My Dream.ー君と生きた365日ー
大祝 音羽
君と僕
暖かな風を頬に感じる。
そっと目を開けると、目の前には海が広がっていた。
倒れている私に、
「今日の天気予報に、人が降るなんて予報は無かった気がしたんだけど。珍しい天気だな」
と皮肉の混じった声が降ってきた。
起き上がってみると、私と同じくらいの男の子が立っていた。
「ここは、どこ…」
力のない声だったけれど、私は彼に聞いた。彼は伸びをしながら、
「ここは病院。てか、突然降ってきたお前は何?」
と聞いてきた。そんなこと、私にもわからない。降ってきた、って言われても信じられないし。
「お前も分からない、か」
彼が言うことに、私は頷いた。
「俺はユウタ。俺も、もともと記憶を失ってた。今も前の記憶は無いけれど。お前は?どこかで会った気がするんだ」
「私はトワ。私も、ユウタと会ったことがある気がする。でも、どこで…?」
「無理に思い出さなくていい。いつかは分かるようになるだろ」
ユウタは、感性の向くままに生きている感じがした。
頬に紅い夕日が当たる。ユウタは「帰るか」と呟いた。
明日、またここに来いよ。記憶探し、一緒にしてやるから」
とだけ告げて、彼は去っていった。
夜の風は、すこし肌寒く感じた。
目を閉じると、なにかの残像が残っている。霞みがかって見えないけれど、それが自分の記憶の鍵なのは確か。
でも、眠れなかった。
まだ何も分からない中、ゆっくり眠れるわけがない。
「数日は長い夜になりそう…」
一人静かに苦笑した。
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