23-6 天国に一番近い海
「水着着てきてぇ正解だったねぇ」
水着のお陰で着替えもあり、4人は風呂に入って、着替えてから食堂に来ていた。
急の宿泊にも関わらず夕飯を出して貰う、魚料理が美味しい
何でもここでは有名なお酒、泡波という幻の焼酎が飲めるらしいのだが、生憎高校生なので飲めない
お客さんは、このお酒目当てに来てる人もいるとかで、一部盛り上がっている。
こっちは、超美人が3人もいるので絡まれそうだが、高校生だからあんたら絡むんじゃないよと女将の一喝で、今の所絡まれてはいない。
俺は、少しばかりの心配と、結構な優越感で食事をしていた。
「この魚の唐揚げ、美味しいね」
「グルクンのぉ唐揚げってぇ言ってたよぉ」
「グルクン?」
妹がうまいと言って、麻紗美が答え、俺が聞く、美智瑠は夢中で食べいている、美智瑠さっき大盛のソーキそば食べただろう……
「グルクンってぇ言うのはー、熱帯魚みたいなぁお魚だってぇ」
「うお、真っ赤だ、酔ってるのか?」
「泡波飲んだのかなぁ」
スマホで画像を見ると、アジっぽいんだが、目や鱗が赤い、酔っぱらっている様だった。
その他にもアグー豚やジーマーミ豆腐など出て美味しゅうございました。
夜になって、星を見に行っておいでと言われ散歩に、島の港の反対側に星空観測所もあるらしい、宿ではここへのツアーもやってるが、今日は生憎、車の関係で行けないらしい
ただ、どこから見ても綺麗だよと言われ4人で星空を見に行く。
「うえーー、甘いけど、なんか草っぽいい」
サトウキビを貰った美智瑠がかじりついていた。
「あ、でも甘いんだ」
「うん、ほら」
歯形の付いたサトウキビの茎を渡される
「竹みたいだなー」
かじると確かに甘いんだけど
「ほんとだ、うえーー草っぽい」
「でしょう」
あれ、いま俺美智瑠と間接キスしてない? てか、まあそれを言ったら小学生の時、サッカーの後ジュース散々分けて飲んでたけど、あの時は男だと思ってたから、今は若干照れる
「へー私は結構いける」
「甘いねぇ、でも美味しいぃ」
二人は気にいった様だった。
ちょっと行くだけで真っ暗になってしまう、携帯の灯りで足元を照らしながら歩く、勿論、街灯なんて全くない
ちょっといった所で上を見上げた
「え?」
俺のその声でみんなが一斉に上を向く
「え?」
「うそ……」
「なにぃこれぇ……」
プラネタリウムでも見ている様だった、いや、そんなもんじゃない、大小様々な色、数、機械で再現なんて出来るわけがない、その写真でしか見たことのない星空が目の前に広がる。
あまりの事で、全員声が出ない……
天の川が綺麗に見え、夜空が星で明るく見える、そんな気さえする。
「す、凄い……」
ようやく言葉が出たが、凄いとしか言いようがない……
4人は無言で空を見上げている。
暫く見ているとふと本で読んだ事を思い出す。
「あの星全部が恒星なんだよな、信じられない……」
「恒星?」
「今光って見えているのは、太陽なんだよ、ほとんどが……そしてその周りに俺達が住んでいる地球みたいに、ほぼ全部に惑星が回ってる」
「この数の中に更に星があるの?」
「まあ星っていうのは太陽みたいに自分で光っている恒星の事を言うんだけど、そうだね」
「これを見てると、ホントに自分がちっぽけに思えるよ……」
「お兄ちゃんは小さくなんかないよ、私の恒星だもん、私はお兄ちゃんの周りを回ってるだけの惑星……」
すると突然、美智瑠に手を繋がれる。
「え?」
俺がその手と美智瑠を見ると、美智瑠は上を見ている、すると今度は逆の手を麻紗美に繋がれる。
そして、麻紗美と美智瑠が妹の手を繋ぐ
輪になった状態で3人は空を見ている。
なんかいい雰囲気だなと、俺も空を見ようとしたその時
「ぼ、僕は!、ゆうが、好きだ!!大好きだあああああ!!」
「え!」
突然美智瑠から告白される。
美智瑠を見ると上を向いたままこっちを見ていない。
「え?っちょっとえ?」
すると今度は麻紗美が日頃出したことのない声量で叫ぶ
「私も!ゆうがぁすきいいい、大好きいい!!」
「えええええええええええ」
今度は麻紗美が俺を好きだと叫ぶ
ちょっと待って、どういう事?
更にとどめとばかりに、妹が叫んだ
「二人より私の方がすきいいい、お兄ちゃん大好きいいいいい!!」
正面の妹が叫ぶ
「え、ちょっと、え、何これ?」
3人はずっと上を見続けている、特に誰を選べとか、返事はとかそんな雰囲気ではない
何か星にむかって宣言した、自分の気持ちをはっきりさせた、そんな感じだった。
びっくりしたが、正直嬉しかった、俺なんかを好きでいてくれて
この凄い数の星を見て、俺はちっぽけじゃない、ひとりぼっちじゃないっていう気分にさせて貰えた
涙が出てくるのをこらえ、正直に今の気持ちを3人に伝えた。
「ありがとう!」
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