51-1 妹の座争奪戦

「いや……妹の座争奪戦って……」




「そう決めたの! やるからには徹底的にやるんだから」


 妹が妹カフェで俺が決めるナンバーワン妹コンテストに参加表明した後、生徒会は解散となる……妹多いな…………取り敢えず基本的にはカフェなのでそれで申請をするとの事、実行委員会が立ち上がり次第場所を割り当てられるらしい。




「いやいやいやいや、なんでそんな争いに……」


 実の妹相手に一体何を考えてるんだ? あいつらは……




「ううう、やっと妻になったと思ったら、今度は妹の座が脅かされるなんて、でも……妹じゃ無くたった方がお兄ちゃんも私を妻と認めて、受け入れてくれるかも……」




「いやいやいやいや」




「お兄ちゃん! 私、妻で居た方がいい? それとも妹で居た方がいい?」




「いやいやいやいや、妻じゃないから、妹で居た方がって、それは変わらないから!」




「じゃあ、私を妹として選んでくれるのね、皆より妹として認めてくれるのね!!」




「いや実の妹だから栞は」




「皆の中で一番好きって事だねお兄ちゃん!」




「いや、まあ……それは前から変わってないし、俺が一番好きなのは栞だから」




「それは妹としてって事だね」




「あ、うん……」




「わーーーい、わーーーい」




 飛び上がってはしゃぐ妹……えっと……なんか色々変な方向に行ってる様な、一昨日に妹外せと言ったばっかりな様な……てか……ヤバい……なんか妹のポンコツに磨きがかかってる気がする……






「取り敢えず最後にキャラを考えて来てって言われたんだけど、お兄ちゃんキャラってどうすればいいの?」




「あーー妹カフェのキャラね~~、俺メイド喫茶にも行ったことないからな~~? あ、そうだ、前にテレビかネットで見たよ、妹カフェってなんかツンデレっぽい事をしてたな~~」




「ツンデレ?」




「ああ、なんか……お兄ちゃん何飲む? ってメニューを投げるように見せて、注文すると、えーーーめんどくさいとか言って勝手に注文決められたりで結構散々な事をされてた、でも最後に帰るときに、えーー……行っちゃうの…………お兄ちゃん、とか上目遣いで見られて萌え~~って感じにやってたな」




「なにそれ? そんなんなの?」




「まあそれがキャラって奴なんじゃないかな? 他にも色々やってたな」




「なるほど……お兄ちゃんはどんなキャラが好き?」




「えーーー俺? うーーーん……」


 なんか妹に性癖を聞かれている様で答えづらい……




「あ、待って! 言わないでお兄ちゃん! これって皆と勝負なんだから私だけお兄ちゃんに聞いたらズルくなっちゃう!」




「あーー、うん……まあそうだな~~」


 正直聞かれても困る、だってどんな妹が好きかって好きな妹に聞かれても……ね




「よし! 分かったお兄ちゃん、学園祭まで私……妹辞める」




「は?」




「私学園祭までお兄ちゃんの妹辞るね!」




「なぜ二度言う……てか、やめるって、やめられる分けが」


 しかも字が合ってるのか? 妹って役職かなんかか?




「私学園祭までお兄ちゃんの妻に専念します!」




「いやいやいやいや」


 お兄ちゃんの妻って何度聞いても日本語がおかしい。




「そうだ、まず呼び方変えないと、えっと……旦那様?」


 顔を真っ赤にして上目遣いで俺を呼ぶ……やーーーめーーーてーーー




「いやいやいやいや」




「ダーリン? あなた? 裕君? 裕?」




「まだ名前なら……」


 なんか付き合った時に呼ばれて最初はドキっとしたんだけど、違和感がお互いあったから結局お兄ちゃんに戻ったんだよね




「あーー! そうか、やっぱりお兄ちゃんと言ったら最近はこれか!」




「最近?」




「ご、しゅ、じ、ん、さま」




「ぎゃあああああああああああああああああああああああああ!!」


 なぜ……なぜ昨日こそこそ読んだ例の本の事を知ってる!


 いや、どこで読んだかは聞くなよ! 家じゃ一日中ベッタリの妹から唯一、一人になれる場所で……




「ご主人様、ご命令を何なりと」




「やーーーーめーーーーーてーーーーー」




「そして私はボタンに手をかける、ご主人様の息づかいが早くなる、私の胸が露になるとご主人様は」




「セリフまで覚えてるなあああああああ」


 本当勘弁して下さい……妹に昨日読んでた例の本について事細かく言われるとか地獄かここは!




「分かりました……ご主人様、家に帰りましたら実際に本の通りに」




「しないから!」




「ああ、そうか後半は屋外だったね、えっと人気の無い所……」


 妹は辺りをキョロキョロし始めるって通学路で何をしてる。




「探すな探すな」




「えええええ、ご主人様、いきなり人前で何て……分かりました……ご主人様がそうお望みでしたら……」




「何のプレイだよ、高校生が自分の学校の通学路でそんな事したら退学だから!」




「え! 通学路以外なら良いって事! えっとじゃあ今から駅に行って」




「やーーだーーよーー」


 帰ろうよ、本当に……




「もうお兄ちゃん!!」




「あ…………」




「え?」




「うん……栞は俺の事をお兄ちゃんって呼んでくれるのが一番しっくり来るな……うん……嬉しい」




「お兄ちゃん……」




「いつからだっけ? にぃにぃからお兄ちゃんに変わったの?」




「うーーーん、幼稚園に入る前かな?」




「もうずっとお兄ちゃんだからな~~栞からお兄ちゃんて以外で呼ばれると違和感が」


 会長からにいにと呼ばれて……少し懐かしい気分になったけどね




「うん……私も…………お兄ちゃん」




 妹が俺を名前で呼んだ時、ドキドキした、でもやっぱりいつも通りお兄ちゃんと呼んでくれると、安心する……俺と妹は家族なんだなって実感出来る……




 妹はやっぱりお兄ちゃんって呼んでくれないとね。






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