3.それはまるで、雨のように 著:よだか ジャンル:恋愛 

※本稿は『33.それはまるで、雨のように』迄を読んだ上での感想です。


 三本目です。カクヨムコンの中盤っていうか全体を10としたら6か7位は終わったところで始めたもんだから、あんまり数を見られなかったですね。まあここまでの感触だと、全応募作品を確認して、10作品該当すればいい方ってレベルですけど。


 で、本作。読んでる最中に自分の過去作を思い出して何とも微妙な気分になりました。カクヨムには一切出さなかった作品なんですけど、今思うともっともっと改良できるなぁと思う限り。批評者としての自分が分割できたらどんなにいい事か。


 内容……と言うか、構築は全然間違ってないと思います。後原案っていうか大元の思い付きみたいなものも凄く良いんじゃないかと思います。ちょっとネタバレっぽい感想にはなりますが、作品としては『イリヤの空、UFOの夏』とか、『エバーグリーン』(竹宮ゆゆこが原作のやつ)とか、その辺りを思い出しました。こう、ふんわりとした夏感?っていう感じ。良いですよね、夏。半袖の制服とか、プールとか。ひと夏の思い出とか。そういうのってやっぱり永久のテーマなんじゃないかなあって。勝手な感想。


 そんな本作なんですけど、基本構造は間違って無いんだけど、改善すべきところが細々と一杯あって、多分それがもやっとした感じに繋がっているのかなぁという。そんな感じ。


 正直な所、本気で色々考えるなら、原案を見て、作者に色々聞きながら組み立てないといけない感じ。でもこれって良い事なんですよ。あ、ここ駄目だよ、とか。あ、この辺りもうちょっとこうして、とか。大雑把な指摘が出来ないっていうのはそれだけ質が良いって事なので。


 んで、気になるところを大きく二つほど。


 まず一つはキャラクター達の心理。恋愛関係とか、転校だとか離婚についての主人公のスタンスとか。何なら主人公自体のスタンスがぼやっとしてる。そんな印象が有る。まあ別に主人公だからって必ずしも強い意志を持ってなきゃいけないって訳じゃないんだ。ハルヒのキョンだって別に強い意志は持っていない。


 でも、「何となくこんな感じ」みたいな方向性が個人には有って、それを元に動いているから、SOS団を肯定する動きをしたときに「おっ」と思う訳だ。それが心境の変化ってやつ。その辺りが本作は微妙に見えにくいのかなぁってちょっと思った。ただ、そんなに長々としたものではないから、いっそのこと、恋愛感情とか、その辺りだけピックアップしてしまうのも有りなのかもしれない。


 二つ目は、具体性。いや、別にフィクションなんだから、基本的に現実との整合性なんていらない。現実には有り得ないなんてそんな指摘は糞くらえだ。でも、石とかその周辺の出来事、それから村の話がちょっとぼやっとしている気がした。


 『君の名は。』でも一応伝承についてちらっと解説していて、それがあるからある程度トンデモ現象に対して納得が行くわけで。その辺りに関してもう少し細かく決めて、作品内にぶわっと入れておくと良いのかなぁって思った。多分ここが自分の過去作を思い出した理由。そういえばアレは大概曖昧だった。今思うともうちょっと掘るべきだったと反省。


 何か批評みたいな形になっちゃったけど、基本の原案みたいな部分は凄くいいと思うし、それがあったから最後(見た段階で)まで読めたんだと思う。最後まで読めるんだから凄いと思うよ。ホント。最初の数話で「あ、もういいです」ってならないんだもん。


 あ、後、ジャンルは多分SFにすべきだと思う。前々から思ってたけど男性主人公の恋愛物が「ラブコメ」で、女性主人公の恋愛物が「恋愛」ってこの上なく分かりにくいよね。



(作品URL: https://kakuyomu.jp/works/1177354054884570144

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