少年の狂気は何を壊すか

風来猫 七昼

第1話 それは唐突に


 突然だがどうも暦敬一です。


 小学生の頃から良くスポーツをやっていて、俺には人並み以上の体力と力があると自負している。

 だが、同じく小学生の頃から良く、女みたいな名前だ、と言って弄られてきた。小学生の頃は良かった。


 人間と言うのは自分や自分の入ってる集団と違っているものがいれば、嫌悪し、迫害する大変に臆病で傲慢な生き物だ。


 端的に言おう。俺は中学に入った途端に虐められ始めた。

 始まりは何だったか、確か教師の一言だった


「変わった苗字ですね」


 確かこの台詞だったはずだ。今更この教師を責めるつもりは無い。

 先ほども行った通り、人間は変わったものを嫌悪し、迫害する。


 最初は、友達と思っていた奴と話の辻褄が合わなくなった時だ。

 それ以降、そいつとはあんまり関わらなくなった。


 その次は、教科書を隠された。幸い放課後には俺の机の中に何事も無かったかのように戻ってきていた。

 その日から、常に相手の表情や微妙な体の動きで感情を伺う生活が始まった。


 すぐ終わると思いきや、それは止まらなかった。

 部活の先輩に俺の弁当をぶちまけられたり、色々された。

 そしてついに、小学校で仲良くしてた奴らまで俺のことを笑い始めた。入学してから約一ヶ月で、である。


 お母さんを余計に心配させないために、無理にでも家では普通を装った。

 いじめっ子たち―と言うかほぼ全員か―につけられた泥や水は部活の練習と言い張った。


 何度も抵抗しようとしたが、無駄だった。あいつらはいつも何人かで虐めて来る。



 だが、いつからだったか...確か二年の終わりくらいだったかな、人の考えてることが分かるようになったのは。

 もちろんそのことは誰にも言わなかった。言ったとしても誰も信じやしないし、虐められるネタが一つ増えるだけだ。言う価値もない。


 いつも通り自宅に帰るとお母さんがこう言った。


「おじいちゃんのお見舞いに行こうか」


 もちろん断る理由も無い。


 そんなわけでおじいちゃんの病室。


「おじいちゃん、大丈夫?」


 なんとなく、本当になんとなくだが、そう聞かなくてはいけない気がした。

 おじいちゃんが、目をあけた。おじいちゃんは充血した目でこちらを凝視するように言った。


「大丈夫」


 嘘だ。絶対にそんな顔をしながら言えるような台詞じゃない。

 

 その本心が気になったというか、心を読まなきゃいけないと。思った。


(んhwrgぴqんりえmヴぃwmふぃおmkd.........い...き......たい....まだ)


 雑念が大半だったが、何とか聞き取れた。「生きたい」と。


「ふふふ...そういうことか......簡単だったじゃないか...」

「どうしたの?敬一」

「ごめんねお母さん。なんでもない」


 生きたいなら、文字通り、じゃないか。まさにみたいに。


 ねぇ?そうでしょ?



 翌日、少しいつも通りではないものの、いつも通り登校した。

 しかし、ここでいつもいじめっ子に遭遇するはずだが、今日は珍しく居ない。


 

 いじめっ子達も学校に登校し、その後のホームルームも終わった。さぁ、生きるんだ。行動に移せ敬一。


 すかさず、俺は机に掛けてあったかばんから日本刀と拳銃、FN five-sevenを取り出した。日本刀を腰に差し、そのまま抜刀し、早速よってきたいじめっ子のリーダーの首にきれいに入って、斬りおとした。


「おうおう、なにやっ...」


 声は掛けられてしまったが、きれいに殺せた。初めてにしては上出来だ、そのままやるんだ。

 突然のことに反応できてない2人の首にも一刀。切れ味のいい日本刀で切ったのだから当然だ。


 おじいちゃんをことによる知識によれば、この日本刀は所謂、霊刀【魂喰タマバミ】と言われるそうで、いくら斬ろうと、人を斬れば最高の切れ味に戻るそうだ。

 そうじゃなくても、日本刀の欠点である脆さは克服し、従来の日本刀の強度の5倍近くあるそうだ。



 突然のことでクラスメイトも唖然として、何もできない状況だ。


「きゃぁぁぁあぁぁぁぁぁぁぁあああぁぁぁぁぁぁ!!」


 この悲鳴を皮切りに皆蜘蛛の子を散らすように逃げ始めた。

 もちろん逃がすはずが無い。手近な者から斬り捨て、血飛沫をあびて、それでも構わない。返り血はむしろ勲章だ。構うな、斬り捨てる。


 腰を抜かして動けない奴や命乞いをする奴、死んだ振りをする奴と、どうせ小汚く生き延びようとしようとしてるだけだ。そもそも「やめろ」を聞かなかったのはお前たちだ。そうだ、殺せ。


 校舎からは出れないようにもうすでに仕掛けてある。一網打尽、さぁ、鬼ごっこの始まりだ。


 おっと、警察がついようだ。

 あぁ、あいつらの相手は生徒達が片付いてからだ。


 隠れている奴も居た、心の声が駄々漏れだ。そんな奴は隠れた場所ごと切り裂いてやった。



 粗方片付けたかな?もう400人近く斬ったはずだ。

 おっと、携帯に着信だ。誰だ?見覚えの無い番号だ。


「もしもし?」

『もしもし、君が暦君かね?』

「あぁ、そうだ」


 厳ついおっさんみたいな声が聞こえてきたが、当然聞き覚えが無い。


『何人斬った?』

「ざっと400人かな?細かい数は覚えてないよ」

『そうか...人を斬って、楽しいか?』

「あぁ、もちろんだ」


 恐らく、警察が俺に隙を作るための接触だろう。


「SATはもう居るんだろ?」

『ははは、鋭いな。因みにもう狙撃班も配置についてる』

「俺に言うべきことじゃないだろ?ほら、そういっている間に人が死ぬ」

『...っ!!また殺したのか』


 片手間で担任の教師の腹を突く。その首を掴み電話口の近くに持っていく。


「ほら、死にたくねぇんだろ?なら警察に助けを求めろよ」

「し...しにだぐねぇぇ!!だずけでぐれぇ!!」

「ひゃははは!!こりゃ傑作だぁ!人の助けてを聞かない奴に助けは来ないんだよ!」


 そういい、俺は5-7(FN five seven)の銃口を教師の額に押し付け、引き金を引いた。


『なんてことを...』

「いくら助けを待っても助けなんか来なかった...!こいつらに助けなんか要らないんだ!」

『要求はあるか』

「ねぇな。...そうだな、俺を生きさせてくれ」

『おい!そr...』


 電話を一方的に切り、電源を落とした。


「さて、一戦やりますかね」


 5-7を制服の内ポケットにしまい、刀を両手で握った。

 昇降口を出れば、すぐそこに警官達がいるはずだ。それを殺すまで。


 いくぞ、


 一歩一歩、警察のほうに歩みよっていく。


「止まれ!そこの学生!!今すぐ武器を捨てて投降しろ!そうすれば俺たちは撃たない!」

「断る!!」

「何っ...っ!!撃てっ!」


 前方からやむことの無い弾丸の嵐が飛んでくるが、それを全て刀で迎え撃ちつつ、前へ進む。

 虐められていた頃に培った反射能力と爺さんの記憶の奥底に眠っていた刀の扱い。これが合わさればこれ位など容易い。


「撃ち方やめっ!!」


 中断されたようだ。だが、こちらは一発も銃弾を受けていない。

 そのまま威圧をするように刀を振るう。おっと、SATの中に腰を抜かした者が出たようだ。

 まぁ、いい。そのまま切り伏せるだけ。


「撃てっ!!」


 また撃ち始めたが、もう遅い。端に居た奴の首を刎ね、そのままの勢いで隣の奴を下から真っ二つにする。


 そして目の前のSAT隊員はナイフを抜いて刺そうとしているが、刀を手に突き刺し、手をナイフから離させた。そのままの勢いで心臓を貫く。防刃アーマーを着込んでいても無駄。この刀の切れ味はそれ以上だ。


「ば...化け物っ!」


 酷い言い様だな。生きることは悪いことじゃないだろ?


「化け物で結構だ」


 隊長含め全員斬り伏せた後、納刀する。


「つまらんな」

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