第132話 歌劇『魔笛』 モーツアルト
やましん、ここんところ、間違いが多くて困ります。
前項のジュスマイヤーさんの曲が『アルカディアの【鐘】』となっておりました。『アルカディアの【鏡】』であります。失礼いたしました。
さて、そこで、シカネーダーさん(1751~1812)のお名前が出たのですが、この方が、なかなかの大物俳優さん兼台本作者さんであります。
もっとも知られているのが、歌劇『魔笛』でありましょう。
しかし、この歌劇、不思議な設定が多く、しろとには、どうも、理解しがたい歌劇なのです。
冒頭からなんの脈絡もなく『大蛇』が出てくるわ、どことなく情けなそうな『王子様』が逃げ回り、結局は、ワルキューレみたいに強い女性グループに助けられる。
『夜の女王』という、謎の存在が現れる。
娘を極悪人『ザラストロ』に奪われたから助けてほしいと請われる。
ちょっとまった。
部下に助けられたくらいの、弱い主人公に助力を頼んでどうするの。
で、美しい娘目当てに助けに行ったら、実は極悪は夜の女王の方だと言う聖人ザラストロさん。
なんで、誘拐した方が『善人』で、娘をさらわれた方が『悪人』なのか?
『鳥人パパゲーノ』さんが登場。
それから、筋書きとは全く関係ないような、おかしな『試練』を課される主人公とパパゲーノさん。
こりゃあ、高度な恐るべき洗脳の儀式なのかあ?!
実際、儀式後のふたりは、生まれ変わったような状態になるのだ!
『モノスタトス』さんの在り方は、これまた、まったく謎。たんなる、時代の制約から、出てきたのか、さらなる、なんらかの意図的なものなのか?
もしかしたら、秘密組織に紛れ込んだ、スパイ組織のエージェントで、パミーナさんを救い出すチャンスを狙っていたが、結局失敗してしまったのか?・・・・・
『鳥人 パパゲーナ』さんが現れる。
音楽から言っても、聖人『ザラストロ』さんのお歌より、『夜の女王』さんのお歌の方が、はるかに素晴らしい。
試練の儀式あたりの音楽は、他に比べて、少し退屈なような。
でも、モーツアルトさん自身が、そこに気が付いていないはずがありません。
なんだか、不可思議な童話の世界に、うきうき、どきどきしていたら、まったく価値観の違う異世界に落っこちて行く感じ。
最後の最後まで、何が言いたいのかよくわからないまま、勝手に感動的結末になる・・・
しかし、考えてみれば、台本を書いたのは、シカネーダーさんだろう。
つまり、何を言いたいのか、本当に知ってるのは、シカネーダーさん、しかねーだろう。(失礼いたしました。)
もちろん、ここには、『フリーメイソン』という組織の、一般人には思いもよらない教義や儀式が隠されてるらしい・・・、ということは、昔からよく言われておりますが、でも、それでは、一般人には、ほぼ理解不能、で諦めるしか、ないですしねぇ~・・・・・
『フリーメイソン』さまにとって、音楽は非常に重要な存在であるらしく、多くの音楽家が、加入していた、あるいは近い関係にあった、と言われます。
モー先生もそうですし、べー先生も、関連性があったかもしれないと。
やましんの最も尊敬してやまない、シベリウス先生もそうです。(『フリーメイソンと大音楽家たち』 吉田進さま著 2006年 国書刊行会***この本と連結するCDも出ていました。)
パパゲーノさんの歌う『俺はとりさし』や、『恋人と女房がいたら』と、パパゲーノさんとパパゲーナさんの二重唱などは、じつに『うきうき』で楽しく愛らしい傑作です。
『夜の女王さんのアリア』2曲は、歌劇史上の頂点に立つアリアであろうかと思いますし。実に、すっごいお歌ですよね。もちろん、技術的に難曲とはいえ、技術が先走っているのではなくて、音楽自体がそのように要求していると言うべきか。
どう考えても、モー先生は、『夜の女王』がわに肩入れしているような感じです。
確かに、世の中、悪役が強くないと、面白くないのは事実ですが、それにしては、王子(タミーノ)さんは、ファンタジーの主人公としては、やや、情けなさすぎではないでしょうか・・・。
登場人物が、おおかた二人で対を成していること、明と暗と、善と悪と、男と女と・・・・
は、確かにそのようです。
でも、現代は、善悪をはっきり決めつけられない、と考えることが多くなっている世の中ですし、(その逆の動きも強まってるかも)やましんも、基本的には、善悪の判断は、相対的な場合が多いと思っていますし、もしかしたら、この歌劇の『対立軸』は見せかけで、実は、他の事を主張しようとしているのではないか・・・というところから、見直した方が良いのかも・・・・・・・。まったくの、見当はずれかもしれません。
まあ、正解としては、あほのやましんの出る幕ではない、と言うべきかな。
でも、現在も高い人気があるオペラです。
音楽自体は、不思議なくらいピュアで、あまりに魅力的な半面、先ほど書いたよに、何だか退屈な側面もあるような・・・
皆さん、どこに共鳴してるのかなあ?
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