僕の中にある音色

夕鳴 小熱

第1話アクシデント

田舎。それもかなりのド田舎。

朝起きて学校に行き部活をしたら帰ってゲーム。

そんな毎日ばかりを過ごしているよな気がする。

正直な話、何が楽しくてここにいるのか分からない

そんな事を考えながらゲームをしていたら、手元にあった携帯が鳴った。

「もしもし?」

「おう奏語!今日も行くだろ?迎えに行くよ」

電話の相手は兄、真一だった

毎週水曜日の晩、僕と兄は近くの文化センターの駐車場でスケートボードをやっている。

初めはただ刺激が欲しくてやっていただけだったが最近はマンネリ化している

「わかった。支度する」

携帯を切り、ため息を、つきながら支度をして兄の迎えを待った


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車で約10分の文化センター

夕方6時にして駐車場には、車が見当たらないらい

やっぱりど田舎だ。

「寒いなー!もうほぼ冬だろ?」

気を利かせてか兄は、独り言みたく僕に言った

「別に。滑ってるうちに暖かくなるでしょ」

そう言いながら車のトランクからスケートボードを取り出した。

周りに響くコンクリートに叩きつけたウィール(スケートボードのタイヤ)の音。

会話が続かない証拠だ。

「じゅ、準備運動はよくやっとけよ?」

「僕、管理人に挨拶してくる」

「駐車場の電気付けるよう言っといてー!」

そんな言葉でさえ手で返事をする

兄はほっておいても構わないどうせ後で友人が来る

僕には話せる相手なんていない。

14歳中学生によくある思春期ってやつだ。

ポケットに手を入れスケートボードで文化センターに向かう。

当然のごとく毎回だが自動扉は手動だ。

言ってる意味がわからないかもしれないが

管理人曰く経費削減のためらしい。

カウンターに向かい呼び鈴を鳴らす。

「はーい。って奏語か」

「おっすしゃちょー。駐車場の電気付けてくれる?」

文化センターの管理人。通称しゃちょー。

本名は兄も僕も知らない。

「あいよ。頼むから怪我だけはよしてくれよ?」

「はいはい。終わったらまた来るよ。んじゃ」

簡単な挨拶を交わして駐車場に戻る。

そうすると何人か集まって準備していた。

兄はいつも楽しそうに友人と話してるのを見て僕は一人で滑っていた。

マンネリ化してはいたが自分では滑っている時はなかなか楽しい。って言っても滑ってちょっと飛ぶぐらいの事しかできない。

そんな事を繰り返して時間を過ごしていた。


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「よし。これぐらいかな?」

そんな独り言を言いながら廃材を組み立て自分で飛べるか飛べないかのギリギリの高さの障害物を建てた。

距離を取っていると横から視線を感じる。

兄の視線だった。恐らく心配して見ているのだろう

そんな視線をも気にせず恐れながらも自分を勇気付け、スケートボードに乗り地面を蹴った。

近寄る障害物。充分な距離と速度。そして完璧なタイミングでジャンプした。

「よっしゃ!」

高さはギリギリではあったが障害物を超え着地したその時

「あっやべ!」

着地した瞬間スケートボードが石に引っ掛かり体だけが前に出てしまった。

こける前に全力で右足を体の前に出した。

だが間に合わなかった。

右足首に響く痛みに耐えれずそのまま倒れこんてましまった。

「おい!大丈夫か!?」

兄が心配して駆け寄って来た

「イテテテッ!やっちまった」

苦笑で返事を返しながら足を確認した

「あーらら。これはちょっと腫れてんなー」

「歩けるか?」

「歩けないほどじゃないと思う」

優しく腕を引っ張って肩を貸してくれる兄は本当に優しい人だ。

「だから準備運動しとけって言ったろ?」

「あははは。面目ねぇ」

とりあえず駐車場の隅に連れられ足に湿布を貼ってテーピングで固めてくれた。

「ありがとう兄さん」

「気にすんな。俺はもう少し滑ってるけど…どうする?」

「寒いから文化センターの中でコーヒーでも飲みながら待ってるよ」

「分かった。歩けるか?」

「テーピングで固めてくれたから大丈夫」

楽しそうに滑ってる兄を邪魔する訳にはいかない

右足を庇いながら歩き文化センターに向かう

その時中から妙な音が中から聴こえてきた

「なんだ?この音…」

文化センターの自動ドアを手で開けると、それははっきりと聴こえた。管理人のしゃちょーが弾くギターの音だった。

「すげぇ…何だこれ」

今まで音楽は沢山聴いてきたが、ギターのみを聴くのは初めてだった。ましてや生で聴くのなんてもってのほかだ。

僕は自販機でコーヒーを買いソファーに座って目を瞑りしゃちょーの演奏を聴いていた。

ギターは、いろんな音を出して、音色もさまざまだった。

まるで一つ一つが感情のように流れ込んで来る

聴いていてすごく心地いい。そんな風に思っていた時、演奏が止まった。

目を開けるとしゃちょーと視線が合った。

「そ、奏語!?聴いてたのかよ!」

いい歳したおっさんが顔を赤らめて言った。

「うん。いいじゃん。かっこいいよそれ」

「どうしたんだよ急に」

「足捻って滑れないから終わるの待ってる」

「怪我だけはよしてくれって言ったのにー」

「仕方ないじゃん」

笑いながら返す。心配させたくはない。

「そうか…なら」

しゃちょーが僕にギターを差し出してきた。

「…?」

「やってみっか?」

「…いいの?なんか…高そう」

いかにも高そうなギター。正直触るのも気が引けてしまう。

「かまわん!」

「あ、ありがとう」

その時、しゃちょーが言った


『お前の中の音色はどんな音だ?』


その言葉に自分の全てが引き込まれた気がした。


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第2章に続く。




読者の皆様へ

ここまで読んで頂きありがとうございます。

作者の夕鳴 小熱(ユウナキ コネツ)です。

まず皆様に言っておきたい事がありましてこの場をお借りします。

自分は小説やライトノベルなどは読んだ事がほぼありません。

なので自分が知っている言葉などで文字列を並べてしまい申し訳ございません。

世界観等も中々入ってこない等あるかもしれません

ですから押し付けがましい様ではございますが

皆さまからの意見等が聞かせて頂きたいです。

自分は出来ているのか出来ていないのかすらもハッキリしていません。

どんな事でも構いません。

大変申し訳ございませんが何卒よろしくお願いします。











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