闇

歩

　俺は歩いていた。

　ずっと闇の中を歩いていた。

　比喩的に、実際に、闇の中だった。

　その闇がどこまで続いているのかはわからない。

　もしかしたら俺の周りには闇がずっと潜んでいたのかもしれない。

　もしかしたらその闇は俺自身が生み出したものかもしれない。

　それでも今、俺は闇の中を歩いている。

　死ぬことも許されず、立ち止まることも許されない。

　そんな闇の中で、さらに闇の深いところへ歩いていく。

　その先に光はないと分かっていながら、闇の檻を進む。

｢生きていればいいことが｣なんて、人はいう。

　俺はあえてこう返そう。

｢人生こそが、闇そのものなんだよ。｣