第2話 嫌なこともあったけど

 田中さんは好きな人にフラれ、すぐ僕に泣きついたのだ。

「田中さんもう泣かないで」

「つい殴っちゃった」

「あらら」

「でも、君の言う通りちゃんとお腹よ」

「顔は目立つからね」



 田中さんは好きな人にフラれ、ラーメンのやけ食いに走った。

「これで何杯目?」

「五杯目」

「あらら」

「お金の心配はしなくていいわ!」

「そもそも君の実家でしょうが」



 田中さんは好きな人にフラれても、また同じ人を好きになる。

「こりないよね田中さんも」

「だって好きなんだもん」

「あらら」

「君も恋をすればわかるよ」

「うわ殴りてー」



 田中さんはちっこいので、たまに年下と間違われる。

「そんなに怒るなよ」

「中学生? って言われたのよ!」

「あらら」

「ま、まあおかげで中学生料金だったけど」

「堪能してんじゃねえか」



 田中さんはもっと大きくなりたくて、毎日牛乳を飲んでる。

「本当に大きくなるの?」

「なる! と思う!」

「あらら」

「でも、ちょっと太った」

「大きくはなったね。胸が」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

クラスメイト田中さん @Sk3815999

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ