46-4 葵の行く末


 「カレーをぉ作りましたぁ」

 包丁騒ぎが落ち着くと……いや大丈夫俺に傷は無い……今の所……

 麻紗美がカレーを持ってリビングに入って来た。


 「美智瑠ちゃん、残りのぉカレーとコップをお願いぃ」


 「はーーーい」


 「はい、ゆうはぁ、大盛りねぇ~~」

 麻紗美はそう言うと俺の前に大皿カレーを置く、う、旨そう……でも多い……


 なぜ俺が大盛りかと言うと男ってのもあるが、さすがに人数分の同じ皿は無かったらしく、大小色々な皿に盛られたカレーがテーブルに置かれ俺は大盛りとなる……て言うか別に皿に合わせて大盛りにしなくても良くない?


 そして全員分のカレーと水を持ってくると、それぞれがギュウギュウ詰めにソファーに座る、俺の隣は会長と美月、妹が向かいに座り凄い目付きでこっちを見ている……しょうがないだろ~と目線で返事……いやそんな……愛してるってここで返されても…………想像です……

 

 えっとちなみに妹の両隣は先生と美智瑠、美智瑠も俺に目線で……いや美智瑠はカレーしか見てない、おいヨダレ……


 麻紗美はお誕生日席で、先生が持ってきたクッションの上に正座をしている。


 とりあえず全員揃った所でカレーを食べながら、今後の話しをする事にした。



「で、どうするんだ? にいにを探す方法ってあるのか?」

 カレーを口にして、美月に問いかける……て言うか旨いなこのカレー……さすが麻紗美……


「うーーん、あのマンションで、にいにがいつか来るのを待つ、って言うのが一番安全な方法だけど」


「ええええ、そうなのか?」


「うん、現住所を調べたら恐らくあのマンションにたどり着くと思うの、住民票は家族なら問題なく取れるし」


「うーーーん、それって……いつになるか分からないよな?」


「うん、実際今までも来たことがあるかは分からないし、あくまでも副会長の予想だけで隠れ家のマンションを準備したのかも知れないし、それどころか全部間違えてる可能性も、あくまでも美月の空想の話しだし」


「そしてそれより一番の問題は……」

 美月がカレーパクりと食べる、辛かったのか、熱かったのか、水を一口飲み一旦スプーン置いて俺を見る。


「それより一番の問題は……にいにが今後……下手をすると一生日本に来るとは限らないって事……」


「あーー、うん、まあそうだよな……でも」

 つまり一生来ない可能性も考えろって事を美月は俺に言っている。


 でも……美月の予想が全然違うって事は無いだろう、ただ……いつ来るか分からない人を延々待つって言うのは違う、いや、それ以前に会長をこのままにしておけない。


「美月、待つって言うのはダメだ」


「うん、美月もそう思う、でも……」


「そうだよな~~公に出来ないからな~」

 マスコミ、警察、国、どれもダメだ……何が起きるか分からない、下手をすると知らぬ存ぜぬで会長が切られる可能性も……


「うん、それでね、さっきお姉ちゃまにお願いしたの」


「栞に?」

 さっき妹が外で声を上げていたのはそれを聞いたからって事? 美月……俺をからかったな!

 

 俺は、美月に渋い顔をしてみせると、美月は俺にウインクをする……この小学生は全く…………可愛いな~~


「うん、直接じゃなくて間接的にアプローチ出来ないかなって」


「間接的?」


「そう……、お姉ちゃまの知り合いに大使館の関係者が居ないかなって思ってちょっと聞いてみたの」


「え、ええええええええええええ?」

 俺だけじゃなくて美月を除いた全員が声を上げる……いや妹はなんかスマホを見ている……


 いや、とにかくもう、何か凄い事に……関係者ってなんだ? 職員とかか? いくら妹の友達が多いったって、そこまで……


「あ、来た! 美月ちゃん居たよ」


「さすがお姉ちゃま!」


「嘘だ~~~~このチート妹は……何でもありか?……」


「えっと、セシリーマクミランちゃん15歳、大使の娘だって…………却下!!」


「ええええええええ、なんで、て言うか何それ、ちょっと待て却下って、おい栞こら却下ってメッセージを送るな!」


「えーーーーーー、だって、これ絶対フラグじゃん、またお兄ちゃんのハーレムが増えるじゃん!!」


「いやいやいやいや、無いから、大使の娘とか無いから、おれ外国人の幼なじみとか居ないしゲームとか作らないし」


「え、お兄ちゃまって、そんなに節操ないの?」

 美月が冷ややかな目で俺を見る。


「いやいやいやいや、何それ、なんか俺が片っ端から声掛けてる見たいに言うなよ」


「ちがうのぉ?」

「違うのか?」

「違うの?」

「にいに?」


「いやいやいやいや、何で先生まで、そして会長もとりあえず言っとけとばかりに入るな、なんだこれは?」


「おい! そして全員で、てへぺろとかやめて、何? 今シリアスな所じゃないの? 最大の山場じゃないの?」

 そして先生のテヘペロ似合い過ぎだから、もうそのままのキャラだから


 全く……、シリアスな話しじゃなかったのかよ……



 「えっと……それで栞、……その……セシリーちゃんって言うのは、その……可愛いの?」


「お、お兄ちゃん!!」


「冗談だから!、少し仕返ししたかった、だけだから! おい栞スプーンをナイフの様に持つな!」

 刺さらないけど妹なら刺さりそうで怖いよ!


「もう~~~~、お兄ちゃんのバカ!」


「ごめんごめん、謝るから、それで、そのセシリーちゃんはどういう知り合いなんだ? まさか栞の友達?」


「私の友達だったら美月ちゃんに聞かれた時にすぐに答えてるよ、えっとね私の友達にインターナショナルスクールに通ってる子がいるんだけど、その子のクラスメイトに大使の娘が居るって」

 

 そんな所にまで友達が……そうですか……


「へーー、じゃあまずその栞のクラスメイトに会ってから」


「あ、ううん、何かね前から私の事を言ってたらしいの、友達がその子に、それで私が会いたいって言ったら是非にって……あ、今ラインが、今日でも良いって言ってるって」


「マジか、話し早いな、じゃあ今から行くのか?」


「うーーん、どうしようか? 今からだと帰り夜中になっちゃうし、大使公邸ってなんか怖いし、お兄ちゃんは会長さんが居るから一緒に行けないし」


「ああ、そうだよな……、じゃあ明日にしようか」


「あ、ライン直接来た、今カレーを皆で食べてまーすっと」


「おい、そんないきなりフレンドリーに……写メまで送って……」


「あ、美味しそうって、カレーパーティーですか? って、えっとそうでーーーす、セシリーちゃんも来ます?」


「おい、そんな、いくらなんでも大使のお嬢様が今から何て」


「すぐに行きますって、先生ここの正確な住所教えてください」


「ええええええええええええええええええ!」



 今度は大使の娘って……これから一体……どうなるの?


 

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