26-8 最強の敵参戦!!


 「もう少し見ていたかった……」

 今は水車見物を終えて、昼食を食べに来ていた。


「栞姉ちゃま、お兄ちゃまの隣ってずるいいいい」


「ずるくないですうう、早い者勝ちですううう」

 また二人の言い争いが始まった、妹が小学生なのか、美月が高校生なのか、わからないが、昨日から同じレベルで戦っている。


 水車見物はその後俺の腕の取り合いが勃発、只でさえ目立つ格好の二人に俺が取り合いされるという、爆死判定出まくりの状況にいたたまれなくなり、ここに二人を誘導するも再び言い争いが始まるという状況だ。


「さあ、とりあえずお昼だ、何頼もうか」

 ここの名物わさび丼を食べようと思ったが、店が混んでたのと外に飾ってある写真を見ると、鰹節の上に本当にわさびだけのせて食べるどんぶりで、さすがにちょっとと思い、隣の蕎麦屋さんに入った。


 しかし、二人の格好の浮くことと言ったら……、悪目立ちしすぎて店員や周りの客からからじろじろ見られている。


「うう、居心地が……」

 更に今更ながら、この二人に挟まれた俺がめっちゃ浮いているのに気付き、入ったばかりだが、すでに早く食べて出たくなっている……


「お兄ちゃま何食べるのー美月は卵焼き~」


「だし巻き卵ってサイドメニューだろ?そんなんで良いのか?」


「うん、後はお兄ちゃまの少し貰う~~」


「えー?、じゃあ大盛頼むかなー」


「また……美月ちゃんにデレデレして…………やっぱりお兄ちゃんてロリコン……」

 妹が隣でぶつぶつなにやらいい始める、俺はロリじゃない!…………よな?


「栞もロリファッションして何を言う」


「お兄ちゃんのいつも読んでいる本の好みに会わせだけだよ!、後、本棚の後ろは簡単すぎてつまらないから違う隠し場所にした方がいいよ!」


「……また……、また、ばれたああああああ、裏の裏をかきすぎたかーーーーーー!!」

 もう無いよ、隠し場所が無い……やっぱりパソコン買うか……でも妹なら隠しフォルダーでもパスワードでも簡単に見つけそう……


「お兄ちゃま!!、そんな素敵なご趣味が、言ってくれれば美月……」


「わーーーー、わーーーーー、わーーーーー」

 やめてえええ、本当にもう限界だからーーーーー美月!、お前昨日と言ってる事違うじゃねえかーー!


 もう周りの視線が痛い……まじで通報される……




 ……はい、食べました、わさび蕎麦ね、なんかわさびの付け合わせがあって美味しかったよ、夏は蕎麦は美味しくないらしいけど、ここは美味しかった以上、ぶっちゃけ味なんてわかんねえよこんな状況じゃ……


 というわけで、さっと食べて、外に出る。


「さあ、お土産買って、ソフトクリーム食べて帰ろう……」

 もう限界です……疲れた……


「ソフトくり~む、わ、さ、び、そ、ふとクリーム~」

 歌を歌いながら、妹がスキップを踏み売店に向かう


「お姉ちゃまってお子さまね~~」

 まあ、まだ年齢的に子供なんだけどね、そして美月はもっと子供なんだけどね、もう年齢がよくわからないよ、この子……


 妹はわさびソフト、美月は普通のソフト、ちょっと蕎麦だと物足りなかたので俺はメンチカツを頼む。

 メンチカツはわさびの茎と葉みたいなのが入っていて美味しかった。


「お兄ちゃん、はい、あーーーん」

 妹に一口貰ったわさびソフトは風味が若干わさびって感じるだけで、特に辛くなく結構いける。


「あああーーーーーまたずるいいいい、お兄ちゃま美月のも、はい、あーーーーん」

 うん、普通のソフトだねって、俺、美月のも普通に食べてる、あーーん慣れしてしまった……ちょっとリア充?


 前にどこぞの公園で、高校生の男女数人がソフトの回し食いをしているのを見て、あーーなんかそこに隕石とか落ちないかなーって思ったもんだが……


 その後お土産売り場に行き、適当にわさびのお菓子を買う

 ちょっと気になったのは、生のわさびって結構高い、まあ大きさによるみたいだけど、1本2000円とか普通にあった。


「さあ、帰るか」


「えーーーもうーー」


 二人から不満の声が上がるけど、正直目立ちすぎ、あと本当はついでにもう一ヶ所行きたかった場所があったが、時間的に夕方になっちゃうのでまた別の日にする事にした。




 ####




「さあ!!栞姉ちゃま!勝負の時間よ!!」

 やるのかよ……

 家に帰り、着替え、居間に来るなり勝負だといい始める美月


「いいわよ、絶対に負けない!!」

 そして乗るのかよ、懲りないな妹よ……


「明日は正真正銘二人きりでのデートを賭けましょう栞姉ちゃま!!」


「……わかった、私、本気だすから!!」

 いや、今まで充分本気だったから……


「じゃあ、お兄ちゃまが種目を決めて!」

 マジかーー、あと何が残ってたんだっけ?

 えっと、囲碁、将棋、動物将棋、ガイ○ター、オ○ロか……

 うーーん、多分囲碁将棋は美月っぽいなー、ガイ○ターは心理戦だから妹っぽい、動物将棋とオ○ロはどうなんだろ?


「じゃあ、オ○ロで……」

 言った瞬間二人の目が輝く


「明日はお兄ちゃまと二人きり、えっへっへ~」

「明日はお兄ちゃんと二人きり、えへへへへへ」

 両者かなりの自信ありか……


 オ○ロ

 白黒両面の石で行い、石を挟むとひっくり返り黒か白、自分の色の石になるという単純なゲーム、8×8マスの中で64個の石で争い34個自分の色にすれば勝ち。


「お兄ちゃま、石を一つ握って、机に伏せて、お姉ちゃま、黒か白か当てて」

 どうも先行後攻を決めようとしているらしい、ちなみに先行後攻どっちが有利かはわからないらしい。


「黒!」

 妹がそう言い、俺が手を開くと白だった……


「美月が選ぶ権利ね、美月は引き分けだったら勝利をえらびます!」


「へ?、黒か白じゃないの?」


「お兄ちゃま、公式ルールにあるの、先行後攻を選ぶか、引き分けだったら勝利を選ぶかって」

 そんなルールが……、美月は今回絶対に引き分けにしないと言う宣言をする、本気だ!


「いいわ、じゃあ私は後攻、白で」

 奇しくも今日の格好のゴスロリ対白ゴスでの勝負となる!、いやいやだから、なんだこれ?


「じゃあ始めるよ栞姉ちゃま!!」

 そういって黒の石を打ちひっくり返す。

 妹も静かに白い石を打ちひっくり返す。


 暫く無言でカタカタとひっくりかえす音だけが居間に響く

 二人の真剣な顔に俺にも緊張が走る。


 序盤はいかにして多く石をひっくり返さずにし、打てる場所を増やすかが勝負のポイント

 そこは二人とも知ってて当たり前の様に最小の石をひっくり返えしていた。


 序盤が終わり中盤、石が端に入りだす、当然いかに四隅を取られないかが勝負だが、四隅を取られた時、この端が勝負のアヤになる。


 一進一退とも思われる石の数、次第に打つ場所が限られてくる。


「勝負よ栞姉ちゃま!!」

 なんと、ここで隅を取れ言わんばかりの場所に美月が石を打つ!


「くっ、罠かも……でもここで逃げたらお兄ちゃんに笑われる!!行くしかない!」

 いや、その真剣な姿がすでにちょっと面白いんだが……


 そういって妹は隅を取る!


「かかったわね……」

 美月は妹が置いた隅の石のすぐ横に打つ

 あえて隅を取らし両サイドの打つ場所を増やすという作戦に出た。


「くっ……でも反対側の隅を取ればかなりの確率で勝てる!!」

 終盤戦に突入、両者隅の取り合いに!


「あ!」

「あ!」


 二人同時に声をあげる、ここで妹の打つ場所がなくなる。


「パス……」

 致命的とも思えるパス、しかし美月が手を止める


「え、でもこれって……」


 そう、美月が打てる場所に打つと必ず隅が取られてしまう、既に隅を一つ取っている妹の勝利が近づく


 美月の目が凄い勢いで動いている、残り全ての手を計算しているんだろうか?


「大丈夫いける!!」


 そういって美月は打った……




 そして、勝負が決まった……、たった1個の差だった……




 勝者は………………




 次回!、妹か!、ロりか!


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