60-2 スキー旅行

「な、なんじゃこりゃ……」


「わ~~~~~~」


 俺たちはスキー場直結、老舗の観光ホテルにチェックインした。

 夏はゴルフ、冬はスキーが出来、年間を通して人気の高いホテルだそうだ。


 混雑の為、少し待つとの事で案内はいらないといい、部屋のキーを貰い直接部屋に入った。


 そして部屋に入ると、そのあまりの広さに今かなり引いてる。


 入ってまず驚いたのがベットの大きさ……、セミダブルが二つ並び、さらにその横には一見ソファーの様なキングサイズのベットが横たわる。


 ベットの横には暖炉、暖炉の上に大きなテレビ、その手前に大きなソファー……何? この部屋…… 


 部屋の奥には大きな窓、壮大な日本アルプスが一望出来る。


 定員3名とあるが、3名にはあまりにも広すぎる……と言うか高校生と小学生が泊まる部屋じゃないだろこれ……婆ちゃん……なんでこの部屋予約した?


「お兄ちゃま! 凄いよ見て見て!」

部屋に入るなりお風呂場に駆けてけていった美月が俺を呼ぶ、行ってみると……


「なぜ風呂場にソファーが……てかなんだそれは?」

 5人でも十分入れそうな大理石の風呂桶、寝湯と立湯が出来る様に深さが2段階になっているらしい。そしてその先には池の様に水が張ってある、何これ? 風呂なの?


「水盤だよお兄ちゃま」


「水盤……」

 何それ美味しいの? あまり聞き慣れないそれは、簡単言うと大理石の上に水が張ってあり、外に流れ落ちている。特に風呂とは関係なくただの演出なんだけど……ここまでやるか? ああ、こっちは露天で窓が無いから危険防止の為か……


「素敵だね……お兄ちゃま一緒に入ろうね」


「いやいやいやいや、って言うかこの横にあるソファーってさっき見たような……」

 嫌な予感がして振り向くと、そのソファーの後ろには窓が、あれ? あれあれ? 窓の向こうには栞が立っていてこっちに向かって手を振っている……えええええええええええええええ!


「ふ、風呂場丸見えじゃん!」

さっき窓の外にテラスが見えていた。そのテラスはこの露天風呂の横にある。テラスと風呂桶の間に小さな壁の様な物があり湯船に浸かっていれば見えないけれど、立っていれば丸見え、そもそも手前は寝湯なので脱衣場からほふく前進でもしない限り見えてしまう……ってなんだこのホテル。


「一緒に入るんだから別に問題ないよお兄ちゃま!」


「いやいやいやいや、問題だらけだろ! そうだ、カーテンがある、あれを閉めれば大丈夫」


「そしてその隙間からお兄ちゃまが覗くのね、お兄ちゃまのエッチ」


「いやいやいやいや、一緒に入ろうって言っておいて、覗きはエッチとか意味わからん」


「えーーーー、チラチラ見る方が、萌えるって書いてあったよ」


「な、何にそんな事が」


「お兄ちゃまの持ってるエッチな本に、チラチラ見る方が興奮するって」


「美月! 小学生がそんなもん見ちゃいけません! てか美月まで……」

 駄目だやっぱり隠さねば、栞だけならまだしも美月までとは……


「ねえねえお兄ちゃま、もう今から入っちゃおう! ね?」


 俺の腕に抱きつき上目遣いで俺を見る……可愛い可愛い可愛いぞ俺の美月、えっと確か前にも言ったよな、家族風呂は法律違反にならないって……BANにもならなかったし……えっと……そ、そうだな、スキーで汗もかいたし……


「ちょっとお兄ちゃん! 今何か変な事考えたでしょ!!」

 

「うわわわわわわ!!」

窓から手を振ってこちらを見ていた栞が唐突に窓を開けてテラスに入って来たって開くんですねその窓……

 ホテルの窓は開かないってイメージだったけど、テラスなんだから開くよね、窓の下にはサンダルも置いてあるし。


「ちょっとお姉ちゃま! 邪魔しないで! 今チャンスだったのに!」


「美月ちゃん! 最近お兄ちゃんのロリコン度が上がってるの! もうお兄ちゃんをこれ以上ロリコンの道に誘わないで! どうするの! お兄ちゃんが近所の子供に変な事したら!」


「お兄ちゃまはロリコンじゃないよ! よく言ってくれるもん! 小学生が好きなんじゃない、美月が好きなんだって」


「でも美月ちゃん! 最近のお兄ちゃんのエッチな本に登場する女の子の年齢が下がってるのよ、昔はお姉さんタイプの物が多かったのに最近は何か小さな女の子が出ている物が多くなってきているの!」


「そ、そうなの? あ、でもそう言えば……お、お兄ちゃま、その時は美月に言ってくれればいいからね! 美月なら犯罪にならないから!」


「いやいやいやいや、なるから、全然なるから、後違うから、俺はロリコンじゃないから! 漫画は最近そういう絵柄が増えただけで、あれは全部成人だから」


「でもお兄ちゃん、成人の女の人はランドセル背負わないと思うんだけど」


「駄目だから、それ突っ込んじゃ駄目だから! なんか前にも言ったなこのセリフ……とりあえず、ご飯行こう、な、お風呂は後にしよう、ね、ほら着替えよう」


「はーーーーい」

 二人はお腹が空いているのか、そう返事すると素直に部屋に戻って行く……

 はぁ……この旅行は2泊の予定……これが明日も続くって事か……


「俺も着替えないと……」

 風呂場からパウダールームを抜け部屋に戻ると…………


「あ、お兄ちゃんほらこれ可愛いでしょ、こないだ買ったんだ、お兄ちゃんの好きなブルーのボーダーだよ! ほらほら、縞パン縞パン!」


「お兄ちゃま、見て見て、可愛い子供パンツ履いて来たよ、お兄ちゃま好きでしょこれ!」


 二人は既にスキーウェアを脱ぎ、下着姿で部屋にいた。そして戻って来た俺にそれぞれウキウキ下着ファッションショーを……


俺はパウダールームと部屋の間にある引き戸をそっと閉めた。


「勘弁してくれえええ……」

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