第2話 犬の話
犬の話をしましょう。
物心がついた頃、そばにいつも犬がいます。
犬が好きか嫌いかと問われる前に、もうすでにそばにいる存在です。
山に犬がいました。
父と犬の話をしたら、違う話が出てきます。
自分の子供のごろの犬の話でした。
もちろん、私はその犬に会うはずはありません。
父と同じく、私の記憶の中にも一匹の犬がいます。
ただし、その犬には名前がありません。
自分が犬の名前を呼んだ記憶もなければ、だれか犬の名前を呼んだのを聞いたことがありません。
犬はまだら色でほっそりとしています。
どこかへ遠出しているだろうか、いつも家にいません。
かといって、ご飯をあげないわけにもいきません。
婆ちゃんは毎晩ご飯を用意します。
ご飯を犬の寝るところに置く婆ちゃんに、
「犬、今日も帰ってきませんね」と話したら、
「まあ、お腹が空いたら、きっと食べに帰ってくるでしょう。わたしたちもご飯を食べましょう。」
食卓で爺ちゃんに、
「犬、今日も帰ってきません。どこに行ったのですか。」と心配して聞いたら、
「お腹が空いたら、戻ってくるさ。婆ちゃんはご飯を用意してあるから大丈夫。帰り道も覚えるから大丈夫、犬だからね。ご飯を食べましょう。」と爺ちゃんが優しく笑っています。
翌日、ご飯を見にいたら、食べられました。
犬が帰っていましたか。
周りを見てみたけれども、犬の姿はありません。
また、山へ冒険に出かけましたかしら。
たまに、私と遊びたいと思いませんかな。
私は犬と遊びたいのに、、、
猫との暮らし @kuroshiyosaruko
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