53-5 生徒会長選挙


「1年生の殆どが友達で、2年3年にも多くの友達を持ち、友達では無くてもその名を知らない者は居ない、他校にも数多くの友人知人がおり、ラインやメールだけで数百人の人を動かせる、それだけ知人がいるが彼女の事を悪く言うものは居ない、いやそんな空気にさせない、それどころか何か面倒な事が彼女の身に起これば我よ我よとその身を捧げる者が絶えない絶対的女王……学校ならず全国トップクラスの成績を誇り、繁華街を歩けばスカウトが殺到する可愛さ……」



「えっと……なんかのアニメの話し?」


「うちの妹の事です……」


「そこまで……なんだ」


「はい……」


「弱点はないの?」


「うーーーん、顔は可愛い、性格もいい、勉強も出来て、凄く優しく、俺の為に何でもしてくれる、コーヒーなんて絶品でどこの喫茶店よりも美味しい、砂糖もミルクも俺好みに淹れてくれて、そうそう最近はご飯も毎日作ってくれて凄く美味しい、お菓子も作るようになってこれがまたメチャクチャ美味しくてこの間食べたチーズケーキなんかも絶品で」


「えっと……のろけ?」


「あ、いや……」


「うーーーーーーん、でもそうなんだろうね、栞さんの事を悪く言う人一人も居ないんだから」


「まあ、周りがそういう空気にしてる感じはありますけどね、全員がいいイメージを持つなんてあり得ないし」


「うーーーーーーん、それにしても……女王様だねえ」


「まあ、会長も王女様なんですけどね、栞はこの学校じゃあ絶対女王ですねえ」


俺は今生徒会室で会長と二人で話しをしている、栞の条件を伝え会長は了承してくれた……が、栞の圧倒的なコミュ力に俺と会長は既に戦意喪失状態だった。


「ダメ元にもならないか……やっぱり会長は栞さんがいいんだろうな」


「駄目です!」


「え?」


「会長には次も会長なって貰わないと……」

 だ、ダブルベットに交際宣言がああああああ


「でも……」


「俺は今回、今回だけは会長に付きます!」


「にいに……」


「だから会長も覚悟を決めて下さい、どんな事をしてでも勝つって!」


「どんな事でも?」


「はい……栞に人気投票で正面からぶつかっても勝てません、でもこれはミスコンでも人気投票でもないんです、生徒会長選挙なんです!」


「うーーーん、でもうちの会長選挙は特に所信演説とか無いし、各クラスに行って何か言うっていう時間も取らせて貰ってないし、完全な人気投票形式なのよ?」


「やっちゃいけないって決まりは無いですよね」


「まあそうだけど」


「ストレートで勝てないなら、変化球を投げればいいんです」


「変化球?」


「とりあえず俺の友達、友達を呼びました!」


「友達?」


その時生徒会室にノックの音が鳴る。



「どうぞ~~~」

 会長がそう言うと扉が開き俺の友達が来た!


「またぁ? 何かやるのぉ?」


「僕をメールで呼びつけるなんて、君は僕のなんのつもりなんだ!」


「ハーーイ、女神になったセシリーデース」


「アンちゃん……」


 ナイスなタイミングだ! 俺の友達、友達、友達達よ、重要だから3回言ったぞ!


「えっと……友達?」


「そうですが、何か?」


「いえ……」



 と言うわけで俺の友人、友人、友人また大事だから3回言った、4人を中に入れ俺が力強く今回の件を説明する……と……



「むうううりぃいいいい」


「か、勝てる分けが無い」


「神に逆らう者は天罰が下るデース」


「アンちゃん……」


4人が絶賛大否定……やっぱり妹相手にするって言うだけで腰が引けてしまうのか……


「いや、それはそうなんだけど」


「栞ちゃんにぃ、勝つってぇどうやって?」


「僕は勉強なら……たま~~~~に……栞君の調子が物凄く悪い時とか……」


「神に逆らうの駄目デース」


「アン……ちゃん」


「分かってるよ……だから真っ正直からじゃなく、なんかこう変化球的な」


「ストレートでもぉ変化球でもぉ強打者にはぁ打たれるよぉ」

麻紗美……野球とか見るんだ……


「サッカーでも下手に曲げると簡単に取られるんだぞ!」

 なんとかカーブってやつですね……


「神を騙すと天罰が下るデース」

 いや……この場合天罰下るのはセシリーな気が……


「あ、んちゃん」

 うん……すまん雫、そろそろバリエーション無くなるよな……


「ううう、まあそうなんだけど」


「やっぱり駄目なのかな……」

 皆の様子を見て会長がしょんぼりし始める……


「裕は何で今回は栞君の敵になったんだ?」


「えっと」


「うん、裕がぁ栞ちゃんとぉ仲違いするぅ分けないしぃ」


「神を裏切るなんてあり得ないデース」


「あん、ちゃん」


「えっと……」


 俺は全員を一度見ると、諦めて正直に今の俺の置かれている立場を言った。



「栞が当選すると……ここにダブルベットを置いて俺と栞の愛の学園化計画を発動するって、ここが愛の園になるらしい」


「は?」


4人……いや会長を含めて5人の顔が……は? 何言ってるのこいつって顔に……雫迄。


「場合によっては全校生徒の前で俺と交際宣言でもしかねない勢いで……」


「はあ?」


「だ、だから会長に勝って貰わないと、俺は、あと2年以上皆から生暖かい目で見られる事に……嫌だ! 俺は平穏な高校生活を送りたいんだあああ」


「うーーん、でもぉ付き合ってるんだからぁ仕方ないんじゃないぃ?」



「えーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!」

「₡₤€₫$฿¢¤=¥₷」

「あ、あん、あん、あん、とっても」


「あ!」


「はあ……麻紗美……」

 まあ仕方ないよな……こういう話しになれば、つまりこれが全校生徒になったらって思うと……



「つつつつつつつつ、つき、つきつきが~~~」

「神は我らは見放したデース」

「あん……」


「いや……まあ……」


「ついぃ言っちゃったぁ、ごめん……」


「いや……まあ……」



「えーー? ほ、本当に、にいには栞ちゃんと付き合ってるの、栞ゃんの一方的な愛じゃないんだ」


「いや、まあ……話せば長いんだけど、まあ一度付き合って、別れたっていうか保留っていうか」


「保留?」


「ああ、うん……そんな感じになってる」


「きょきょ兄妹でつ、つ、付き合ってる……き、禁断の愛デース」


「今日はそのキャラなのなセシリー……とにかく付き合ってるって言っても兄妹としてなの! それ以上でもそれ以下でもない、今はそれより生徒会長選挙でしょ、会長は勝つ気があるんですか? 4人は協力してくれるんんですか?」



「えっと……まあ、勝てればいいかな」


「僕は……まあ」


「わたしぃもぉ」


「神に勝つデースか?」


「あああああ、もう、やる前から」

 まあ……仕方ないか……妹の凄さは女子同士の方が分かるんだろうし……


「アンちゃん……私協力する……栞ちゃんに勝つ……」


「雫」


「でも、どうやって? にいに、何か勝てる方法でもあるの?」


「俺には……切り札がある!」


「切り札?」


「さっき言った変化球、凄い変化球を投げれば打ち取れるって事でしょ?」


 そう言って俺は携帯を取り出しある人物に電話をかけた……



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る