11-2 俺と銀髪美少女の過去
美智瑠はオレンジジュースを飲み、ポテトを一つ掴むと俺に向けて
「覚えているかい」
と言ったが、正直その出会いは忘れていた。
「うーーんあんまり覚えていないなー」
「君は、優しいからな当たり前の事をしただけなんだろうけど、僕には君はヒーローに見えたよ」
そう言うと、再び話し始める
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僕は君に会いに行く為に、毎日公園まで自転車に乗って行っていた。
暫く二人でサッカーをしていた、僕は毎日練習していたから、結構上手かったんだろうな
ある時、仲間外れにしていた子達が
「お前上手いな、こないだはご免よ一緒にやろうか」
僕は、いまさらと思ったが、そんな姿を見た君が
「みんなと一緒にやるのが本当のサッカーだぜ、みんな、お前を認めたんだ、一緒にやろう」
そう言ってくれた。
「うん……やる」
そう言ってくれた君の事を、僕は初めて親友が出来たと思った
でも、君は僕の事を男の子と思っている、僕は嘘をついている、それを言いたかったでも
それを言う事により君との関係が壊れる、僕は大切な時間を失うのが怖かった、僕はそれを言い出せなかった。
ある時みんなが帰って二人になった時に君が言ったんだ。
「お前サッカー上手いなー、俺よりみんなより上手いよ、どこかのチームに入ったりしないのか」
「僕は君らとサッカーするのが、君とサッカーするのが何より楽しいんだよ、だからチームに入るより君と一緒にやりたいよ」
そう言うと君は満面の笑みを浮かべ
「じゃあ俺も練習してお前と同じくらいにならなきゃな」
「じゃあ僕が教えてやるよ、僕らは相棒だ!」
「おお!いいな相棒、テレビみたいだな」
親友でサッカーの相棒、僕はうれしかった。
でもどうして君に女だってばれなかったのか不思議なんだよね
いつも隠れて見ていた君の妹、何度か君に見つかって、君と一緒に帰っていたけど
その妹さんに一度トイレで会ってね、流石に男子トイレには入れなかったから、こそこそ行っていたんだけど
君の妹は僕を睨んで、
「やっぱり女の子だったのね」って言ったよ
僕は「うん」とだけ答え
彼女は、「どうして?」と
僕は正直に「サッカーをやりたかった」と言ったら
「そう」と言っただけだった。
絶対ばらされる、終わったって、僕の大切な時間はもうなくなると思ったけど、
君の態度は変わらなかった。
妹さんは誰にも言わないでおいてくれたんだろうな。
そしてある日、パパの転勤が突然決まった。
僕は、君に引っ越さなければいけない、自分が女の子という事を言わなければいけない、そう思ったが、なかなか言い出せなかった。
引越しの事だけでも伝えればよかったんだけど、両方言うつもりだったからな。
でも言ってちゃんとお別れしなきゃと、覚悟を決めたんだが、その頃は雨振りが続いて、なかなか会えなかった。
そして引越し前日、晴れたにも係わらず誰も公園に来なかった……
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美智瑠は再び居住まいをただし、僕に向かって
「せめて仲間の誰かにと思ったんだけどね、勝手にいなくなってすまなかった、そして騙してすまなかった、ごめんなさい」
そういうと、深く頭を下げる
「いや、いいよそんな事しなくても、頭を上げてくれ」
俺は昔を思い出しながら、美智瑠に正直に話した。
「確かに、美智瑠がこなくなった時はショックだったよ、急に来なくなったからな、心配で色々聞いてさがしたんだけど、同じ学校じゃなかったから全然みつから無かったよ、俺の相棒がいなくなってしまった親友がいなくなったってさ、そのままサッカーもやらなくなってしまった、まあそんなに上手くなかったし」
「でもこうしてまた会えてよかったよ、元気にしてたか相棒」
「うん、君も元気でよかった」
数年振りに相棒に会えた。
「それで、そっちはサッカーはやってないのか」
「ああ、女子でサッカーは中々ね、君と別れたショックもあって辞めてしまったよ」
「そうか、勿体無いな、お前ならかなりいい所まで出来たんじゃないか?」
それだけ彼女のボール捌きは小学生ながら、すばらしかった
「どうかなー?上には上がいるからなー」
「で、また転勤か何かで戻ってきたのか?」
「違うよ、君に会いたくて戻ってきたんだ」
「へ?」
「今、親は海外に赴任しているよ、中学3年の時に、僕も一緒にと言われたけど日本が良いとわがままを言ってね」
「姉がこっちの方にに住んでいたので姉に頼んで同居させて貰った、中学は家の近くに通って高校受験をここにしたんだ、越境入学が可能になったからな」
「まあ、越境できなかったら、頼みこんで引越ししてもらったけどね」
ケラケラと笑う美智瑠
「昔遊んでいた公園の近くのこの学校を起点にしたら、ひょっとしていつか君に会えると思ってな、まさか同じ高校だとは思わなかったよ」
「俺が引っ越してたらどうしたんだよ」
「まあ、考えなくも無かったけど、それでもいつか会えると信じていたよ」
「そうか、信じてくれてありがとう」
「こちらこそ、ここに居てくれてありがとう」
俺たちは赤い顔で見つめあっていた。
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