第141話 『組曲第1番~第4番』 アイスラー

 元は映画音楽らしいのですが、これがなんだか、すっごく面白いんです。


 あえて言えば、フランスのサティ先生が書いた『家具の音楽』みたいな(内容は全く違いますが・・・)響きがして、なんとなあく、抜群に上手な商店街の臨時編成ブラスバンドさんとか(ないかもしれないですけど・・・)、そういう少し、わざとらしく、ややチープな雰囲気が(あああ、ごめんなさい・・・)して、ちょと懐かしい感じといいますか、まあ、そういう感じなんです。


 やましんが子供の頃は、よく果物屋さんとかお豆腐屋さんとかが、街の中を自動車や、それ以外でも、路上販売なさっておりましたが、スピーカーから当時よく流れていたのは、『りんごのひとりごと』とか『東京五輪音頭』とか、そういう曲でありました。


 なんだか、そういうなつかしい時代の面影が、ここにはあるのです。


 ときに、ハンス・アイスラー先生(1898~1962)は、ドイツ出身の作曲家さんです。


 ナチスが実権を握ると、家族一同、1938年にアメリカに移住して、その後チャップリンさんなどとも協力して、活発な活動をしていたようですが、1948年、いわゆるアメリカの『赤狩り』で事実上の追放となり、当時の東ドイツに戻って活動を続けたのだそうであります。

 もっとも、ウェルナー・ヘニヒさま著のご本を見ると、アイスラーさんのアメリカ出国には、『国際的な抗議活動が実って』出国できた、とあります。(『音楽ちょっといい話』音楽の友社 井口百合香さま訳。)ロンドン経由だったようですが、そこでも、当局とひと悶着あったらしいのですが、詳しい事情が分からないので、やましんは、パス。


 そうした、ややこしい時代でもあった訳なんでしょう。


 ただ、そのご本に書かれているエピソードを見れば、写真で見るほど怖~い硬い方ではなくて、なかなかユーモアのセンスがある方だったような。


 

       ****** ひとやすみ ******



 ちなみに、当時の東ドイツ国歌は、アイスラーさんが作曲したもので、多くの労働歌の作曲で、一般には知られていたらしいのですが、実はこの方、ヴェ-ベルンさん、ベルクさんと並ぶ、シェーンベルク先生の、三大お弟子さんのひとりなんだそうです。


 つまりは、『クラシック音楽』の『大物』さんです。


 しかし、有名なのは、お弟子さんであるアイスラーさんの側から、なんと、お師匠様を破門してしまった! というお話であります。


 なんだそれはあ!と思いますが、どうやら、音楽的な理由と政治的な理由とがあったようなのですが、具体的にはどういうことをなさったのか、とかの情報は、やましんは持っておりません。


 ただ、さきほどのご本の中では、アイスラーさんは、生涯シェ―ンベルク先生に対する尊敬の念は失わなかったともあります。(どちらもアメリカに渡っていたのです・・・)


 歴史では、アイスラーさんの亡くなった大分後に、テレビでもさかんにベルリンの壁の崩壊場面が中継されるのをやましんも見ましたが、東ドイツは西ドイツに吸収される形で消滅しました。やましんたちが見たのは、大部分、賞賛と歓喜の様子でしたが、たとえば、指揮者のヘルベルト・ケーゲル様がその後、1990年に拳銃自殺したことが、それと、どうかかわっていたかは、やましんごときには、分かりません。ケーゲルさまは、その前の年にも、来日していました。(やましん、演奏会に行けるような状況ではなかったです。でもその際のベートーヴェン先生の交響曲の録音は、CDになっています。)


 いずれ、ぼくたちに(幸いにして)残されたのは、音楽でありまして、どういうお立場の方が書いたものであれ、指揮なさったものであれ、良い音楽は良い音楽です。  


 アイスラーさんの音楽は、どうも日本では、(専門家の方はいつも別として、この、巷では・・・)、あまりお姿を見ないのですが、なにせ、シェーンベルク先生の三大高弟さんの一人となれば、聞いてみたくなるのが人情というものです。


 だって、ヴェーベルン先生もベルク先生も、このアジアの小さな島国にあってさえも、大変名高いわけですよ。


 また、同じソヴィエト側でも、ショスタコーヴィチ先生は、日本でも大変、人気が高かった訳なんでしょう。


 なのに、アイスラーさんの曲は、実際のところ、あまり聞かなかったような。(映画は、やましんよく知らないので・・・)


 やっぱ、聞いてみたいな・・・・・・


 と、いう単純な理由な訳です。


 でも、やたら難しい音楽だったらどうしよう・・・・


 とかまあ、思いながら、これらを聞いたところ、冒頭に書かせていただきましたような、なかなか面白い音楽でした・・・ということなんですね。


 しかし、アイスラー先生は、そういう訳で(どういうわけだ?)、こうした、大衆向けの理解しやすい音楽をたくさん書いた一方で、もちろん、本格的クラシック音楽(なんだそりゃ)の、大作もあります。


 たとえば、1939年から書かれた『ドイツ交響曲』がそうです。


 1時間以上かかる大作です。


 やましんが聞いた限り、必ずしも『前衛』ではなくて、むしろ、マーラー先生の生き残り的な雰囲気もある、声楽付きの壮大なカンタータですが、やはり、やましんの手にはおえない(と言って、さっさと撤退・・・)ので、省略。



・・・・・うき 📯🎺 うき ・・・・・

 


 





 


 

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