無色の世界に、僕だけの一時の記憶と感情

樋泉 葉白井

第一章   零幕 平等と不平等




 世界とは、皆に平等であるべきだと常々思う。


 そして『幸せ』や『幸福』なんて言葉がなければいいのに、といつも思う。


 それらの言葉は僕への当てつけなのかと考えることも少なくはなかった。



 

 それとは逆に『不安』や『悲しみ』という言葉は僕の現状を指したもの。


 家だろうと学校だろうと、どこにいても変わらず一人でいる僕の.........今。


 ..........世界は僕には広すぎたんだ。


 ..........いや、僕が小さすぎたのかもしれない。

 



 何故、世界は不平等であるのか。


 それは神がこの世界に住まう人々に〝感情〟という概念を与えたから。


 神の判断、行動一つで世界は変わってしまうのだから、そうでなくては話がつかないというのが実。


 ―――――こうして一人で過ごす日々への寂しさ、つらさ、悲しさにこらえられなくなった僕はそう勝手に考え、決めつけた。




 そんな僕だからこそ心中でただ、世界が平等であれることを願うことしかできなかった————


 だがその願いが、僕の願いとはまた違った形で叶えられることを知るのは、まだ先の話。


 

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