23話 イラストも好きだけどゲームも好き!だけどやっぱり?

 村井先生というハプニングはあったものの、なんとか体験入部を切り抜けれた。


 デッサンをやってみて思ったのだけれど、やはり前世の技術もこちらに反映されているみたいだ。それはテストの時のラクガキからもわかってはいたけれど、改めて全力を出してみたらとても今の年齢で描けるようなものではないものが出来たので確信に至りましたとさ。


 完成したデッサンを村井先生に見せたら目の色を変えて真剣にうちの部活に入らないか?と勧誘されもした。そりゃこの年であんだけできりゃ将来は有望だよね。これがちーと(笑)能力か……。ひけらかすつもりはないけれど、当初の願望通りこっちを真剣にやって突き詰めてみたいっていう気持ちが強くなったかな。


 勿論陸上についてもまだやりたい気持ちはあるけれど……うーん、こりゃやっぱ美術部かなぁ。運動は個人でもできるし。あ、絵も個人でできるんだけどね。ただ刺激を受けたいっていうのはあるし、折角指摘や感想をくれる存在がいる部活動としてやるのなら美術部かなって感じ。


 というわけで、早速入部届を書いてその場で提出した琴音ちゃんでした。お母さんには相談しないのかって?そりゃしたよ。でもどっちもそんなにお金のかからない部活だし、好きな方をやりなさいなの一言で終わったよね。これが剣道部や吹奏楽部なら話は変わったと思うけど。


 そんなこんなで今日も1日があっという間に終わり私は帰宅した。帰宅後は晩御飯の下ごしらえをして、その後は予習だ。予習と言っても殆ど内容は知っているので、軽く読んであーこんなことやってたなぁと思い出して終了。中学一年の内容なんてそんなもんだよね。本格的に勉強しなきゃいけなくなるのは2年生になってからじゃないかな。その辺にはなると英語も国語もそれなりに難しくなるし。数学は3年になってからが鬼門かな。私そこでつまづいたし。理科や社会に関しては覚えるだけなので問題なし。電気系統については高校でその方面だったので得意だし、問題があるとした物理かな。ま、どっちにしろまだまだ先のこと。……いや、今からその辺の苦手潰しておいた方がいいかも。今度参考書買いにいこ。


 さて普段をそんな風に過ごしている私だけど、何も趣味がないわけではない。私だってやりたいことは沢山あるんだよ。


 私が趣味としていたこと。それはゲームとイラストだ。うん!見事にインドアだね!


 ゲームでは主にFPSファースト・パーソン・シューティングやRPGをやっていた。その中でもメインでやってたのがFPSだ。FPSとは名称通り一人称視点のシューティングゲームであり、基本はマルチプレイで対人戦を楽しんでいた。結構夢中になってプレイしていた私は、Glory of the Battlefield、略してGBというシリーズで強豪クランに在籍し、クラン戦ではそれなりに活躍もした。


 RPGではドラ○エが大好きで5では結構泣きました。パパンの声がね、悲痛で……。スピンオフ作品の漫画なんかも読んだりしたっけ。


 まぁ何はともあれゲームが大好きなのです。社会人になっても、少ない時間でプレイして楽しんでましたよ。そんな私がですよ?ゲームやりたいと思わないわけがないじゃないですか。本当はめっちゃやりたいんすよ。マルチプレイしたいんですよ。敵兵のどたまバキューンしたいんですよ。でもね、残念なことにね。この時代ってまだそのタイトルが出てないだけではなく、そのハードがまずないんですよ!


 P○3?そんなものありません!まだP○2だよ!PC?残念!中学生のお金じゃ買えません!


 詰んだよ!どう頑張ってもできないよ!やれるとしたら今手元にあるドラ○エくらいだよ!ス○イム仲間にして愛を持って育ててLv99にするくらいしかできないよ!ちょっとやりたくなってきたよ!喰らえ!灼熱!


 というわけで、ゲームに関してはもう少し待たないといけないんですよね。まぁ後2年くらいの辛抱だし?しゃーないよね。それに私の以前の接点のある人達もそれくらいじゃないと始めないだろうし……またみんなとゲームやりたいなぁ。


 で、次の趣味だけれど、こいつは今からでもできるんだよね。イラストだったら紙とペンがあればできるし。欲を言えばPCと液タブがあれば尚良いんだけれど、この時代の液タブは性能が非常に悪い。板タブでもいいんだけれど、どっちにしろPCがないとダメなのでデジタルはお預け。コピックを買ってアナログを極めてもいいんだけれど、コピックも全部揃えるとなると結構な額になるのよね……。当面は白黒と色鉛筆で我慢しましょう。


 あ、色鉛筆侮っちゃダメだかんね!使い方次第で凄い味が出るし表現できるんだから!


 というわけで、今日は空いている時間をお絵かきに使おうと思うの。幸い?てか不幸なことにもせブラザーズはまだ帰ってきてないし……うぅお姉ちゃん、弟ニウム不足で倒れるかも……ギブミー弟み。


 さて、ブラザーズがいない以上自己完結することしか出来ないので私はイラストをやっていこうと思う。


「何を描こうかなぁ」


 さーやって参りました!絵描きさんあるある、いざ描こうと思ったらアイデアが浮かばずそこに時間がかかるの図です!


 今回はここにどれくらい時間をかけるのでしょうか!解説の琴音さんよろしくお願いします!


 そうですねぇ……。まずここにどれくらい時間をかけるかによって今後の展開が変わりますね。ここは始めの山場、この後に線画と呼ばれる沼と、着色という剣山が待っていますからねぇ。1時間コースで行くとなるとここに使える時間はそう多くありません。


 なるほど!ではどうすれば早くここを抜けられるでしょうか?


 それはずばりモデルですね。なんでもいいんです。写真でもマンガの一部でもゲームでも。そこからいいなと思うものを見つければいいんですね。後はストーリーを頭の中に思い浮かべられているならそれでもいいでしょう。


 ははぁ。しかし今彼女の手元にはそれらはありませんが……。


 その場合には最終手段があります。


 その最終手段とは?!


 自分がモデルになる、ですね。幸いにも彼女の机には手鏡があります。それを用いて自分でポーズをとり、キャラクターに同様のポーズを取らせるのです。


 なるほどなるほど!しかしそれは中々恥ずかしくないですか?


 あまぁぁぁぁぁい!!恥ずかしがってて絵なんて描けねぇんすよ。いいですか?彼女は女の子なので女の子のイラストを描く際のポージングには違和感はありません。しかし!しかしねぇ!世の中の男性イラストレーターは女の子のポーズを表情付きでやるんですよ!クネって!クネってしたりニヤッとしたりするんですよ!自分でその写真を見てズーンとなりながらも画面の中の女の子に同じポーズをさせるんです!恥ずかしがって済むなら構図に困らねぇんすよ!!


 あ、ハイ。

 お、どうやら彼女もポージングし出しましたね。


 そうですね。手鏡を持つ構図の以上、片手でしか動きを付けられません。後は俯瞰やあおりを利用した奥行のあるものにするしかないでしょう。

 おや、だいぶ動いてますねぇ。片手ピースに俯瞰ですか、これはあざとい。しかもしっかりS字を意識してますねぇ。


 あ、琴音さん。今カシャッて音がなりましたよ。まるでカメラのシャッター音みたいですね。彼女カメラ持ってませんけど……。


 ママ上ぇぇぇぇぇぇええええええええ!!?!


「なんでいつもこーゆー時にくるのぉ!」

「娘の撮影会の気配がしたので(キリッ」


 キリッ!じゃないよ!なんなんだよ!なんでいつもタイミング良く、じゃなくてタイミング悪く来るんだよ!おかしない!?ねぇ!!ちょっと油断したらこれだよ!最近は落ち着いてきたなぁなんて思ったらこれだよ!忘れた頃に来るのやめて!私の平穏を返して!!


「あんたモデルとかやってみればいいんでない?元はあたしさ似ていいんだし」

「うっ……嫌だよ!よく生んでくれたのは感謝してるけど、モデルはないから!写真に撮られるの好きじゃないもん!」

「あら勿体ない。でも写真撮られるのは諦めなさい。これは娘の成長記録で、それを収める義務が親にはあるのよ」

「それ前も聞いたし!でもこれ成長と関係ないよね!」

「既に写真集出来ちゃってるし諦めなさい」

「写真集まで出来ちゃったの?!」

「そうよ!お父さんやママ、それから秋田のおばあちゃん達、あ、水瀬ママのとこにも送ってあるから回収は不可能よ!」

「行動が早いよママン!??」


 何そのやりきった顔!早いよ!何よりもスピードが早いよ!SSD換装したPC並に早いよ!私の個人情報どこいった!これISMSに引っかかってるよ!情報漏洩でインシデント報告あげなきゃだよ!!


 てかみーちゃんママに送ったってことはみーちゃんにも見られちゃうぢゃん!あそこ家族の結束強いから絶対共有されてるよ!私明日からどんな顔して学校行けばいいのよ!グラサンマスク?グラサンマスクかけて登校する?私ゆーめー人だからぁ、顔隠さないと騒がれちゃうのよねぇとかってやっちゃう?


 ダメだよっ!不良さんだよ!私12歳にして不良少女なっちゃうよ!きっとヨーヨーシューシューしながらロングスカート履いてるよそれ!……スケバンだよ!!!


「結構いい出来よ?起承転結もしっかりしてていい写真集になってるわ!勿論入浴シーンも入れてあるわよっ!!」

「はぁっ?!!入浴シーンってなに?!!一体いつ撮ったの!!てかなんでそんなもん撮ってるのよ!!!」

「あなたが体流してる時にちょいちょいっとね。あ、後姿だし大事なとこは写してないから安心なさい」

「安心できないわっ!私のプライバシーは?!ねぇ、私のプライバシーさんどこいったの?!」

「養われてる時点であんたのプライバシーなんて存在しないわ!」

「横暴!横暴だよ!ストライキ起こすぞ!!」

「あ、ケーキあるんだけど食べる?あんたの好きなチョコレートよ」

「うそー♪食べる食べるぅ~……って騙されないからね!!」

「ちっ……」

「ちっじゃないよ!もぉー!!」

「牛さん??」

「ちゃうわいっ!」


 相変わらずママ上のからかいは半端ない……。私疲れちゃったよ。どんだけツッコミしてんのさ。


 ほら見てよ。あの顔。ニマ~ッて。あの顔が憎たらしい……んぎぎぎぎぎ。


「でもケーキあるのは本当よ。食いたいんだばこっち来なさいな。それともいらない?」

「……食べるっ!!」


 食べ物に釣られてるわけじゃないんだからね!ケーキに、ケーキに罪はないのよ。食べてあげないとケーキさんが可哀そうなんだから食べるだけよ!


 私はぷんすこと怒り心頭になりながらも、ママ上についていきケーキを口にする。


 あら、美味しい。

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