?』

未來『そう…それは誤算だった…』

優希『あ!やばい!部活遅れる!!…じゃ!またあとでね!』

そんな話をしながらも8時半からの部活に余裕で間に合う私だったが…優希は…8時からの部活だったのだ。

優希はそう言い残して急いで部室へ向かっていった。



私が部室へ着替えにいこうとすると…道場から的を射つ音が聞こえた。

未來『(え、こんな早くから!?8時半からだよね!?)』

私は焦って道場の方へと走っていった。

道場の扉を開けると、そこにいたのは…優翔先輩だった。

優翔先輩は…いつもの真剣な表情で的を打っていた。

未來『(こんな早い時間から…自主練…すごい…)』

私が扉から覗いていると、後ろから美波先輩に声をかけられた。

美波『未來、おはよ!…ってなにしてるの?』

未來『わっ!?』

美波『そんなに驚かなくても…』

未來『すいません…おはようございます!』

私達のやり取りに優翔先輩も気付き扉の方へとやって来た。

優翔『あれ?二人とも早いね。何やってんの?』

未來『いえ…8時半からの練習なのに…道場から的を射つ音が聞こえたので見てみたら先輩がいて…真剣にやってたから声もかけれず…』

優翔『あぁ、それで……なんかごめんね』

美波『それで優翔の真剣な顔にみとれてたところに私が急に声をかけたからビックリしたわけだ』

未來『い、いえ!!みとれてたわけじゃなくて…すごいなって…』

優翔『え、なにが?』

美波『優翔の自主練なんていつものことだよ?』

未來『え!?いつもって…平日もですか!?』

優翔『まあ…テスト前はやらないけどね』

未來『だから…3段の腕前を…』

美波『この人が頑張るのは…玲香のためなんだけど…』

優翔『美波!!』

いつも落ちついた優翔先輩が…美波先輩の言葉を遮るように叫んでいた。

優翔『…それは関係ない。未來がいるんだぞ』

美波『ごめん…未來、忘れて』

未來『えっ…でも……はい…』

私達3人の間に沈黙が流れた。

そこへ栞里先輩や蘭先輩がやってきた。

栞里『みんな早いね…おはよ!……って何この空気…』

蘭『未來?なんかあったの?』

優翔『なんでもないよ。…じゃ、皆着替えて?始めよう』

栞里『そ、そう?…わかった。蘭、美波、未來、行くよ』

私は栞里先輩に手を引かれて、部室へと向かっていった。

美波『未來…どうしたの?さっきから暗い顔してるけど…』

未來『いや…あの優翔先輩の怒った声はじめて聞いてビックリしちゃって…』

蘭『怒ったの!?なんで!?』

美波『…玲香のことだよ…』

二人『!!!』

栞里『…未來、そのことは忘れて。…時期が来たら蘭が話してくれるから』

未來『え…はい…』

蘭『よし!美波先輩!栞里先輩!行きましょう!』

暗さを吹き飛ばすかのように蘭先輩が声を出した。

栞里『よし!遅れたら優翔に怒られる!急ごう!』

私達は急いで着替えて道場に戻った。

そこからは…いつも通りの厳しい練習(トレーニング)をやって

その日の練習は終わった。



練習が終わって、私が着替えていると…蘭先輩がやってきた。

蘭『未來?午後って空いてる?』

未來『空いてますけど…なんですか?』

蘭『孝子桜祭りに皆で行こうって話してるんだけど…来れる?』

未來『孝子桜祭り…?』

蘭『あ、もしかして…知らない?』

未來『はい…』

蘭『まあ、じゃ行ってみようよ?案内してあげるからさ』

未來『わかりました。いきます!』

蘭『先輩!未來も行けるそうです!』

蘭先輩がそう言いながら走っていった。


私は先輩達と桜祭りというものに行くことになった。




私が家で祭りに行くために準備をしていると弓道部グループラインから通知が届いた。


弓道部LINE


栞里『みんなー!今日4時に学校集合で!』

美波『りょうかーい!!』

優翔『了解!』

蘭『わかりました!!』



未來『4時…か。じゃあ…お風呂入ってこようかな…』

私はグループに『わかりました!』とだけ送って

お風呂へと向かった。

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