第四話 メスライオンの発情
「おう、よく来た。何か用か?」
マッシモは、訪れたマナナをいやらしい目で見回した。マナナがマッシモから特別扱いされていることを知っていた部下は、マナナに対してそこまで厳しいボディチェックを行わなかった。
マナナのその整った鼻筋、すらっとした美脚。情熱的な黒い瞳はマッシモを虜にした。その厚い唇をいただけるなら、今にでもマッシモは飛び込んでいける気がした。
「アントニオの件は残念だったな、まだ犯人は捕まってないんだって? もし力になれることがあれば言ってくれ。協力する」
マナナは、すっとマッシモに近づくと、その唇を耳元に当てた。
「そんな話をしに来た訳じゃないの。ねえ場所を移さない? 二人っきりで話がしたいの」
マッシモは唾をごくりを飲み込んで、部下を部屋から追い出した。そして、自分のベッドにマナナを横たわらせると、自分の来ていたジャケットを投げ捨てた。マナナがおもむろに羽織っていたコートを脱ぎ捨てると、豊満な胸を露出されたランジェリーが姿を現した。息つく間もなく、マッシモはその魅惑の海へ顔を埋めた。
「早くこうしてくれればよかったのに。遅かったじゃないか」
マナナは、ふん、と笑うと。
「私気づいたの。力がないと、大事なものを守れない。あなたみたいな強い人が好き」
マッシモのテンションは最高潮まで達した。
ついにこの日が来た、今まで夢にまで見た瞬間がやってきたのだ。
無我夢中でマナナの美しい肌という肌を貪りながら、マッシモは前戯を進めて行った。
「ねえ、あなた知ってる?」
「何が?」
「ライオンってね、新たな群れを乗っ取ると、その群れにいた子どもを殺すんだって。それを見たメスが発情して、交尾をするの」
へえ、と答えながら、その声もほとんどマッシモには届いていなかった。
「私、少しその気持ちわかるの。アントニオが殺されて、なんかこう発情したというか、目覚めたというか。これだけの実行力のある人に、私ついていくべきだって思った」
その言葉を聞いてるのかどうかもわからない表情で、マッシモはついに自らのいちもつの挿入体勢に入った。そしてゆっくりと実行する。
すると、さっとマナナが腰を引く。
「ねえ、聞かせて。あなたなんでしょ? アントニオを殺したの。私それだけは確認したい」
マッシモは力づくで、マナナの肩をつかむと、元の体勢に戻した。
「そんなことどうでもいいじゃないか」
「いえ、だめよ。それを確認しないと、私イケナイわ」
再び腰を引いたマナナを、もう一度引き戻すとマッシモは
「そうだ、俺がやったんだよ。邪魔なやつが消えて、こうやってお前も俺のものになって、一石二鳥だ。本当にあいつが消えて良かったよ。埋められる直前でもあいつは強がってたぜ、お前らの好きなようにはさせない、とかほざいてな」
そう言い終えると、マッシモはわき目もふらず、腰を振り始めた。
……お前らの好きなようにはさせない……
その言葉を反芻するマナナの表情は、マッシモにはもう見えていなかった。
その後まもなく昇天したマッシモはそのままマナナの隣に倒れ込んだ。
なんという快感、邪魔なアントニオが消え、夢にまで見たマナナを自分のものにしたこの瞬間。人生で最高の瞬間だったかもしれない。
マッシモは自分のものとなったマナナの肩を抱こうとした瞬間、その手はさらりとほどかれた。
そしてさっさと服を着たマナナは部屋から出ようとした。
「おい、ちょっと待てよ。まだ早いんじゃないか」
去り際にマナナはこう言い放った。
「あなたは2つ掟を破った」
その声はあまりに冷たく、マッシモの心臓のど真ん中を貫いた。
「一つ目、あなたは正当な理由なく民間人を
マナナは、再びマッシモの目を見つめた。全裸のマッシモは思わずしゅん、となった。
「私はこの事は誰にも話さない。でもこれだけは覚えておいて、もしあなたが今後も非道な行動を続けるなら、私はいつでもこの事をボスのルキーノに話す準備がある、いいわね」
そう言って、マッシモの屋敷を後にした。
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