波乱の高校生活

8-1 妹の本気


兄ちゃん朝だぞー、お兄ちゃん起きなきゃダメだよー


某あきらめさん、失礼噛みました、某元吸血鬼さんの様に、仲の悪い妹に起こされる訳もなく今日も目覚ましで…


「お兄ちゃん起きてー朝だよーー」

なんか妹みたいな目覚ましだな、そんなボイス目覚まし買ったっけ?


枕元を探るが目覚ましが無い


「お兄ちゃん起きろーー朝だよーーー」


目を開けると目の前に目覚ましを片手に持ち、制服にエプロン姿の妹がいる


「ひょへひふうううう!」


奇声を上げて飛び起きる俺の姿にケラケラ笑う妹


「なにそれー面白ーーい、お兄ちゃん私が朝ご飯作ったから今日は食べて学校行こうね」


「へっ?」


そういって目覚ましを俺の手に持たせ、下に降りて行った。


あれから数日、土日を挟んでお互い少し落ち着き始めた俺と妹

しかし、今日突然朝起こしに来るなんて、一体何なんだ?


今まで妹に起こされるなんて滅多に無かっただけに驚きまくってしまった。

しかもご飯?


意味が良くわからずとりあえず着替えて下に降りる。


キッチンで妹は洗い物をしている、テーブルには二人分の朝食、

トーストにハムエッグ、サラダにコーヒーと彩りも綺麗な朝食が用意されている。


「どうしたの、これ?」


「私がつくったんだよー」

手をエプロンで拭きつつキッチンからテーブルに来る妹


「じゃあ食べようお兄ちゃん、いただきまーす」


手を合わせ、俺の前で食事し始める


「お母さんは?」

「準夜勤だったから寝てるよー」

ちなみに母は看護士です。


トーストを齧りつつ疑問点を聞いていく。


「で、なんで栞がご飯を?」


「お母さんにね、私も、もう高校生になったしお母さん毎日仕事で大変でしょ、だから朝ごはんとお弁当位は、これから私が作るーよーって、まあ今までも時々作ってたけどねー」


「そしたら、本当に?すごーく助かるって」


 ニコニコしながらパンを頬張りつつ話す妹

成る程いつの間にそんな話を


 俺もなんかした方が良いのかなー?と若干の罪悪感を持ちつつ


「ほーー偉いなーーでも無理するなよ」


「うん、大丈夫」


 そして、そのまま食事を終え、いつも通り先に家を出ようとした所


「待ってお兄ちゃんお弁当」


「え、俺の分も作ったの?」


「当たり前でしょ一人分も二人分もそんなに変わらないし」

 いつもの弁当包みを渡される。

うーーーん、なんか凄いな妹よと思いながら


「ありがとうじゃあ行ってきます」と弁当を鞄に入れキッチンを出て玄関に行く。


「まってお兄ちゃん私も出るよ」

エプロンを外しながら妹に引き留められる。


「一緒に行くのか?」

「なんでー?おなじ高校じゃないー」

笑顔の妹にそう言われ、まあ、そうなんだけど……、あれあれ?と思っている間に外に出て並んで歩く


「えーっと栞さん一体どうしたん」


一緒に歩きながら、再びどうしたのか聞こうとしたが、言う間もなくやっぱり来ました栞軍団一人目


「しおりーーおはようーー」

待ち伏せでもしているのかよ?、という位の早さで、家を出てすぐに声を掛けられる。


しゃーない先に行くかと前に出た瞬間シャツの裾を捕まれる。


「お兄ちゃん今日は一緒に行こうよ、すみれもいいでしょ?」

この方すみれさんって言うのね、多分同じクラス?


いつもと違う強引な妹に

俺もすみれさんも???な状態になるも嫌だとは言えない


「うんいいよー別に」


三人で並んで歩く、暫くギクシャクしたしゃべりをしていた二人だが

ちょっとするといつも通り喋り始める


俺は石の様に気配を消そうとするが、何かと

「ね、お兄ちゃんもそう思うでしょー」

など、話しに入れようとする。


いや、今年のスカートの流行りが何かなんてわかるわけねえだろ……


 そして次々に入ってくる妹軍団、その度になんでこいついるの的な視線


何?、何?やっぱり妹は怒ってるのか、これってほぼボッチの俺に対するいじめか何かか?


妹軍団のキャピキャピした中に入れられ、我慢する事十数分ようやく学校に到着。


「あ、俺トイレに行くから、先行っていいよ」


 さすがに一緒に行こうとは言われず


「はーい」と妹は軍団を引き連れ教室に


 一体全体どうしたのか、聞くに聞けない


別に行きたくは無かったが、このまま直ぐに教室に戻るのも変だと玄関付近に居ると


「やあ、ゆうおはよう」

 銀髪碧眼の僕っ子美少女、美智瑠に声を掛けられる


「こんな所で佇んで僕に何か用かい?」


「あ、いや」


「デートならOkだぞ、来週の日曜日なら空いている」


「いやしないから」


「そんな嫌がらなくても良いだろ、まあデートじゃなくても一度君とはじっくり思い出話でもしてみたくてね」


「ああ、俺も昔のお前の話しは聞いてみたいし別にそれくらいなら、今度機会があったらな」

 やっぱし、もう彼女じゃないけど、妹に聞かないと駄目だよな?


「そうか、じゃあまた今度な!」


 そう言って美智瑠は教室に戻っていく


「そろそろ良いか」


 自分も教室に向かう

教室に入ると妹は友達に囲まれて喋っていたが

俺に気付くなり、こっちに向かって手を振りだす。


 一斉に俺を見る栞軍団


俺も軽く手を上げそそくさと席に付く


「なんだなんだなんだなんだ、なんなんだーーー?」


 妹に対する対応が分からん。

怒っているようには見えない、嫌がらせするような性格ではないはず。

授業が始まるが集中出来るわけも無く、時間が過ぎていった。


 そして昼休み、またや妹が動く


授業終了と同時に妹は準備していたかのようにお弁当を持って立ち上がり

俺の横に立つ、そして



「一緒にたべよ、お兄ちゃん」



周りに一瞬静寂が起きる


本当になんなんですか?栞さん


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る