~信じて頼る~・おまけスキット

~静かな時間~


カッセ「皆は一体どこに……無事だといいが……」


カッセ「…………」


カッセ「どうも、静か過ぎてやりにくいでござるな……」


カッセ「……不思議なものだ。以前は独りが当たり前、身を隠して音を消して行動していたというのに、今はそれがひどく昔のことのよう……」


カッセ「なんて、はは……参ったな。これはもしや……」


カッセ「……“寂しい”のでござるか、拙者は……」



~怪しいポイント~


デュー「なあ、お前どの辺であいつが偽者だってわかった?」

カッセ「ああ、発言のいくつかで引っ掛かったのでござるよ」

デュー「ふーん、例えば?」

カッセ「“気付いたら何もない部屋に一人倒れていた。お前と同じだ”……拙者がどういう状況だったか、まるでわかっているようだった」

デュー「つるっと滑らせちまったんだな」

カッセ「あと拙者のことを“わかりにくいヤツだ”と」

デュー「ぶっ」

カッセ「笑うな」

デュー「わりぃわりぃ、だってなぁ……」

カッセ「……“わかりやすいヤツだ”ってそのにやけた顔に書いてあるでござるよ」

デュー「へへ、わかってるじゃねーの」

カッセ「当然でござる」



~恐怖の記憶~


デュー「カッセ、大丈夫か?」

カッセ「魔物も倒したし、もう大丈夫でござるよ」

デュー「そうじゃなくて、さっき襲われた時……思い出したんだろ」

カッセ「う」

デュー「……悪いな。もう少し早く助けに入れたら、怖い思いさせずに済んだのに」

カッセ「拙者が未熟なのでござるよ。マーブラム城でのこと、モラセス王はもうとっくに元に戻って進みだしているのに……とっくに過ぎたこと、だったのに」

デュー「それはそれとして怖かったんだから仕方ねーだろ」

カッセ「だが……」

デュー「っていうかそれ抜きにしたって王様怖ぇし強烈だし、そりゃ記憶にも残るだろ」

カッセ「デュー殿……」

デュー「帰ったら王様に文句のひとつも言ってやろうぜ。な?」

カッセ「も、文句でござるか……」

デュー「何ならガツンと一発」

カッセ「恐ろしくてできないでござるよ!」



~ツーでカーなふたり~


デュー「それにしても、脅しに見せかけて雷で合図を送るなんてうまいこと考えたよなあ」

カッセ「だいたいどのくらいの距離にいるかはわかっていたし、デュー殿なら気付いてくれると思ったでござるよ」

水辺の乙女『なるほど……つまり、ふたりの信頼関係あってこそ行えた手段なのですね』

弾ける雷電『≧◆Ψ☆!』

デュー「なんて?」

カッセ「記憶を借りただけの偽者には真似できないぞ、と」

デュー「ああ、その通りだ」

水辺の乙女『記憶という情報があっても、経験しなければわからないでしょうね』

デュー「所詮は付け焼き刃なんだよな。グラッセみたいに時間をかけないと……って、ありゃもう別人か」

カッセ「情報だけでは、か……こういう事なのでござるな」



~役者不足~


デュー「まったく、オレに化けるヤツがいたなんてな」

カッセ「仲間の姿で油断させて倒すつもりか、疑心暗鬼に陥らせて同士討ちを狙うか……といったところだろうか」

デュー「けど化け方が甘い!」

カッセ「完璧だったら困るでござるよ」

デュー「そりゃそうだけど、オレの姿であんな風にされるとなぁ……」

カッセ「じゃあどうして欲しいのでござるか?」

デュー「どうもこうも、オレもっとかっこいいし」

カッセ「……真面目な顔で言うことだろうか」

デュー「カッセだって自分に化けたヤツがダサかったら嫌だろ?」

カッセ「うーむ」

デュー「イケメン度が足りない! やり直し!」

カッセ「……やらしさと図太さとキザったらしさもでござるな」



~最低でござる~


デュー「ことあるごとに不潔だの最低だのひどいよなお前」

カッセ「先程の発言を思えば当然でござろう」

水辺の乙女『いい女に数値は意味がないと宣った口で舌の根も渇かぬうちにスリーサイズを尋ねればそうなるでしょう』

デュー「だってカッセが知ってるって言うからー」

カッセ「拙者のせいか!?」

デュー「興味がないかと言われりゃ嘘になるだろ。オレは自分に嘘は吐きたくないんでな」

水辺の乙女『誇らしげに言うことですか』

カッセ「こんなのを一瞬でも頼もしく感じてしまったのが口惜しい……」

デュー「随分な言い様だな。けど、頼りになるだろ?」

カッセ「……近寄るな。助平がうつる」

デュー「ひでえな、おい」

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