僕の頭の中の徒然草

@kr12332

いつまでも観ていたかったあなたへ


そのとき、時間が凍ったのかと思った。


頭の中は真っ白になって動かなかった。

机の上にあるシナモンロールの甘ったるい匂い。空調機が送る冷風の心地良い涼しさ。外で鳴き続ける蝉の声。

そうした体が感じていた情報が体を突き抜けて吹き抜けていったかのようだった。。


ある俳優の訃報がスクロールしていたニュースアプリに見た。


ずっと大好きで、ずっと応援していた。

演技が好きだ、なんて言ってみたいのだが、演技について素人なために演技が好きなのか彼が好きなのかはよく分からない

ただその俳優を演技しているのを見ることが好きだった。


体が機能を復旧して、普段の癖でTwitterを開ける。

様々なアカウントが彼の訃報のニュースをリツイートして拡散し、その死を嘆いていた。


少しの間あるいは長い時間、自分は呟くこともなく流れていく画面を眺めていた。

眺めているうちに、どんどんと画面からそのニュースの密度が薄れていった。


僕はそれを悲しく思ったけど、そのせいで時間の流れを思い出せた。

そしたら彼の記憶がどんどん蘇ってきて、大きく膨れ上がった。

もっと大きく、飛んでいけるくらいに膨らますためにインターネットを活用する。


どんどんどんどん膨れ上がって、そして実感した。



もう彼の演技を、彼の姿を見れないんだ。



悲しみが溢れているけれど、それはこれまでの気持ちの裏側の想いだから。

体中から悲しみはもう染み出しているけれど、それでも歯を食いしばって、最初はこの言葉を吐き出さないといけない気がした。






今までありがとうございました。これまでのご活躍を応援出来たこととても嬉しかったです。


そこからは堰が切られて濁流のようだった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る