SCP-1983(先の無い扉)について

 オブジェクトクラス(危険度):Keter→Neutralized(無力化。元々は危険性を持っていたが異常性を消失させたもの。)


「幸運を。死に行く者より敬礼を。」


 SCP-1983は、SCP財団によって『科学プラント工場』という建前の建物の内部にあります。これは、財団が地域住民の恐怖を煽らないようにするため、SCP-1983を囲うように故意に建設しています。なお、見た目は完全に『科学プラント工場』ですし、配置されている警備員も財団の作った作り話通りに動いているため、私達一般庶民がSCP-1983を匿っている『科学プラント工場』を見つける事は不可能に近いです。というか見つかってもどうせ財団に捕まってぬっころされるか記憶処理を施されるだけなので特定は不可能です。ガッテム。

 SCP-1983-2(後述)対策に全体または先端部分が銀で出来た弾丸を腐る程用意しているらしいです。もちろん武器も腐る程用意されています。SCP-1983-1(後述)の入口には24時間時計が設置してあり、SCP-1983-2が出現した場合直ちに現場にいる財団エージェント軍団は交戦するよう指示されています。また、予定された時間以外にSCP-1983-1に近付く事は厳禁とされています。うっかりとかないんですかね?()


 とまあここまでが特別収容プロトコルを意訳要約した所です。

 元Keterにしては弱くね?と思うかもしれませんが普通に財団が大量に費用を掛けまくっているので対した騒ぎになってないだけです。本当の物語はtaleからです。ネタバレしますが、今回ばかりはコピペさせて頂きます。これは、鎮圧時のお話がかなり良いタイプのやつですので、俺氏のクソ意訳文で済ませるのはかなり勿体無いです。

 と言いますか、新しい小説は「scp紹介」みたいな意訳入れても問題無いモノじゃなくて、二次創作の「書き直し」なのでコピペしまくるんです(宣伝)。なので、こっちでは極力コピペで垂れ流しは控えますがtaleとかはこれからは普通にバシバシ使うと思います。怒られたらもうコピペしませんけど。


 SCP-1983-1はワイオミング州【データ閲覧不可】群にあるいたって普通の平屋の農家の建物です。その場所では、夜な夜な不思議な儀式が開かれていたそうです。多分「いあ!いあ!くとぅるーふたぐん!」です(絶対違う)。悪魔的カルト宗教?とやらで儀式的な殺人のあと廃屋になりました。詳細については【データ閲覧不可】を参照、との事です。興味のある方は行ってみては?俺は他のSCP探したり勉強したりしなきゃなのでいいです。

 そのSCP-1983-1の内部は異次元空間になっていて、SCP-1983-2以外に光だのモノだのが出てきた記録が無いそうです。ただ、異次元空間自体には熱があります。

 ただの平屋ですし、異次元の入口である正面玄関以外にも窓から侵入出来ますが、その場合、中央に位置する広間(異次元空間と化している部分)を除いた部屋構成になっており、窓から窓へ行く事は可能ですが異次元空間へ行く事や異次元と化していない広間へ行く事は不可能とされています。そんなわけで、部屋の寸法とか繋がりは一致していません。窓から侵入して広間へ行く部分にあたる壁を破壊するとSCP-1983-1の正面の壁に繋がります。うーん、謎。

 SCP-1983-1の外から広間に当たる部分に穴を開けると小さな異空間が発生。そこからSCP-1983-2が出現した記録はないとされていますが、出現する恐れがあるため財団は安定策をとってこれ以上の破壊行動を禁止しました。

 SCP-1983-2はおよそ1.8mの人型の生物です。全身が黒く直立二足歩行しています。彼らは気性が荒く人間にすぐ襲いかかってきます。そして、SCP-1983-2が人間に接触すると未知の方法で器用に心臓だけを抜き取ります。もちろん人間は絶命します。心臓をとったSCP-1983-2は(多分)満足気に自分の住処であるSCP-1983-1に帰っていきます。

 SCP-1983-2は祈りを捧げた銀の銃弾でのみ撃ち殺せます。だから銀の弾丸を腐る程用意していたわけですが、この「祈りを捧げた」という条件が結構曲者でして、イスラムみたいな宗教的な祈りではなく、何にでもいいからとにかく個人が「お願いします、お願いします。」と心の底から祈りを捧げる必要があります。本当に捧げる対象は何でもいいです。仏様でも神様でもつくも神でもアヌビス神でも自分の父親でも後々生まれる自分の子供でも何でもいいです。ただ、「祈る」ことが必要なのです。そして、撃たれたSCP-1983-2は硫黄を残して「蒸発」します。


 taleその一、意訳

 財団はエージェント軍団である「機動部隊Chi-13」をSCP-1983-1内部に派遣しました。彼らは帰ってきませんでした。


 taleその二、意訳

 帰ってこなかったので、エージェント軍団二つ目である「第二急襲部隊」をSCP-1983-1内部に派遣しました。彼らは帰ってきませんでした。その上、扉も閉まらなくてSCP-1983-2が内部より出現。エージェントモーリス兄貴が咄嗟の判断でSCP-1983-1の扉を閉めました。モーリス兄貴有能。褒め称え祀られるべき。


 taleその三、意訳

 財団は「もうこのSCP-1983-1内部に人入れたら帰ってこないな。腹いせにカメラで内部確認してやろうw」と考え、使い捨てDクラス職員にぶっといコードを繋げたカメラを持たせて派遣。職員が中に入って扉を閉めると、コードがいきなり張り詰めて、音を立てて千切れました。悲しい。

…ですが数時間後、亜空間が消滅。財団職員が(多分)ビクビクしながら内部を調査すると、数人の財団エージェントの干からびた死体と、財団が見た事が無い(つまり非公式の)SCP-1983についてのレポートが発見されました。このレポートは文書1983-15と定められ、閲覧可能な状態で公開されています。


*ここからコピペ


【文書1983-15】



アイテム番号: わかんねえ


オブジェクトクラス: Keter。かわいそうに。


特別収容プロトコル: アンタは死ぬよ、残念だけど。


これは脅しじゃねえ。オレはエージェントバークレー。オレはこの呪いの中にいて、アンタに話してる、アンタもここに来たのか?アンタ死ぬよ。オレはすでに死んでるだろうけどな。


だから出れねえ。さっさと封印しな。方法は唯一つ。呪われた扉を閉めることだ。その扉を通っても戻れねえからな。まあ、もう試してるか。だけどヤツらは本気になれば外に出られる。そのせいでオレらはこのクソッタレな場所を見つけちまったんだからな。

アンタがもう扉を閉めてくれてるといいんだがな。オレらはもう閉めた。外に出るのは諦めたんだ。まだやってねえなら、まっすぐ戻って扉を閉じな。それが今、アンタがやる唯一つのことだ。なんにせよ、アンタは死ぬ。死ぬ前になんかイイことしときな。


説明: んで、ここから説明だ、もう知ってるかもな。財団はアメリカのど田舎で問題が起きたと知らされる。牛や野生生物が変死したんだと。行方不明者の数は増えるばかり。見つかっても心臓が無くなった死体で見つかる。切ったり、裂かれた痕もなくな。胸の真ん中がカラなんだと。


ヤツらは真っ黒いカスみたいなのが浮かんでるのを見つける。似たようなヤツを見たことがある財団の秀才野郎が、殺し方を発見した。神に祈りを捧げた銀の弾丸をぶち込めばいいってな。文字通りにな。なんでかは知らんが、それでうまく行く。どの神かは関係ねえ、アンタが心を込めたかが重要だ。


オレにはもうできねえがな。巣を見ちまったからな。


とにかく、財団はアレがすべてどこから来んのかわかってる。村の真ん中にある、なんかの家だ。殺人やらカルトやら儀式やらうわ言喚くやらなんやらあって以来そこには何年も空き家だ。肝心なのは、ここの玄関からヤツらが出続けてるってことだ。部隊がそんなか入っていったが誰も帰ってきやしねえ。でも、バケモンも出てこなくなった。正気な奴ならこう言うだろう。十分だ、目を離すな、少しでも動くものがあれば殺せ。だけど、これがこの財団だ。


アンタはどの糞部隊のタフ野郎だ。スクェーレ・ノースか、オレみたいに聖歌隊か。アンタは扉をぶっ壊して中に入る、それだけ。そしたら終わりだ。


居間は最悪だ。そこはオブライエンが捕まった場所だ。捕まるとアイツは突然ぶっ倒れ、ヤツらの一人が心臓を取ったんだよ・・・爪で、だったかな?


ヤツらはここでは不明瞭だ。もう気づいてるだろうが。ヤツらは影みたいなもんだ。光から離れろ。バカみたいな話だけど、そうしろ。光の中で、影は強くなる。ヤツらは輪郭を持つ。暗闇ではヤツらは不明瞭になる。ヤツらはアンタにほとんど触れられないし、見ることもできない。オレはヤツらは影を見てるんだと思う。わからねえが。正直なところ、ここじゃ藁にも縋りてえ。


アンタはもう扉で戻ろうとしただろうな、だけどできねえ。それはもっと最悪な場所につながってる。そこにバケモンはいない、だけど…外に出て家から離れたジョーンズは、信じられねえかもれないが、溶けた。アイツの身体から何かがはじけだして、そして…。アイツが戻って来なかったってことよく覚えておきな。そして、オレらは扉を閉めた。


それで、オレらは家の中を動き始めた。気づくまでオレらは光を点け続けた。3人がそれで殺られたが、おかげで周囲を良く観察することはできた。


ここがどこかって?でかい。ただの農家じゃねえ。ここは…ここはまるでいろいろな場所をかき集めて継ぎ合わせたようなとこだ。アパートみてえなとこもあればショッピングモールみてえなとこもある、信じちゃもらえないかもしれんが、オレの高校のロッカーまでありやがった。タイルも何もかも同じやつだった。


ほかにはなんでできてたと思う…ごみだ。それは黒く、影みたいで、ほとんどが光りに照らされていた。明かりが消えれば、アンタも手を入れられる。止めといたほうがいいがな。それでトレスは消えた。なんかがアイツを捕まえると、引っ張られていった。穴は小さかったが、それでもアイツは引っ張られていった。


だから、光は避けろ、暗闇で足元を見続けろ。


もちろん、脱出はできねえ。オレらもそれは理解した。アンタが見つける扉はこのキチガイ病院の別の部屋に着くか、外に出るかだ。ようやくオレらは死ぬんだとわかった。そう、ここじゃ餓死するか、ヤツらに捕まるかしかねえ。感動的な選択だよなあ、ええ?


ここでアンタがやることは一つだ。オレはやりきれなかったが、アンタはできるかもな。それをしてもアンタが生き残れるとは思わねえ…でも大事なことだ。誰かがやってくんなかったら、ヤツらはいつか外に出てくる。間違いなく。


ここは色々な場所を奪い取ってできたものだ。それで、オレはこう考えてる。ここにはまだ他に扉が存在するに違いないと。オレらは見つけた扉をすべて閉じきった。だけど、また扉が開いたら?そのとき財団がヤツらを見つけられなかったら?クソが、あいつらは扉を閉めることすら知らねえんだ。また誰かこの中に入ればヤツらを止められるってことに気づいてくれるのを願ってる。もっとも、入ったヤツがみんな扉を閉めるくらいには頭が回るって仮定の話だがな。


そうか、オレはこれを止める方法を見つけたと思う。それは巣だ。


オレは一度だけ、2, 3分見ることができた。デニングの心臓を抜き取ったクソ野郎をオレらは追った。オレはこの部屋がすべての中央にあるんだと思う。それは真っ黒で、どんな灯りも吸い込むことができるんだと思う。ランプ、懐中電灯、ロウソクなんかもな。他のヤツらも運んでいったのをオレらは見た。とにかく、中央にたくさんの心臓でできた塊がある。心臓はどれもこれも山に投げ込まれて、引き裂かれてた。ヤツらはデニングの心臓を放り込むと、それは鼓動し、脈打ち、のたうちまわった。それから引き裂かれて、心臓を一つ引きぬいた。それは震えて、成長し、動き始めた。塊がバラバラになっても心臓は鼓動し続けた。オレの胸も疼くのを感じた。


そこは影の集まり。バケモンってことじゃねえ、本当の人間の影の集まりだ。人間から伸びてる影は一つもない。影は心臓から伸びていた。そして、新しい影が現れると同時にバケモンが産まれた。影の奴は心臓から離れようとしていたが、離れられなかった。


オレは逃げた。オレは耐えられなかった、分かるか?オレはこのクソッタレな状況に対処する訓練なんて受けてねえ。オレの後ろでなにか聞こえた。それがオレを呼び止める仲間の声なのか、バケモンがオレらを見つけた音なのかわからないが、オレは皆と別れた。オレは隠れるのにちょうどいいクローゼットを見つけ、それ以来ずっと隠れ続けている。オレはこれをペンライトで書いている。ヤツらが近づく音が聞こえたら、オフにしてる。今の所、このやり方で上手くいっている。


オレはここから動けない。オレの銃には弾が少し残ってるが、意味なんてねえ。もう祈れない。巣を見ちまった。だけど、アンタ、これをアンタが見つけたら、オレに代わって、やり遂げてくれ。多分、アンタはオレよりも強い。決心がついたら、巣に行ってぶち壊してくれ。すべての心臓をぶっ壊すんだ。そしたら、ヤツらを殺せるかもしれねぇ。これがオレが考えられる唯一の方法だ。アンタは死ぬだろう、でも何やってもここじゃ死ぬんだ。だからなんの問題もないだろ?


オレ、オレはこれから居間へ向かう。アンタがこれを見つけてくれることを祈って。もちろん、オレの心臓はヤツらに使わせない。


幸運を。死にゆく者より敬礼を。



文書1983-15終わり。解説に移ります。


まず、書き手はエージェントバークレー。一回目の凸部隊のメンバーだと思います。スクェーレ・ノースやオブライエンなどの人物名らしき表記はそれぞれ財団メンバーなのだと思います。

「居間は最悪だ。そこはオブライエンが捕まった場所だ。捕まるとアイツは突然ぶっ倒れ、ヤツらの一人が心臓を取ったんだよ・・・爪で、だったかな?」との表記や、「オレはヤツらは影を見てるんだと思う。わからねえが。正直なところ、ここじゃ藁にも縋りてえ。」などの表記より、SCP-1983-2はおそらく実物を見るのではなく実物の「影」を見て近づき、爪で心臓を引っこ抜く。「オレは一度だけ、2, 3分見ることができた。デニングの…(以下省略)」より、巣の中へ引っこ抜いた心臓を置くとドックンドックン鼓動し、心臓から出た影は人型。影が出来るとまた新たなSCP-1983-2が出現したのだと推測されます。エージェントバークレーはその場から逃走。普通ですよね。なんせ生心臓を見る事自体珍しいのに、それが目の前で剥き出しの状態で鼓動するんですから。絶叫モノですよ。

…でも彼は文書1983-15を書き上げ、SCP-1983-2が徘徊する居間へ行き文書を発見し易くした状態で、心臓を使わせないために自害したのです。この文書が発見される事を願って。


そして、この文書1983-15からDクラス職員がSCP-1983を無力化したと推測され、彼の死に勲章が送られたそうです。(本来使い捨てであるDクラス職員に勲章が送られるのは超絶レアケースである。いやマジで)


余談…というより参考動画のマルパクリスペクトです。

銀の弾丸という言葉には「物事を打開する力」という意味があるそうです。エージェントバークレーにとって打開策を託したDクラス職員は銀の弾丸であり、レポートはバークレーの祈りであるので銀の弾丸に祈りを込める…つまり、SCP-1983-2を蒸発させる「祈りを込めた銀の弾丸で撃ち抜く」という行為と同じなんですよね。そういった意味でもこのオブジェクトは評価されているのだと勝手に思ってます。


このSCPを簡単にまとめると「異空間の居間の心臓を一つ残らずブチ壊せ」ってことです多分。…え?それは対処法だ。って?気にしたら負けです。


次回はねこです。

よろしくおねがいします。


【追記】

突然1月ほど空けました。近況ノートを確認して頂ければ分かりますが、謎の現象が発生して書けなかったのです。更新出来なかった事をお詫びしますとともに、この現象がまた起こった際にはご理解とご協力お願いします。

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