第83話 『交響曲第3番 オルガン』 サン=サーンス

 「なんのことやら~~???」


 と、お思いの方もあるやもしれませんが、実はこの曲、多くの方は、まず、耳にしたことがあるはず。


 全体は二部構成になっておりまして、それぞれが二つの部分に分かれております。


 なので、古典的な4楽章構成とも見えるのです。


 『オルガン付き』とか『オルガン交響曲』とか言われる通り、巨大なパイプオルガンが入ります。


 したがって、『絢爛豪華』という雰囲気が、やたらと目立つのです。


 そこで、テレビ番組で、なにやらゴージャスな雰囲気の場面が流れる時の『BGM』として、よく使われるのです。


 だから、きっと多くの方は聞いたことがある、はず、ということなのです。


 けれど、この曲の聞きどころは、その派手な側面だけではなくて、サン=サン先生らしい、じつに繊細で可憐なところも、そうなのです。


 たとえば、選挙演説のように、ぶっ通して叫ぶタイプのものが、それなりの効果があると考えられる場合もあるとは、まあ、思わない事もないですが、こと音楽に関しては、バロック時代までは全体的な音量がまだ小さかったとは思うのですが、これがロマン派以降になると、とてつもない音量が出るようになりました。


 そこで、のべつまくなしに、オーケストラに叫ばれると、ちょっと、聞く方も、演奏する方も、耐えきれないと、思うのです。


 まあ、静かなところが無くて、いつも、ハイテンションばかりでは、人間、最終的には、付き合い切れなくなるものです。


 この曲は、そうしたところも、しっかりと計算されていて、いかにも知性派、サン=サン先生らしいです。


 ご家庭は、不幸にして崩壊してしまったあとの時期(・・・二人のお子様が夭折し、奥様とは破綻し。。。)の作品ですが、浮世の苦しみなど、ものともしないところは、見習うべきところなのでありましょう。



 うきうきにして、うるうるにして、うつうつな傑作。

 

 



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