58-2 生徒会活動再び
「来た! イベントラッシュの時期が来た!」
栞は気合いを入れていた、これから始まるイベントラッシュ、毎年恒例の時期がいよいよ始まる。
「クリスマス、お正月、バレンタインデー、ホワイトデー、私の誕生日、お兄ちゃんの誕生日、めくるめくイベントの数々、私からお兄ちゃんにお兄ちゃんから私に、エンドレスで続く愛のプレゼント交換、ああまたお兄ちゃんの愛の結晶、お兄ちゃんからの宝物が増えるのね」
栞はお兄ちゃんから貰った物はできる限り保存している、昨年貰ったホワイトデーのキャンディー、箱と包装紙は綺麗に折り畳み真空パックにしお兄ちゃんコレクションとして保存、キャンディーは瓶に詰め直し窒素と一緒に封入、ここぞの時に食べられる様大切に保存している……
「あああ、でも生徒会邪魔! 私とお兄ちゃんのクリスマスはイブイブから始まって、イブ、クリスマス、アフタークリスマスと4日やる予定だったのにいい」
自室の机に座りぶつぶつと独り言を言っている栞、いつもの事なので特に突っ込まない様に……
「だってだって今年は特別なクリスマスなのよ~~、私とお兄ちゃんが付き合って迎える初めてのクリスマス……えへへ」
頬に手を宛てイヤンイヤンと身体をくねらせる栞……何を想像しているかは……
「付き合って初めてのクリスマスで初体験を迎えるのって、高校生なら当たり前の事よね!!」
ああ言っちゃったよ! そしてその都市伝説の様な知識を本気にしてるよ!
「そうよね、クリスマスって日本で一番初体験をする日なんんだから、私も遂にお兄ちゃんと、ウフ、ウフフ、ウエへへへへへへへへへへ」
ああ、栞が、栞が気持ち悪くなって来ている……
ーーーーしばらくお待ち下さいーーーー
「ふう、堪能した、さあどうしよっかなお兄ちゃんとのクッリスマッス~~クリッスマッス~~クリッス~~マス~~♪」
シングルベルのリズムでクリスマスと歌う栞、いやそれ普通に歌えよ。
「やっぱりケーキは手作りよね、ご飯もフレンチかな? ああでもそうか、今年はずっと二人きりのクリスマス、そして恋人同士のクリスマス、つまりホテルのレストランって事もあるよね、ホテルのって、『栞! 実はこのホテルの部屋……取ってあるんだけど』ってお兄ちゃんが私にリボンの付いたルームキーのプレゼント! ああ、お兄ちゃん、私も実はって言って私は、私をお兄ちゃんにプレゼント、きゃああああああああああ!!」
「えーーどうしよう、可愛い洋服着た方が良いのかな? それとも私をプレゼントだから全身をリボンで巻いて上からコートを羽織るだけの方が良いのかな?」
ああ、遂に栞が変態の道に……いや結構前からこんな事言ってるな……
「えーーでもお、私をお兄ちゃんにプレゼントって、私が一番得になっちゃうよね~~どうしよう、サービスに美智瑠ちゃんでも付けておくとか?」
おいおい……
「そんな敵に塩を送る様な事をしちゃダメだよね、だったら私がしっかりとお兄ちゃんに尽くすとかの方がいいよね、お兄ちゃんの趣味に合わせた衣装を着るとか?」
だーーれーーかーー止めて上げて、栞の発想がキャバクラとかのイベントになってる事を誰か早く言って止めて上げて~~~!
「お兄ちゃんの趣味って……えっと……やっぱり……ロリ?」
「じゃあ……サービスに美月ちゃんを付けるとか?」
サービスロリ……危険過ぎる。
「だ、ダメよね、それは……私がサービス品みたくなっちゃう、うううう、ふえーーーーーん」
そう思った瞬間突然栞が泣き始める、もう最近は情緒不安定なのか直ぐに泣く栞……。
「最近おにいいちゃんがああ、おにいぢゃんがああ、美月ちゃんと電話でイチャイチャしてるのぉーー、嫌だあああ、もう美月ちゃんとデレデレで話してるの見るの嫌だああああ」
別に栞の前で話しているわけではなく、勝手に部屋を覗いている栞が悪い事は言うまでもない。
「この間も美月ちゃんに会った時凄かったらしい、もうなんか恋人同士が何ヵ月振りにあった様な感じだったって麻紗美ちゃんが……良くキスしなかったなぁって言ってたし……」
「まずい、まずいよまずい、お正月はお母さんの実家に、美月ちゃんに会いに行く、美月ちゃん絶対にまた何か準備しているに違いない、絶対に私を排除する作戦を立てている……」
やってるね絶対に……
「夏休みは油断してた、まさか美月ちゃんがお兄ちゃんに対してあそこまでアプローチしてくるとは思って無かった、小学生のうちは大丈夫だと、でも違う小学生だからこそ危険だ!! お兄ちゃんが真正のロリコンだったら私じゃ勝ち目が無い! でももしお兄ちゃんが真正でも逮捕の危険がある限り大丈夫、クリスマスもそうだけど、お正月対策、美月ちゃん対策も今からしておかなくっちゃお兄ちゃん捕まらない様に……」
栞はノートを開きクリスマス計画とお正月の美月対策を練り始める。
栞は日頃家では学校の勉強はしない、授業を聞いているだけでほぼ満点を取れる為家では一切勉強はしない、ただお兄ちゃんについての勉強はみっちりと行っている、特にお兄ちゃん研究は毎日欠かさず行っておりノートは数百冊にも及んでいる。
ちなみに栞の部屋にはパソコンもあるが、お兄ちゃんに関して楽をすると言う考えは無い、なので研究結果は全て手書きじゃないと納得しない、その為に今時わざわざノートに書いている乙……。
「ああ時間が無いよ! クリスマスが終わったらお正月なんて直ぐだし、今から同時進行でやらないと!」
美月対策を一度切り上げまずは先に来るクリスマス計画書を作成しなければと栞は頭をフル回転させ様々なシチュエーションを考え始める。
そしてその中で一番の物、今回は一番チャンスが生まれ易い方法を様々な展開と共に考える、お兄ちゃんの性格、行動、言動、全ての条件から答えを導き出す。
「これなら!」
2時間を越える検討の末、栞は究極の案を導き出した! これなら、これならお兄ちゃんとの初体験が叶かも知れないと、付き合って初めての今年のクリスマスというイベントを利用すれば、いくらあのお兄ちゃんでも行ける気がすると思った!
「お兄ちゃんの目、お兄ちゃんの私を見る視線が今までと違っている、なんて言っていいか分からないけど、何か今凄いチャンスが来ている気がする!」
「行ける、行けるよ、今年は行ける! お兄ちゃんとの、めくるめく一夜を!」
栞は今年のクリスマスは貰ったも同然と拳を天に高く突き上げた!!
その時栞の携帯にメールが届く、まあメールは一杯届いているんだけど特定の人のみ設定している友達からとは違うメール受信音鳴った、ちなみにお兄ちゃんからメールが届くと結婚行進曲が流れる……
「お母さん?」
お兄ちゃんの事を考えている時友達からのメール無視するんだが流石に母親からのメールは無視出来ない、何かあったのかも知れないと栞はメールを開いた。
『栞~~クリスマスは帰れそうだからお父さんと一緒に帰るね~~♡』
「いやあああああああああああああああああ」
はい残念、今年は家族でクリスマスに決定、栞の作戦? もう実行出来ないし、発表すると18禁になるので割愛します。
これで栞のチャンスはバレンタインデー迄? 持ち越しとなった。
「ぶうううう、バレンタインデーはチョコレートで私をコーティングしてやるうう」
それ、とあるオタク娘がやろうとして失敗してるから駄目。
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