リハーサル

 「ありがとう、じゃあ今度は彼氏とここ行くね」

男性の反応など気にもせず、彼女はそう言った。

 彼女の感覚としては、デートスポットの下見。所謂予行練習である。横にいる彼女を慕っていた人さえ考えなければ、良い女性にも思えるのかもしれない。


 大量の原稿用紙をゴミ箱に捨てる作家。これから清書をするのだろう。何度かまた写し間違い、紙がゴミ箱に溜まってから漸く書き上げた。


 粘土をこねて怪獣を作る子供。理想通りにいかなければまた粘土に戻される。飽きられてもただの粘土として片付けられる。


 突然世界そのものが歪み、ねじ曲げられ、そしてくしゃくしゃになって消えた。ソレをしたナニカもきっとこれから「本番」に取り組むのだろう。

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