第8話 試合会場に戻ってみる

珍海とまゆげが公園に着くと、すでに犬馬の姿は無く、荷物もきれいさっぱり片付けられていた。


「あー・・」

「他に何か、忘れ物無かったっけ・・」


珍海がうろうろしてると、側にいたまゆげが「さっ」、と身構えた


「会長からです」

「とりあえず会場に戻るようにとの事」


黒服でサングラスを掛けた、会長の従者らしき人物が、ふいに背後から現れてそう告げた。


「ああ、うん解った」

「のり子は?」


珍海がそう尋ねると、黒服は手元の端末を操作して情報を集め始めた


「ああ~・・」

「やっぱ、いいよ、ごめん」


黒服が、のり子の事を把握して無い事を悟った珍海は、制止した


「では、そういう事で」


操作しかけた端末をポケットにしまうと、黒服は姿を消していった


「見た目あやしいんだよな~、あいつら」

「・・・給料どんなもんなんだろ?」


珍海は笑いながらまゆげにつぶやくと、ぼーっと昔の事を思い出しながら会場に向けて歩き出した。




犬馬とは高校のアプリ坊主部にはいってからすぐに知り合った。顧問の先生に紹介され、すぐさま他の部員とともに修行

にとりかかる事となった。


― これはそのときの事。


アプリ坊主は精神修行のフェイズがあるのだが、それはとても厳しいものであった。まず、生徒のアプリ坊主が正座をし、

目を閉じて瞑想する。このとき思い描くのは、晩御飯のおかずの事であったりとか、新しく発売されたゲームの事であっ

たりとか人それぞれなのだが、珍海は「今の日本」の事についてであった。治安は素晴らしく維持され、さしたる犯罪も

おきず、自殺者数も他の国に比べれば、圧倒的に少ない。外国からは褒めちぎられ、男女は仲良く手を取り合い・・・・

ここまで考えたとき、珍海は何か心に引っかかるものを感じた。


「手を取り合い・・・」

「手・・・・?・・」


だが、珍海が作り出した妄想中の男女が、手を取り合った末に、ラブホテルで合体し始めた事によって、頭の片隅に引っ

かかっていいた物は引っ込んでいった


「ハァハァ・・」


興奮した珍海は、代わりに、股間のTENGOが、むくむくとそそり起っていった。― その瞬間


「喝ぅぅぅつ!!!」


アプリ坊主顧問の先生の、特大TENGOが珍海の肩を直撃した


「いっ・・・痛づっ・・!!」


苦痛に顔を歪める珍海。だが、


「喝ッ」

「喝ッ」

「喝ッ」

「喝ッ」

「喝ッ」

「喝ぅぅぅうつ!!」


容赦なく顧問の先生は、様々なポージングを取りながら、珍海のいたるところを特大TENGOでなぶり叩く。

そして、一旦、修行部屋の奥まで行き、走って助走をつけると空中に跳躍し、膝とTENGOを抱えてくるくると回転しはじめた。

このまま空中から、かかと落としのようにTENGOを打ち付ける気なのだ


「食らうが良い珍海!!」

「先生の愛のムチをなぁぁぁぁ!!」


己の未熟を恥じ、観念した珍海が目を瞑る。今まさに、TENGOが珍海をとらえようとした矢先、ふいに隣に座っていた犬馬のり

子が間に割ってはいる。そして両手で白刃取りの要領で


「バシッ!!」


という音と供に、先生のTENGOを掴んでみせたのだ


「おおおおお・・・!!」

「どよどよ・・」


すべてのいきさつを固唾をのんで見守っていたほかの部員たちも、思わず驚きの声をあげる


「先生!!」

「ぐぐっ・・」

「・・やりすぎだと思います!!」


犬馬は、先生のTENGOの圧力に耐えながら、下腹に力を入れた声で言い放った


「ほほう・・」

「では、先生の愛のムチは・・」


剣豪同士のつばぜり合いのように、先生のほうも、ぐぐぐ・・とTENGOのほうに力を入れる


「どうしてくれるというのかね?」


ぐいっと顔の前にTENGOを突き出す先生に対し、犬馬は


「・・・」

「・・・こうします!!」


と、側面から口にくわえてみせた。


「うっ・・・!」


まるでハーモニカを吹くように、先生のTENGOをくわえている。先端部分を右手で丸く球を描くようにこすり、余った

左手で棒の部分をこする。しかも口は高速で左右になめつくす。


「うっ・・うっ・・!」

「うわぁぁぁぁぁぁぁ!!」


先生はあっという間にTENGOの先から白いオーラを出し、その場に崩れ落ちた。


「ん・・」

「んっ・・」


顔や体にかかったオーラを手ですくって口に運び、飲み尽くす犬馬。そして


「うわっ・・」

「先生早すぎぃ~!・・・・(笑)」


犬馬は、意地悪い笑顔を浮かべながらとどめの言葉を放ち、先生のプライドをへし折ってみせたそして


「ほら、あんたも」


乱れた髪の毛を手で整える


「いつまでもへたり込んでいないで」


ゆっくりと珍海に近づく犬馬


「しゃきっとしなさいよ」


落ち着いた感じでそう言って、その場に座り込んでいた珍海をそっと抱きしめたのであった

































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