コミュ症達の青春謳歌

二坂 翠

第1話 過去

高校生になれば自分の中で何か変わると思っていた。私"海月小夜"には中学で友人と呼べるひとは一人もいなく孤独というには十分だった。自分で言うのも恥ずかしい事だが勉強も人よりは出来たし運動も。しかし中学生なんてものは勉強より人間関係の方が重要だと今なら言える。私は女子の平均身長(現在は158センチ程度)を超え今では178㎝ほどある。困った事にこの身長のせいで中学では姉の様な慕われ方をした。だからといってコンプレックスではなかったが、言い訳かもしれなけど同級生に対等であると見られたことが無かった。そのせいで対人能力になんらかの致命的な欠陥が出来てしまったのだろう。

高校ではもっと人と話せるようになりたいと思ったのも束の間。中学と同じだった。人は簡単には変わらないと言うがその通りだ。本当は人と話したい、楽しく遊びたい。

私は変わりたい。変わりたい…



***



俺"林条馨"は変われた。何がと言われれば、過去の自分とだ。中学生の頃は世間で言う"陰キャ"と言われる部類だった。部活も吹奏楽部のパーカッションに所属したが大会にも出ない弱小だった。(俺はそれなりにドラムがただけるようになったわけだが)自ら人との関係を絶ったわけではないがその頃の俺にはどうしようもなかった。

友人と駄弁る事も出来ないのでアニメや漫画、ライトノベルなどにのめり込んでいた。この頃に俺はだいぶオタクに近くはなったと思う。それは置いておいてその作品には高校生がよく出てきた。(中学生が主人公の小説など数少ない)いつのまにか俺は高校生になりたくてたまらなくなっていた。学校にスマホが持ち込め、購買があり電車や自転車通学。帰りには友人と一緒に飯を食いに行ったりと、そんな事も含め俺なりの完璧な高校生活を楽しむため勉強をだれよりもしたし胸を張ってに歩く努力をした。それは実り中々の進学校に入ることができた。俺の事を知る人はいなく、いわば高校デビューを果たせたと言うわけだ。

俺は昔の自分から変われたのだ。変われたのだ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る