二節目

君は

黒く艶やかな髪で

黒く澄んだ瞳で

黒く綺麗な洋服で

私は初めて会った時も君に見惚れてしまったんだ


私が好む白とは真逆の

どろどろとした黒


でも君だけはどろどろしてなくて

とっても綺麗な黒い瞳で


私を見つめてきたんだ


そして、喋らないお人形さんのような口を開き

綺麗な綺麗な澄んだ声で

ただ一言

「私と遊ばない?」

と話しかけてくれたんだ


人に遊びに誘われたのは初めてのことで

どう返事したらいいかわからなくなってしまっていた

私の言葉を待ってくれて

ずっと君はニコニコしていて

気がついたら

「…遊びたい…!」

って答えてたんだ


こんな私の見た目を怖がらないでくれて

私の話を聞いてくれて

私を殴らないでいてくれて

こんな人は君だけなんだ


君はよく夢の話をするよね

将来はどうしたいか

未来自分は何をしていたいか

そういう話を聞くのはものすごく楽しかった


私は君によく「物語」の話をしたよ

あの子の将来

誰かの未来を

夢と違ってありえなくてもいいの

現実味のない話で

現実逃避をして


君がここにいられる理由から目をそらしてたんだ


私があの時ちゃんと向かい合っていたら





君を私が殺しちゃうこともなかったのかな

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る