第42話 説明の黄色
保健のお姉さんはレツさんと僕の姿を一瞥しただけで、すべてを悟ったらしい。
「
そう言って、レツさんと僕以外の生徒を保健室から離れてもらう。その手でレツさんの脈拍や体温をはかり、触診をしながら。
「ど、ど、どうなんすか、先生!!」
「情報が少ない。
と、言われても、僕にも何が起こったのか、レツさんが百田に何をされたのか、わかっていないのだ。何をどう説明しろと。
「答えは求めていない。原因じゃなくてもいい。些細な経緯でも構わない。君のバイアスにまみれててもいい。とにかく情報が必要だ」
テンパった僕の頭に、お姉さんは優しく諭すように言った。
僕は一生懸命さっきのことを身振り手振り、あらゆるものを動員して彼女に訴える。
お姉さんは僕に相づちを打ちながら、つぎつぎとレツさんに医療器具をつけていく。本物の医者のようだ。しかも、相当熟練した。
「……なるほど、百田という子が
「は、はい、すんません。たぶん、そうです。よく見えてはいなかったけど」
「ありがと。今から
「お、お願いします!!」
「いいお返事。……で、君はここで見ているつもりかな? 私は彼女にいろいろやるんだけど」
「あ、裸ですね。は、裸にするんすか!!」
「それで済むといいけどね。それとも君は彼女の大腸や肝臓、脊髄を見てみるかい? 当分は焼き肉行けなくなると思うけど」
「おおぅ」
先輩の内臓。全然、興味が湧かない。湧くはずがない。
「はい、カーテンの向こうで待ってなさい。私も同時進行で校長やAさん達に連絡しなきゃいけないから」
「……先生」
「うん、何?」
「マジでお願いします。レツさんを助けてください」
「ハッハー。安心したまえ。私は天才だ。お金に見合った仕事はしてきたし、これからもするつもりだよ」
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