遊びと本気の違いは、初めから決まってはいない。

純鶴

第1話 ほぼ初恋。友達の延長線上の男

私は、ファストフードのバイト生。

彼はバイトの1個上の先輩。

友達の延長線上の関係。それも、凄くツボの合う。

顔もどタイプ。

まだ、友達として好きなのか、男として好きなのかさえ判らなかった16歳の女子高生、処女。

しかも彼は遠距離の彼女持ち...

どうしてあの頃(十代)ってひとつ歳上ってだけで、大人でかっこよく見えたのか。十代の魔法だ。


好きと自覚したのは、彼の彼女がバイト先に遊びに来た時だった。めちゃくちゃ可愛くて、夢中になるのが女子でも分かる程で、彼のひとつ上の先輩。

聞くと、そのヒトもそこのバイト生だったらしい。

仲良くバイト仲間や店長と世間話。

彼が見る、そのヒトへの視線が優しかった。

「ああ、私はこの人が好きなんだ。

私は、この視線が欲しいんだ。」

ここまで来ると、友達の延長線上って面倒臭い、学生あるある。

想いを告げたら、この関係は...ってやつ。

私に向けられてるこの笑顔、ただ笑ったその笑顔だけで、今私がそこに来てる、理由だった。

その笑顔を見る度に、私の想いは伝えられないと蓋をしていた。


いつかのバイト終わりに、駐車場で彼と私、もうひとり同じバイトの女の人と溜まって雑談。

夜中まで喋ってしまって、女の人の実家がすぐ近くだからと、その人の家へ行く事になった。

その流れで、3人で寝ようという事になり、

片想いで、処女の私は、内心ド緊張。

もうひとりの女の人はそこそこ経験もあり、その彼とは同じ高校で同級生、バイトも同期で1年生から仲がいいらしい。

だからなのか、私から見たら何度か雑魚寝してんのか?とさえ思う程スマートに寝室へ。

今だからこそ考えると少し、ん?と思うが、なぜか男(彼)を挟んで寝る事に。

普通ではありえない。保育園生でもないのに。今なら声を大にして言うだろう。男女で寝るんですよね?今から何するんですか?状態。

ただその時は、私は大好きだった彼と隣で寝られるなら、それだけで嬉しかった。

大好きな彼の匂い、温もり、吐息、全てがすぐ近くにある奇跡!人生初の添い寝!!

布団に入り静まって何十分か経ったが、寝られるはずもない。というか、こんな貴重な体験、寝て過ごすものか!そんな気にもなっていた。


そして、それは始まった。

彼が寝返りを打ったと思いきや、私のお腹をまさぐり出し服の中に手を入れてきたのだ。ここでおっぱじまるのか?!え?!ここんな時になの?!

それも、隣には別の人が寝ているのだから、それはそれはゆっくりと音を立てずに慣れた手つきで。

心臓が壊れるかと思った。初めての経験が彼になるという嬉しさと恥ずかしさと、この状況!!

耳元で聞こえるか聞こえないかの彼の「いい?」と、囁き声。

いい?と聞きながらも、どんどんエスカレーター方式。バカなの?!

スマートに胸を揉んでいた。初めてなのに感じてしまってた。私もバカなの?!

しかし、この状況でこの事態を進めてしまって良いものだろうかと、その葛藤が何時間にも感じるように脳内を混乱させておかしくなり始めていた。

やめさせた方が良いのかもしれないけど、こんな奇跡は二度と起き無いかもしれないし、辞めさせ方もそもそも解らない...あああああ!!!

そんな混乱の間にも彼は、下へ下へと手を滑らしていく。

下着の中へ手をやった瞬間、私はお風呂に入ってない事が気になってしまだた。処女ですもん。

陰部へ侵入させたかったみたいだが、それを気にするあまり、股は開けなかった。

拒む私を、彼は諦めてしまった...

直ぐに下着から手を抜き、背を向けてしまったのだ。冷たい態度とは思わなかったが、そんな半分レイプまがいな状況の中、なぜか彼に申し訳ない気がしてしまった。

がしかし、もう寝て忘れようと少し時間が経った時、彼はもうひとりの添い寝先に、矛先を替えたのだ!

ええええええええ!!です。

しかも、寝ていると思っている私を背中で押して、スペースを設けようという手段にまできています。

ウブだった私は寝たふりしかする術はありません。

おっぱじまっちゃいました。

はぁ、ため息しか出ません。多分、泣いたと思います。

衝撃的過ぎて、その時の自分の状況を思い出せません。なんて可哀想な私。

今すぐ飛んでって抱き締めてあげたい。

気が付くと寝てしまっていました。半分気絶かな。

目が覚めると、ふたりは少し離れた所で寝ていました。

再びショック。。。

忘れようと二度寝。すると、そんなタイミングでふたりが起きたのか、普通に起き上がって、女の人はリビングかどこかへ、彼は私の隣へ。え?!

決死の覚悟で、私は寝返りのように彼の方を向き、今起きたかのように彼の顔を見る。

すると、彼も今起きたかのように目を開けた。

「おはよ。」彼が囁くと、私にキスをしました。

あんな事されたのに、それでもやっぱり大好きでした。

私を諦めた瞬間からフィルムを切り取るように、そのキスに繋がりました。恋心って迷界。

その貴重過ぎる体験は、少しだけ、いや大きく私の幹(メンタル)を強くしました。

もし、また、同じ様な事が訪れるとしたら、そのタイミングを逃してはいけない!!

その後バイトで会っても、そんな夜が無かったかのように、今まで通り過ぎてビックリしました。

女の人も、ふたりで遊んだりもしましたが、その事は話しませんでした。

彼が高校を卒業すると同時にバイトも辞め、会わなくなりました。

数年後、私も経験を増やしていた矢先に連絡が来ました。

暇だから会おうという、男のヤリモクの連絡です。経験を増やした私には解りやすい誘い文句でした。

結果、しました。

彼の顔が大好きだったので、会うとやっぱり気持ちは忘れられてませんでした。

けれどその時の私は、あの時の片想いしていた気持ちとはどこか違ってました。

好きだった人とセックス出来たという達成感だけでした。

その夜から、連絡をしていません。

この恋愛で、色々と彼から学びました。

・したい時はどんなタイミングでもする。

・大好きな彼女が居ても、男は浮気をする。

・友達の延長線上でも、バイト仲間で一生続く男女間の友情はない。

・想いは絶対伝える。

ほぼ、今の私が誕生したと言っても過言では無い恋愛でした。

後悔したって、経験して後悔した方が良い!

恋愛は頭で考えるとパンクしちゃう。それなら、後悔してパンクした方が絶対良い!


初めて、好きな人とセックスした経験は、やっぱり忘れられない男になっちゃいますよね。

それは、今語った彼じゃなかったんです。

忘れられない男って、好きになった人、全員じゃないですか?

私の、色んな“忘れられない男”。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

遊びと本気の違いは、初めから決まってはいない。 純鶴 @mishiyo-t

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ