.


「あ、咲希危ない」


え?



舞の声に反応して顔を上げた瞬間──


「わっ…!」


誰かに後ろからぶつかって


「いった…」



派手にころんでしまった


「いったー…」


手と膝がじんじんする

擦りむいたのかな…?


「ご、ごめん!大丈夫!?」


お、男の人の声だ


「あ、はい…」


あいたたた

派手にころんだのすごい久しぶりなんだけどな


「ほんとにごめん!!よそ見してて」


すまなさそうに謝ってくる相手

上目遣いでみてくる

よく見るとかわいらしい顔してる



「…あ、あの??」


あ、じろじろと見すぎたかな?


「あ、うん!大丈夫です!気にしないで下さい!」


急いでバッと立ち上がる

亜依と舞のとこにそそくさと駆け寄る


二人の腕を引っ張って走る

いやーーーほんと恥ずかしい


廊下だったからたくさんの人に見られたよね


「あ、ちょっと…」


背後からなんか言いかけた声がきこえたけど

きっと空耳だ、きっと


「てか咲希走って大丈夫?脚擦りむいてない?」


亜依に言われハッと走り止めた

恥ずかしさで痛みがあるの忘れてた


「あ、うん、かすり傷だけみたい」


手と膝を見て確信する

じんじんはするけど…


「でもこれ多分アザできちゃうねー、赤くなってるし」


あちゃーと痛そうに見る舞


「でも…」


にんまりと笑う舞


な、なに?

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