第六話 悲劇は繰り返される

「ママ、僕怖いよ」

 マナナは優しくレオナルドに話しかけた。

「大丈夫、少し教会に行ってくるだけだから。ほんの少しお留守番するだけだから」

 レオナルドはうつむきながら、ゆっくり頷いた。

「あなたのお父さんはね、とても勇敢だった。その血をあなたは引き継いでるの。きっと大丈夫、もし何かあったら」

 マナナは、38口径のリボルバーを持って来た。

「これで脅すの。大したことない強盗だったら、すぐ逃げるわ。いいわね?」

 レオナルドは不安そうにうなずいた。

 その頃誘拐事件が多発していた。街の治安維持の草の根活動として、マナナも同様、街の見回りを交代で行なっていたのだった。見回りが終わり、教会での祈りが終わり、マナナが家に帰ると、何かの異変に気づいた。


 レオナルドがいない。


 代わりに床に転がるリボルバーと、紙切れが置いてあった。


……息子は預かった。返して欲しければ……


 身代金要求の紙切れだった。

 マナナはリボルバーを胸にしまうと、要求された金額を揃え、犯人からのコンタクトを待った。

 しかし、翌日にも一向に犯人側からのコンタクトはなく、致し方なく街中の協力を得ての捜索が始まった。

 数日経ったある日、マッシモの部下から情報が入った。とある男が拷問の末、犯人らしき男の名前を吐いたのだ。その家へ、街の仲間に加え、マッシモの部下と共にマナナは向かった。軽い銃撃戦にこそなったが、マッシモの部下たちは鮮やかに犯人の男を捕えた、マナナとの面識はなかった。

「レオナルドはどこ?」

 犯人の男は汚らしい服装を身にまとい、手入れのされてない無精ひげは不潔そのものだった。男はマッシモの部下に羽交い締めにされ、額に拳銃を当てられながら答えた。

「た、頼む。命だけは」

「レオナルドはどこって聞いてるのよ!」

 マナナもリボルバーを男に向けた。男は顎で奥の部屋を指した。その扉に向かってマナナは一歩ずつ歩いて行った。

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