白痴の独白
ごんべえ
白痴の独白
さて、ここに一人の男が居ようが居まいが私も――まさかとは思うが――いま、これを読んでいる酔狂なあなたも別に困ることはないだろう。
これは、とりたてて語る必要のないことであるが、だれも読まないであろうし、ましては、誰も興味すら持たないであろうこの独白を書くにあたり必要なことなので一応書いておくことにした。
それは、自分のレーゾンデートゥルなるものを常に模索していた。
つまり、自分は一体なぜこの世に生を受けたのか?
何のために自分という存在は存在し存在し続ける必要があるのか?
それは、常に自らの存在理由について考え続けた。
馬鹿馬鹿しいほどに。
実際、このレーゾンデートゥルなんてアホらしいことを考えていること自体がとんでもなくそれの白痴さを証明しているのだが、それは措くことにしよう。
これは、それの白痴さを検証しようというとんでもなく間抜けな試みなのだから。
結果から話をすると、それは、結局のところ答えに辿りつくことは無かった。
当然だ。
そんなもの初めから存在しないのだから。
ただ、そうであるだけの現象だけが溢れ返っている世界にそんなものを求めても無意味なだけだ。
徒労だ。
ひょっとしたら記念に残念賞くらいはもらえるかも知れないけれど。
だから、あなたにだってそんなものはないし、この世界にだってそんなものはないのだ。
ただ、あるように存在し存在し続ける。
だが、神は私のような白痴にも救いを下さったようだ。
この右手に握り締めたピストルで私の脳天を打ち抜けば――
ばばばば」
なななあ
亜あああああ
亜あ
あ
ああ
あ
あ
あああああああああああ
そして、一体の脳漿をぶちまけた白痴の死体が出来上がった。
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