51-8 妹の座争奪戦


「ほらやっぱり……」


「ううう……すみません」


 俺と妹は美月の前で正座をさせられていた……


 何故こんな事になったかというと……学校から帰るなり、美月は家をチェックしだした、そして俺の部屋を見た途端に美月が俺達をその場で正座させ怒り始めた。


 そう……俺と妹が毎晩一緒に寝ている事を部屋を見るなり突き止められた……

 まあ枕が2つある時点で誰でも分かるだろうけど…………


「叔父様も叔母さまも居ない中でこんな事をしていたら、どんどんエスカレートして行くでしょ、お兄ちゃま」


「いや、まあ最後の一線は越えていないし、越えようとも思って無いから」


「お兄ちゃま、最近流行りの一線とか言って誤魔化さないで!」


「お兄ちゃん! 私は越える気満々だから!」


 いやいやいやいや


「お姉ちゃま! 約束が違うよ! それはしないって決めたでしょ」


「そんな約束してないもーーーん」


「ずるい~~~じゃあ美月も越える!!」


「いやいやいやいやいやいやいやいや、越えて無いから、栞とはキスもしてないいから、てか止めて小学生が一線越えるとか」

 逮捕されるから、美月が一線とか疑われるの俺だから



「えーーーお兄ちゃん私キスしたよーーいい加減認めてよ~~~」


「いやいやいやいや」

 寝てる隙にとか、俺は絶対に認めないよ……


「と、に、か、く、お兄ちゃま、駄目だよ! 一緒にとか」


「はーーーい」


「ちぇえ」


「さあ、じゃあお兄ちゃま、美月明日早いし、そろそろ寝ないと、今日は一緒に寝ようね」


「おい!」

そもそもいくらなんでも寝るにはまだ早いだろ


「ちょっと美月ちゃんずるい!」


「美月は小学生だからいいんですう~~~」

 いや小学生の方が駄目だろ……


「ずるいったらずるい!」


「ずるくないもーーんお姉ちゃまの方がずるいんですううう」

 二人が小学生の様に言い合う、いや美月は小学生なんでこれであってるけど妹は……


「お兄ちゃん、美月ちゃん横暴だよ!」

「お兄ちゃま、お姉ちゃまと美月は同じ妹なんでしょ、ずるいよ!」


 ああ、標的がこっちに……


「と、とりあえずご飯食べような、腹へっただろ俺も減ったし」


「ううう誤魔化した」


「あ、じゃあ作るね」

 妹が正座から立ち上がるとそれを制して美月が言った。


「お姉ちゃま、今日は美月が作るよ」


「美月ご飯作れるんだっけ?」


「ご飯なんて理科の実験と一緒だよ」


「いや違うだろ……」


「いいから」

 美月はそう言うとキッチンに向かって行く、俺と妹はお互い顔を見合せ大丈夫かな? と言い合っていた。




####


 結果……

 

「料理って科学なのか?」


「お、美味しい……」


「ね? 美味しいでしょ?」

マッシュポテトとミートボール、なんかよく分からないソースがこれまた旨い


「どこで覚えたんだこんな料理」


「えっとね世界の料理って本を読んだだけだよ」


「世界の料理……」


「これはねスウェーデン料理だね」


「へーーーーー」


「スウェーデンって言ったらシュールストレミングって言うのが有名なんだよ、流石に手に入らなかったから今度ネットで買う……」



「やーーーーめーーーーーーてーーーーー」

 それ有名な奴だよね、お約束の臭い奴だよね?


「えーーーもう頼んじゃったの、美味しいって書いてあったから」


「その本に臭いって書いてなかったのか?」


「うーーん、スウェーデン語だったからな~~酸っぱいとか発酵したまま缶詰にしたとか」


「情報が偏ってるぞ」

 美月らしくないな……


「えーー、現地の本が一番じゃないの?」


「食に関しては、人に寄るからな、国によっても食べるものが違うし」


「うーーん、そうだねそれには経験も必要だしね、お兄ちゃま来たら一緒に食べようね」


「いやいやいやいや」

 隣でクスクス笑う妹、いや他人事みたいだけど、開けるのは恐らくここだぞ、とんでもないらしいぞ!


「とりあえず、こっちに来たら美月が色々作ってあげるね」


「まあそれは良いんだけど、美月お金もそうだけど、そんなに何度もこっちに来て平気なのか?」


「え、うん……大丈夫だよお兄ちゃま」


「美月……」


「あ、お兄ちゃん私お風呂に入ってくるね、後片付けお願いしてもいい?」

いつもは絶対に俺にやらせない妹……多分美月の変調に気を使っているんだろう。


「ああ、分かったやっておくよ」

 妹はそう言うと俺と美月を一度チラッと見て笑顔でキッチンを後にする、それを見て俺は美月に向かって言った。


「あまりうまくいって無いのか?」

皆を変える、そう言って美月は不登校だった学校に戻る決心をして長野に帰った、でも……


「え? 全然平気、計画通り、全然大丈夫だよお兄ちゃま!」

俺に笑顔でそう言う美月……

 俺は美月の頭に手を置きゆっくりと髪を撫でる、美月は一瞬不思議そうな顔をしてから目を瞑り素直に髪を撫でられていた。


「美月、俺が美月に隠し事を出来ないのと同様に、美月も俺にはもう隠し事を出来ないんだよ」


「え?」

 美月は目を見開き俺を見つめる……


 俺はクスクス笑いながら美月に言った。


「大丈夫って大丈夫じゃない時にはあまり使わない言葉なんだろ?」


「あ!」


「俺と美月は家族なんだろう、家族に遠慮するってなんだ! 家族に遠慮するなんてそんな寂しい事するなよ」


「お兄ちゃま……」

 

 前に美月に言われた事をそのまま美月に返す、俺はゆっくりと撫でていた髪をぐしゃぐしゃっとして美月に言った。


「美月は俺達の妹なんだよ、自慢じゃないけど俺は妹に関しては詳しいぞ、美月の様子がおかしい位、直ぐに分かるからな!」


「お兄ちゃま…………ああ、悔しいな~~逆に一本取られちゃったよおお」


「あははははは、こないだの仕返しだよ」

 美月は悔しいと言ったが顔は笑顔だった、そして俺の腕にもたれ掛かって話し始めた……


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