第23話 案外、恋愛相談って知らない人の方がいいんじゃないかって最近思うようになった
「また、きているぞー。あの女性。」
大和は教室の窓から校門を見て、陸斗に伝える。
「いやー。あの人も懲りないね!」
「んじゃまた出し抜いてあげますか。」
「裏門へレッツゴー!!」
いつもの男子四人グループを遠目で見つめる三月。その後ろから手が伸びてきて、
「みーつきちゃん!!」
「うわぁぁああああ!!!」
突然祐子に話しかけられた三月は少し慌てて、顔を赤くした。
「おお!!びっくりしたー!!そんなビックリすると思わなかった!!」
「そりゃ、ビックリするよ。突然だもん。」
「まぁ、私の驚かし方がうまいんですよ。それでさ、一緒に帰ろ!!」
「良いけどさー。今度からは驚かせないでよ。」
「わかった。わかったー。」
「絶対わかってないでしょー。」
「分かってる。わかってるー。」
(どこか棒読みなんだよなー。)
数分後、校門前にて。
祐子と三月は昨日のテレビの話題で盛り上がる。
「それでさー。昨日のテレビ本当に面白かったんだよねー。」
「へぇー。、、、ってあれ?また、あの女の人いる。」
「あ、本当だ。あの人もあの人で大変そうだなー。」
「なにやってんだろうね。いい大人が。」
「ねー。、、、ちょっと、聞きに行ってくる。」
そう言うと、祐子はその女性のそばに駆け寄る。
「え!?ちょ、、ちょっと!!」
そう言いつつも三月も祐子の隣に並ぶ。その女性も気がついたのか、こちらに目線を向け、少し慌てた感じで、
「な、なんですか?私になんか用ですか?」
「率直な質問をさせてください。なんで、この会科高校の校門にいるんですか?教えてください。」
「え。え?ちょ、ちょっとそれは無理です。」
無理なら無理で諦めようと思っていた祐子。しかし、ここまでの行動が三月の変なスイッチを、オンにしてしまった。
「なんでですか?それを言わないのなら、今すぐ警察に通報してもいいんですよ。ここの校則では学校敷地内、もしくは付近でのスカウト行為は禁止なので。」
これは三月のハッタリだ。この会科高校にはそんな校則はない。しかし、それを言った。三月はこの女性を追っ払うために、イチかバチかの策に出たのだ。
「え?そうなんですか。でも、なんで私がスカウトをするって知っていたんですか?」
意外と最もなことを言う女性。さっきまでテンパっていたのに、いい判断だった。そして、ドヤ顔を見せるように、長い髪の毛をふわっとさせる。
「そ、それは、、、。」
教室でも見せたように、再び顔を赤くする三月。その顔を隠すように徐々に頭が下に垂れていく。しかし、次の瞬間開き直ったのか、勢い良く顔を上げ、
「きょ、教室でいつもあの人たちの会話をずっと聞いてたからよ!!」
そして、我にかえり再び顔が俯き加減になる。
「、、、そうですか。とりあえず、今日は帰ります。しかし、負けませんからね。」
と、それだけ言うとその女性は去っていった。
一人、取り残されていた祐子はこう思う。
(ついていけねー。)
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