うつ病になった。

みめぐみ

うつ病になるまで

「その髪色、どうにかならないの?」


私は当時大手企業の子会社で働いていた。

一般企業であれば係長という役職に分類されるらしい。

とはいえ、独自の文化を築いているのがこの業界。

そんな役職に就いたところで、平社員との違いはたった時給二十円だった。


この業界に入ったのはいうまでもない、「ピアス、服装、髪色自由」というメリット。

自由に生きたいと思っていた私は迷わずにこの業界に入った。


或る日突然、役職への昇格を打診され、受け入れた。

その日から半年後である。

一番最初に述べたセリフをキャリア組の上長から言われたのは。


なんで?

この会社は自由なんじゃないの?

なんで髪色で怒られるの?


それが始まりだった。


自由で或ることを許されず、次々と難題を押し付けて来る上長。

庇ってくれていた直属の上司の異動、

髪の毛の次はピアスに服装、全てが自由を謳っていた求人とは異なってしまった。


次第に、それは気付かぬうちに近づいてきた。


「会社にいきたくない」

「得体の知れない高熱が出る」

「人の目が怖い」

「家から出たくない」

「自分が嫌いだ」

「お酒を飲めば楽に寝れる」

「リストカット」


そうして気付けば、元から自律神経のことで通っていた病院で抗うつ薬を出され、休職を命じられた。


でも医師も私も、気付くのが遅すぎた。

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